【登場人物】
アヤセ(仮)
未来夕張の娘、その、ストロングスタイルは誰かに似ている
仁科元大佐(天才・変態)
狂気の天才らしく人間性に関してはかなり怪しい、間違っても“善人”ではない
提督(メガネ・変態)
今回特に何もしてない人、糖の疑いがある
激突!絶望の未来からたった一人、未来を変える為にやって来た孤独の未来軽巡、アヤセ(仮)VS孤高なる狂気の天才マァァァドサイエンンティィストォォ!ドクター・モロ
全人類存亡の、いや、未来への希望を賭けた死闘はかなりアツく、ハゲしいものとなった…
未来で人類を絶望に陥れる人造艦娘を作った天才、ドクター・モロはただの貧弱インドア科学者ではなく、天才の頭脳を搭載した野獣の肉体に神技のメス捌きを持つホンモノのヤバいヤツだった、その、強烈なパワーはたった一人で某国の特殊部隊を撃退するだけでなく、艦娘であり軽巡のアヤセ(仮)をも圧倒した、度重なる己への強化手術によりドクター・モロはヒューマンを超えたヒューマン、その、ヒューマンを超えたヒューマンを更に超えたヒューマンと言ったところか…
……しかし、絶望への反抗を誓うアヤセ(仮)も負けていなかった、圧倒的な力を見せるドクター・モロに対し、未来夕張の作り上げた未来夕張型艤装・ハイヤーザンスカイフェイズを発動、南の島を舞台に互角の戦いを繰り広げ、キラウ●ア火山の火口で破壊を楽しんでんじゃねぇぞォォォ!とか叫びながら戦っていた…
そして…ッ!!
「ゲ、ゲェーッ!あ、あの
「まさかあの技への
全人類存亡を賭けた超決戦、両者一歩も譲らない戦いは最終局面!アヤセ(仮)はドクター・モロに強烈な浴びせ蹴りを喰らわせ、その身体を空中にブン投げると、まるでサッカーボールのヘディングをするように空中のドクター・モロに何度も打ちつけて上空へと飛ばし、一定の高度に上げた後、逆さまになったドクター・モロの両腕両足を固めて落下を開始した!
「まさか……海軍三大奥義!テイトク・リベンジャー!」
「何故ヤツがあの技を使えるんじゃー!アレはテイトクの
ゲェーッ!だのうるさく騒ぐ潜水艦どもの疑問はたしかだ、そして、俺はこれまでのアヤセ(仮)の戦いを見ていてどこか奇妙なものを感じていた、未来夕張の手が加えられた艤装の性能はいいとしてだ、アヤセ(仮)はやたらとインファイトを好み、その、知性溢れるファイトスタイルはどこか見覚えがあると言うか、親しみあると言うか…
「ぬぅ…!こ、これは…ッ!」
「死ィィィィィィねエエェェェェェェ!!」
…可愛い顔してなんてコト言うのかね、この娘は
◆◆◆
「人造艦娘?」
アヤセ(仮)とドクター・モロの死闘は終わった…
必殺のテイトク・リベンジャーで決着かと思われた戦いは、テイトク・リベンジャーから立ち上がったドクター・モロが自らの故障箇所、いや、怪我か?まぁ、それをまさかの死合い中にオペ開始し、無事、修理完了したところで再開となりかけたが、アヤセ(仮)のエネルギーがガス欠し、ドクター・モロは紳士的に少し休憩を挟みましょうか?と提案してきたので、俺はその提案を受け入れた
まぁ、アヤセ(仮)はふざけんなコラァ!とか言って暴れたので8っちゃんさんに本のカドで殴って貰い、今はグッスリだ…
「そうだ、アンタが造るらしい」
「ふむ…」
爆破されたドクター・モロの家には地下室があったらしく、俺たちはそこへ招かれ、とりあえずティーでもいかがですか?とテーブルを囲んでここへ来た事情をドクター・モロ本人に説明した…
「まぁ、色々と心当たりはありますが……ふむ、それは本当に私が造った作品ですかねぇ」
「そいつは俺にはわからん、が……この自称未来軽巡が持ってる人造艦娘の一応のデータってのはある」
「良ければ見せて頂いても?」
「別に構わないが、その前に一ついいか?」
「なんでしょうか?」
「服を着ろ、服を」
「あぁ、これは失礼」
今の今まで普通に流していたが、よく考えたらコイツ、ずっど全裸だった、しかし、全裸ではあるが戦っている最中も、変なポーズでなんかカッコ良さげなセリフ吐いてる時も、爆発やら土煙やらビームやらで大事な部分は決して映らない18歳以下でも安心して見ていられる仕様を心得ているらしく、実に紳士的な男だ…
「よし…と」
「よし!じゃねーでち」
「なんでその衣装棚、パンツしか入ってないのよ」
無事、超ステキな股間モッコリパンツを穿きこなし、ビッ!とポーズをキメたドクターは、では話を続けましょうかとテーブルに戻ってきた
「………ふむ」
アヤセ(仮)が未来から持ってきた資料では、人造艦娘は艦娘と呼ぶだけあって男型ではないらしく、この、ドクター・モロのように話し合いをしましょうか?などの対話性も皆無なそうだ…
ドクター・モロは資料をパラパラと捲り、なんともつまらなそうに溜め息を吐き…
「コレは私の作品ではないですね」
「なん……だと?」
「まず、品性が感じられません」
たしかに、技術的には私の作品に類似する点はありますがこんな中途半端でつまらない物を自分が作るとは未来永劫ありえない、と断言した
「おそらくは私の技術を模倣し、名を騙ったどこかのバカの造ったガラクタでしょう、まぁ…察しはつきますが」
そう言ってドクター・モロはもはやそれに対して興味を失くしてしまったらしく、ティーをグィーっと飲み干し、むしろ、そんなガラクタよりもあの夕張型の方が私の興味を唆りますねぇと言いつつズキイィィィンとしていた
「どうです?少し私に預けてみませんか?嗚呼、モチロン今よりもっと……いえ、現在とは比べ物にならないレヴェルにしてみせますよ、ただ、多少色々と手を加えますが、ア●ル以外は」
なんでア●ル以外なんだよ、っーかコイツはとんだマッドサイエンティストだよ
「そいつを望むかは本人次第だが……まぁ、無理だろーな」
「えぇ、おそらくは」
◇◇◇
人造艦娘………まぁ、私としてもまるで心当たりがないワケではありませんが、そうですか
話を聞き、これでサンプルF295の謎に関してしっくりきました……“あの国”が秘密裏に行っている実験、おそらく、そう遠くない未来にその実験が実を結び、件の人造艦娘なる世紀の失敗作が造られる未来ですか…
まさか独自に開発し続けた結果がとんだ破滅の未来になるとは笑えますねぇ
「それで?私に何か協力できるコトがありますか?」
「そうだな……できるコトなら、未来で暴れてる人造艦娘をなんとかする良い方法、ってのは都合が良すぎるか?」
「そうですねぇ」
資料をざっと見るに、おそらくはF295と同じ実験ベースを発展させた形でしょうが……こればかりは実物を見てみないとわかりませんか
ドン!ドン!ドン!
「ん?」
「なんだ?」
天井から音…?と考え、私を含めて皆が天井を見上げてみると、地上からの穴が開き、大鳳が転げ落ちてきた
「うげっぷ!……ぺっ!ぺっ!た、大佐ぁ、ただ今戻りました、あの…なんで家が?あと、この人達は…?」
嗚呼そう言えば大鳳とF295には先日からちょっと遠くにおつかいに行かせてましたね、どうりで居ないと…
大鳳は買い物エコバッグから撲殺ニンジンソードを抜いてグルルルと警戒するように室内を見回した
「彼らはお客様です、大鳳」
「え?あ、そうなんですか……あ、よく見たら前にスマホートンを交換してくれた人!」
「ハハ…どーも、相変わらずでなにより」
そんな大鳳と、穴を通ってヒラリと着地したF295はこれまた見慣れない人物達に驚いたらしく、大鳳の背中に張り付いて恐々と周囲を見回す
「大丈夫ですよしーちゃん、この人達は旅先でスマホートンを壊したバカなお客様達です」
「スマホー……とん?」
「オイ、誰がバカなお客様達だ」
「壊したのはおバカなセンパイ達だけですって!」
潜水艦娘達はアァン?だの言いつつ互いにメンチ切り合いつつオモテでるかコラァ?だの醜い争いを始め、彼らの上司はとりあえず彼女らの股間を蹴り上げた
「さて、とりあえずは……」
未来夕張型に人造艦娘、家の修理にと………まったく、退屈しませんねぇ
◆◆◆
南の島烈戦!熱戦!超激戦から早5日……
「従来の性能から約75%はアップしたと思って頂いて結構ですよ」
「…ふ〜ん」
未来の技術が使われた未来夕張型艤装に、現段階で詰め込めるだけ詰め込める技術を投入した未来夕張型・改と言える艤装を展開し、アヤセ(仮)はドクター・モロこと仁科元大佐になかなかやるじゃないと一応礼を言った
「ま、設備や資材さえあれば母さんならもっと凄いモノ作れたけどね」
「ハハハ、ありえませんね、何故なら、私以上の天才は未来永劫存在しないからです」
「アァン?」
しかしコイツ、わりとマザコンだよな、なんやかんや言いつつ夕張をディスると怒るし
「頂いたデータの範囲内でならば、この人造艦娘とやらと互角以上に戦える数値です」
「たしかに……」
南の楽園とは別の島にある仁科元大佐の秘密の研究所で、アヤセ(仮)の艤装を強化し、いよいよアヤセ(仮)は乗ってきたタイムマシンで未来へと帰る時がやって来た…
「コイツがタイムマシンか…っーかこんなモン、どっから出したんだ?」
「フフン、母さんは抜け目ないからね、ボタン一つで小さなカプセルになるボタン付けてるのよ」
「すげぇな未来夕張」
アイツやっぱ天才なんじゃないのか?しかし何故その神がかり的な頭脳をもってして浜風ちゃんを俺の肉奴隷にするクスリを作れないのか…
「未来夕張型、一つ頼みたい事があるのですが」
「なによ?」
仁科元大佐とその部下大鳳、そして、大鳳にしがみついて離れようとしない白髪の少女だったが…
「このサンプルF295も未来に同行させて頂けませんか?」
「はぁ?」
「コレには少し事情がありましてね、今、この時代に存在する事で色々と厄介な事を引き起こしてしまうんですよ」
アヤセ(仮)も潜水艦ども知らない話だが、あの後、俺は仁科元大佐からこの白髪少女は未来における人造艦娘のプロトタイプ的なものらしく、過酷な実験の脱走後、自分の保護下にたまたま流れついたのだが………まぁ、やっぱ奪還だの処分だの色々厄介な火種らしく、先日の特殊部隊的なのもその類だったそうな
そこで、仁科元大佐は現代に居場所がないなら未来に居場所を求めればいいと考え、一応、俺には事前に話をしてある
「こう見えて、戦力としてもアナタに引けはとりませんよ」
「とりませんよって………いや、そりゃ戦力はあった方がいいけど、本人はいいの?」
アヤセ(仮)はどうなの?と白髪少女を見て問いかける
「…しーちゃん」
「………いくよ、わたし、いく!ままも……たいさも、それがあんしんって…」
「嗚呼…しーちゃん!」ポロポロ…
大鳳はしーちゃんなる白髪をアツく抱きしめ、とにかく色々なものをギューっと詰め込んだリュックサック手渡し、もう一度抱きしめた
そして、別れの儀式が済み、タイムマシンに乗り込んだアヤセ(仮)としーちゃんはいよいよ未来へと帰還するべく、タイムマシンを起動した
「じゃあな!アヤセ(仮)!未来はオメーに任せたぞ!」
『……』
「え?なんだって?」
タイムマシンが光り、その姿が消えてしまう前、アヤセ(仮)の口は俺に何か言っていたようだが……まぁ、俺は読唇術は得意ではないのだが…
-さよなら、とうさん-
ーーー
こうして、たった一人、未来からきた孤独の戦士は未来へ帰って行った、アイツのコトだ、たぶん絶望の未来をゼッテーなんとかしてくれるさ!
そんかふうに爽やかに考えていたら、俺の腕に一匹の蚊が止まったので容赦なく叩き潰した
「…フンッ!」
人造神話編 おわり
◇◇◇
後日、某国の研究機関が襲撃され、壊滅した…
未来艦娘、人造艦娘、なかなかに面白いモノを見せて頂きましたが………来たるべき未来への可能性はやはり確実に消しておきませんとねぇ
「ヒッ!ヒイイィィィィィィ!」
「たす…助け…っ!アバ!」
私の与り知らない未来で、私の名を騙り、まるで美しさも品性のカケラもないガラクタを造る予定のゴミどもには相応の罰を与え、未来永劫苦しんで頂きましょうか…
「大鳳、生きている者は全員回収しますよ、あと、死にかけている者も死なないようにしておきさない、嗚呼、あと、死体も必要な部位だけ摘出しておくので保存しておく準備を」
「はい!大佐」
「ヒイイィィィィィィ!あ、悪魔ァァァァァァァ!!」
「助けて!助けてくれぇぇぇ!!」
モチロン、駄目です。
次回から久々のイベント海域突入編
ただ、途中で初心に帰る回があります、はい