不健全鎮守府   作:犬魚

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正々堂々と試合開始!

【登場人物】

提督(ド外道)
球種はファックボールのみのファックボーラー

鳳翔(ビッグママ)
バ…




提督と燃えるオン・ファイヤー

たまには真面目にめんどくさい仕事しようと考え、五月雨と共に基地施設内の消火機器点検をしながら基地の中をブラブラ歩いていると、グラウンドの方からクズどものアツい声援が聞こえるので覗いてみると、クズどもが元気にヤキュウに興じていた…

 

「出たーッ!衣笠さんの44ソニック!」

 

「あの球を受けて無事にバッターボックスを降りたヤツはいねぇぜーッ!」

 

「あのMAJOR級の強打者に対して一歩も引かねぇピッチング……まったく!衣笠さんは最高だぜ!」

 

今日のゲームはMAJORの怪物を擁する読捨ジャイアニズムと重巡のみが所属する殺天エンジェルスのデイゲーム、先発のマウンドに上がったマグナムエースの異名を持つ大エース、衣笠さんのマグナムピッチングの前にジャイアニズムは手も足も出せない状況らしい…

 

そして、そんな白熱のゲームをフェンス越しに見ながらバカみたいに長い煙管をプカプカ吹かしている妙齢のバ…

 

「よぉ、ビッグママ!」

 

「ん…?誰かと思えばBOYとサミーじゃないかい、アンタらも見に来たのかい?」

 

「いや、通りすがりだよ」

 

「ふ~ん」

 

ビッグママこと鳳翔はフーッと煙を勢い良く吹き、そうかいとか言いながら五月雨にベンチ空いてるから座りなと言ってベンチを勧めた

 

「ジュースはないけどお茶もあるよ、ほら、飲みな」

 

「ありがとうございます」

 

五月雨は俺に対しては決して見せない満面の笑みでママからペットボトルを受けとり、ベンチに座った

 

「ママ、俺のは?」

 

「ないよ」

 

「ないのかよ」

 

このバ……いや、老けて見えるだけで意外と若いってハナシだが、実際のところはよくわからねぇが…

 

「で?どうなんだ?ママから見て、今日のゲームは」

 

「フーッ~………そうさねぇ、まぁ、今日のガッサはかなり良い仕上がりだからねぇ、アレを打ち崩すのはあの外人さん達でも難しいだろうね」

 

「ふ~ん」

 

たしかに、絶好調時の衣笠さんが打ち込まれたと言う話は聞いたコトすらない、そもそも衣笠さんの44ソニックは外野まで飛ばす事すら難しい…

 

◆◆◆

 

「打ったァァァァァ!!44ソニック敗れるーっ!ついに衣笠無敵の必殺魔球が打ち崩されたーッ!」

 

「イントレピッド!イントレピッド反撃の2ラン!やはりMAJORはハンパではなかった!MAJORの怪物!スカイ・ママーっ!」

 

7回、ついにMAJORが本気を出したか、無敵の44ソニックを打ち返され、マウンドで膝を折る衣笠はマジかよオイと天を仰いだ…

 

「ガサ!切り替えて行こう!」

 

「そうだぜガッサ!」

 

「オレ達はまだ負けちゃいねぇーぜ!」

 

高雄に妙高、普段は顔を合わせたら即殴り合いを開始する2人も今は同じチームメイト、いや、むしろ今もそんなに仲良くないが同じ殺天エンジェルスの仲間である…

 

思えばこのチームは最初はギスギスしていた、高雄姉妹と妙高姉妹と言う不倶戴天の敵同士であり、口を開けば“殺すぞ”としか言わないこの天敵達をチームのリーダーである古鷹がまとめ、チームとしてスタート、当初はラフプレー上等のダーティーなチームだったが、衣笠はそんなチームに仲間の大切さ、そして正々堂々と戦う素晴らしさを自らのプレーを通して皆に教えてきた…

 

「…オマエ達」

 

チームメイト達のアツいエールを受け、衣笠は再び立ち上がる、必殺の44ソニックはたしかに敗れた……だが、自分にはまだこんなに頼れる仲間達がいる!その想いが勇気となり、衣笠は再びマウンドに立った!

 

「そう、まだ負けてはいない、行くぞォ!この一球は激しく重いぜ!」

 

「が…ガッサ!」

 

「ガッサの眼に炎がッッッ!!」

 

「へへっ、ガサのヤツ…いよいよ本気になったらしい」

 

44ソニックではない、衣笠の新たな魔球…ッ!

 

◆◆◆

 

「フーッ~…勝ったねぇ」

 

「なんて球だ……なんて球だッ!!」

 

衣笠さんの新魔球!アステロイド・キャノン!

その破壊力はバッターをも吹き飛ばし、堅い地面すら抉るケタ違いの威力ッ!その、新魔球の前に、バッターボックスに立っていたサラトガはまるで死んだヤム●ャみたいなポーズでグラウンドに横たわっていた…

 

ちなみに、判定はストライクである(これ重要)

 

「提督のファックボールもアレですけど、やはり衣笠さんはレベルが違いますね」

 

「まぁ、衣笠さんから見れば俺のファックボールなんぞ児戯に等しいからな」

 

「ガッサとアンタじゃメジャーリーガーとヤキュウはじめたてのリトルボーイさね」

 

現在は“どんな相手にも正々堂々”が信条の衣笠さんだが、一時期、闇堕ちしていた時期にエレクトリック・デストロイヤーなる殺人ボールを投げていた事もあり、その破壊力たるや良くて病院送り、最悪天国直行となる…

 

「そう言えば衣笠さんは提督のこと嫌ってますもんね、卑劣・卑怯を信条とするスポーツマンシップの欠片もない外道って」

 

「ガハハハ、こやつめ!言いおるわい!こやつめ!」

 

だが、そんな衣笠さんを、それでも愛そう!

 

そして、試合はサラトガに続きアイオワもアステロイド・キャノンの前に三振に倒れ(物理的に)44ソニックを打ち破ったイントレピッドも三振に打ち取り、試合はエンジェルスの逆転でゲームセットに終わった…

 

‐‐‐

 

後日、ママの店で基地スポを眺めつつ煙草に火を点けた俺はママにバーボンと頼み、濃厚メ●ミルクの入ったグラスが出てきた…

 

「フーッ~…大鯨ホエールズ、泥沼12連敗か」

 

やっぱ速吸クンいないとダメだな

 





次回からたぶん長編回ですって、たぶん

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