不健全鎮守府   作:犬魚

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南の島超決戦の第四回!破壊を楽しんでんじゃねーぞ!

【登場人物】

仁科元大佐
狂気の天才にして狂気の変態、腕が回転してターボスマッシャーするのは当たり前

提督
最低の屑、海軍三大奥義テイトク・リベンジャーの使い手

アヤセ(仮)
言えるワケありませんよ、既に母さんを超えてしまったなんて…


人造神話④

「ふむ……経過は良好ですね」

 

経過観察のカルテを眺め、自らの淹れたティーをソーサーに置き、椅子に深く座り直す…

 

サンプルF295…

 

保護した時は生物として生命活動の危機的状況、これを深海駆逐艦をベースにした“素材”を使用(つか)って施術し、無事に成功して今は元気に外を走り回っているワケですが…

 

この295、私が施術()る前に別の誰かに実験体として身体中をいじり回されているらしく、その痕跡から様々な用途を想定し、その、アプローチを試みたというコトが解りました、その中の一つに、おそらくは私と同じく深海棲艦由来のベースを用いた“堕天”を試みた痕跡がありましたが………まぁ、コレではダメでしょうね、意欲と野心は感じますが、もっと広い視野でアプローチしないと生涯を費やしても徒労に終わるでしょう、痕跡から見てとれる所詮は二流三流の腕と考え…

 

あと、感情を排除しようと試みていたようですが、そんな事は私に言わせれば愚の骨頂です

 

たしかに、感情を排除する事で性能の限界を維持しつつ精密かつ機械的に動かす事により完璧な作品になると言う考え方もあるでしょう、えぇ、まぁ………そんなふうに考えていた時期が、私にもありました…思えばあの頃はまだ私も若く(ピュア)なグリーンボーイでしたねぇ

 

そして、限界を設ける事でそれ以上への可能性を閉ざす事に気付き、私も人並みに悩んでいた時期に出会った浄階殿のオカルトは私にとっては実に刺激的なものでした、一口にオカルトと言ってもそこには理路整然で画期的、そして、数式として定義できる理論があり、私の研究はまるで翼を得たように羽撃き、そこで得た結論こそ“感情の有用性”

 

魂無きものは所詮容れ物に過ぎず、そこに魂が篭る事で私の予測を遥かに超えた結果を弾き出す、まぁ………我ながら“身を斬る”形で……いえ、斬られる形で結果を知るコトになりましたがね

 

「…ん?」

 

股間の辺りに微震を感じ、穿いているパンツに手を入れてナカに仕舞っておいた携帯電話を取り出すと、着信を報せるべくヴァイヴレーション機能が働いているのでそれを開き、通話ボタンを押した…

 

『オ客ガ来テイルヨウダ』

 

「客?」

 

『アァ、ナカナカノ団体様ラシイ』

 

「ふむ…」

 

はて…?団体様ですか、まぁ、心当たりがないこともないですが……なるほど、それなりに準備に時間が掛かったと言うワケでしょうね

 

『ドウスルツモリダ?』

 

「勿論、歓迎しますよ」

 

愚か者にはそれ相応の、おもてなし、ですがねぇ

 

◆◆◆

 

「ハワイですってー!」

 

「ハワイー!ウェーイ!ハワイ!ウェーイ!」

 

「うるせーぞオマエら、ちょっと静かにしろやクズどもが」

 

ニホンから空路で約7時間、常夏の島へとやって来た俺たちは空港から出たところで常夏リゾートにハシャギ回る500と401に鉄拳を下し、酒ぇ〜とか言いながらまとわりつく14ティンの股間を蹴り上げ、すぐに目的地であるドクター・モロが住んでいる家へ向かう事をバカどもに伝えた

 

「いいかクズども、とりあえずお買い物だのなんだのはこっちの仕事が終わったらだ!オマエらがやる気を出せばすぐ終わる!いいな!」

 

「へいへい」

 

「ケチくせー大人なのね」

 

「チ●ポついてんのかしら?」

 

聞こえてるぞ、このクズどもが……まぁいい、私はCOOLだ

 

「で?168クン、その、ドクター・モロは今、家に居るのかね?」

 

「居るんじゃない?ケータイ、どうなの?」

 

168はオシャレな上着を叩くと、ポケットからひょこっと顔を?いや、画面?いや…顔でいいや、顔を出したガラケーみたいなのが168の質問に答える

 

『反応ハアル、在宅シテイルノハ間違イナイ、シカシ168、私ノ名ハけーたいデハナク、セブ……』

 

「うっさい」

 

168はケータイをパタンと折り曲げ、ポケットの奥へとねじ込んだ

 

「居るってー」

 

う〜む、168のケータイ、かなり便利なヤツだな…しかし何故168はケータイに対してあんなに厳しいのか、やはり機械と人は相容れぬ存在なのだろうか…?

 

とりあえず、俺たちは空港近くのレンタカー屋でレンタカーを手配し、目的地であり決戦の地になるやもしれない場所、ドクター・モロの家へと向かう事にした

 

ーーー

 

「………」

 

やや手間取ってしまったが無事、小型のマイクロバスを借り、移動中の車内……

俺の近くに座っているアヤセ(仮)は潜水艦のバカどもと違い、ただ一人、ずっと緊張したように押し黙っていた…

まぁ、空路の時点から今みたいな調子なんだが…

 

「どうした?ビビってんのか?」

 

「は?ビビるワケない………と言えば、嘘になるよ」

 

アヤセ(仮)は素直に緊張を認め、曖昧な笑みで俺を見た

 

「人造艦娘を造り、未来をメチャメチャにした元凶だしね」

 

「まぁ、そうなんだろうな」

 

「仮に、今の時代のドクター・モロが人造艦娘の研究とかしてない善良なヤツでも、私は憎しみのあまり何をするかわからないくらい」

 

「出来れば穏便、と言いたいがな」

 

「ハッキリ言ってムリね」

 

血の気の多いヤツだなオイ、まぁ、しゃーなしか…

 

 

空港から陸路で約一時間半強、俺たちは、ようやく目的地へと辿り着いた…

 

時刻は現地時間で夜の23時前、周囲には他の民家などはなく、だだっ広い草原が広がる岬の先にポツンと建っている一軒家が目的地のそこらしい…

俺たちはまず、いきなり家へと近づかずにちょっと離れた所にある屈めば身は隠せる草むらの中へと入って座り込んだ

 

「さて…」

 

「さて、じゃないよ、どーすんの?とりあえず扉蹴破って中に入って動くヤツは全員ぶっ飛ばす?」

 

どんだけ野蛮なんだこの未来軽巡は、この野蛮ぶり…コイツ夕張の娘なのか疑わしくなってきたのだよ

 

「野蛮かッッッ!」

 

「誰が野蛮だよ、相手がどんなモンかよくわからない時はとりあえず、まっすぐ行ってぶっ飛ばす、右ストレートでぶっ飛ばす!が、母さんが現役だった頃の基地艦隊の作戦方針だって言ってたよ」

 

「フッ、そいつはとんでもないクソ提督だな」

 

「そのクソ提督はアンタだよ」

 

そいつは俺じゃない、そいつはおそらくは世紀末α世界線の俺であり、現在の俺ではない、なにより俺はそんな野蛮人ではないのだよ

 

「まったく、ゴチャゴチャとメンドくせーコト考える必要なんてねーぜ、ユー、ロー、アレを出せでち」

 

俺とアヤセ(仮)の作戦会議にイライラきたのか、58は噛んでいたチューインガムをペッと吐き出し、指をパチンと鳴らした

 

「はいですって!」

 

「ちゃんと…持ってきた」

 

実力派エリート集団サブマリンガールズのヘッド的存在58は、後輩であり、部下であり、パシリである511と500にアレを出しなと伝え、2人がどこからとなく取り出したのは最高にゴキゲンな得物…っ!

 

「ヒュー……WG42(Wurfgerät 42)か」

 

陸上型の深海棲艦に特効が期待出来る対陸戦ロケットランチャー、最近ではあまり出番がないが、以前は夕張や大淀が全てのスロットに積み、まるでコマンドー如く撃ち尽くして静かな海を火の海に変えた事もある最高にイキでイナセなウェポン…だ

 

「とりあえずコイツであの家に一発ブチ込んで死体があったらそれでmissioncompleteでち」

 

「なんてコト言うのかねこの娘は」

 

「仮に、運良く死なずに家から飛び出して来てもどーせロクなモン持ってない丸裸同然、囲んでフクロにして後はそこから突き落とせばサメの餌にでもなるでち」

 

「なるほど、隙を生じぬ二段構えってワケね」

 

アヤセ(仮)はなるほど大した作戦だと納得しているらしいが……コイツら、命をいったいなんだと思っているのだろうか?断言する、コイツらは来るべき対話の時が訪れても次のステージに進化できない人種だ

 

「よし!全員配置につくでち!特にロー!ヤツがハウスの中から転げ出てきたらダッシュで近づいてラヂオナイフで内臓ズタズタにしてやれ!」

 

「わかったですって!がるるるー!」

 

なるほど、これが群狼戦術か…

 

そんなワケで、俺たちは早速ハウスを囲む形でそれぞれ場所を移動しようとした、その時ッ!!

 

 

ドオオオオォォォンッッッッ!!!

 

 

「な!?」

 

ドクター・モロの家が突如として爆発し、炎上した!!

 

「な…なんじゃああぁぁぁ!お、オイ!オマエら!いきなり撃つとかさすがにやり過ぎだろォォォ!!」

 

「ユー………撃ってない」

 

「ろーちゃんも撃ってないですって!」

 

「なん……だと?」

 

たしかに、二人とも肩に担いだロケットランチャーをスーパース●ープ発射態勢にすらとっていない…

そして、今の爆発は、外からの砲撃と言うよりはむしろ内側から爆発したようにも見えたが……

 

「テイトクぅ!なんか居る!」

 

「あ?」

 

「あそこ!誰か立ってる!」

 

168と401が指さす先……爆発炎上する家屋の中に、確かに立っている人影がある、全身を包む炎をまるで意に介する事なく、その人影は右腕一本で掴み上げていた別のナニか無造作にブン投げた

 

『ハハハハハハ、どうしました?そんなモノですか?』

 

 

『This feces man!』

 

『Fall into hell!』

 

『You're enthusiastic!!』

 

 

『ふむ、いけませんねぇ…他人の事を悪く言っては』

 

 

…よく見ると、全裸の男以外にも完全武装の特殊部隊みたいなヤツらが居るみたいだが、そいつらは全裸に向けて発砲しており、どうやら仲良しのお友達同士と言うワケでなさそうだ

 

そして、おそらくは爆発で服が焼けて全裸になったであろう男はサブマシンガン乱射にも意を介する事なく、完全にビビって敗走を始めた特殊部隊みたいな人達に、指からビームだの遅いですねキックだので誰一人逃がさない気は満々らしい…

 

「オイオイオイ、死んだわアイツら」

 

「テイトク!なんか話が違うですって!」

 

「相手ターミ●ーターじゃん!?」

 

俺はアヤセ(仮)の方を見ると、アヤセ(仮)は、や、私も知らないし、みてーな顔してやがる…

 

っーか俺も聞いてないんだけどォォォォォォ!!なんだこのバケモン!? ただの貧弱マァァァドサイエンティィストォォォ!じゃなかったのかよォォォ!い、いや……まさか、コイツが!コイツこそが!未来の人類を絶望のズンドコに叩き落とす人造艦……!

 

「違う、私が知ってる人造艦娘はあんなやつじゃない」

 

「違うのか!」

 

いったい何がどうなっているんだ…?

 

『………さて、こんなモノですか』

 

全裸はどこかの国の特殊部隊の皆さんを無事、皆殺しにしたらしく、動かなくなったそいつらを無造作に蹴り捨て……

 

『ふむ、まだ隠れているオトモダチも居るみたいですねぇ』

 

…まさか、こっちに気付いてやがるのか!!クッ!まさかのターミ●ーターなだけはある、なんかセンサーとかレーダー的なモンは搭載してるってワケか…!

 

「……とう………提督」

 

「なんだ?」

 

アヤセ(仮)は拳を握り締め、こちらには視線を向けずに言った…

 

「私がやる、提督達は邪魔だけはしないで、ヤバいと思ったらすぐに逃げて」

 

「あ?おい、ちょ!待て…!」

 

「大丈夫よ、私はとっくに夕張母さんより強いから、まぁ…こんなコト、プライドの高い母さんには言えないけどね!」

 

アヤセ(仮)はニヤリと笑って飛び出した!!

 

 

「ドクター・モロォォォォォォ!!お前はだけは許さねぇぞォォォ!!」

 

ガンッッッ!!!(激突!)

 

「………ほぉ、これは………私の知らない艦ですね、艤装から察するに夕張型軽巡に近いですが、ところどころ未知の要素が、これは面白い!」

 





次回は⑤、たぶん本編最後の⑤

とびっきりの超決戦!激突!破壊神ア●スVSスーパード変態・神!

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