不健全鎮守府   作:犬魚

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第1部最終回、提督はいません

【登場人物】

新時代に生きる最悪の世代
各国、各勢力の一癖も二癖もある新時代の豪傑達

リシュリュー
かませ犬、最悪の世代には入れなかった






提督不在の世界の車窓から

【実家に帰ります】

 

シンプルな書き置きを残し、姿を消した提督…

その衝撃的な事実は瞬く間に基地を駆け巡り、この海にひしめく猛者達の誰もが新時代の幕開けになるであろう事を確信していた…

 

 

「なぁんですって!?それは本当なの!?」

 

寮の外で犬に餌をやっていたレーベくんとマックスくんからAdmiralが突如として消えたと聞き、私はあまりの衝撃に持っていたドーナツの紙袋を落とした…ッ!

 

「ホントだよー」

 

「なんかいつの間にか消えていたらしいわ」

 

「ホラーだよね」

 

なんでも、執務室の冷蔵庫には飲みかけのコーラが残されたままになっており、まるで忽然と姿を消してしまったようだとの事だが…

 

「ふ、ふふふふ……あはははは!アーッハッハッハッハー!!そうとワカればこうしちゃいられないわ!レーベくん!マックスくん!」

 

Admiralと言う目の上のタンコ・ブーが消えた事により、この基地における不戦の約定は解かれたも同然!空席となっているテートクの座を巡って誰も見たコトがない戦いが起きる、そして………新たにこの基地を支配するのは我がドイツ、いえ、ビスマルクのアネゴ以外の何者でもない!

 

「豪傑どもの新時代の幕開けよ!レーベくん!マックスくん!ここから先は真の強者だけが生き残る…っ!アハ!アハハハハ!アーッハッハッハッハー!」

 

「…レーベ、プリンツはどうしたの?」ヒソヒソ

 

「さぁ?暑いし、ちょっとおかしくなってるんじゃないかな?」ヒソヒソ

 

Admiral Hipper級 3番艦 重巡洋艦 -Prinz(プリンツ)-Eugen

提督好感度 -3億8000万

 

◇◇◇

 

「ナニ…?同志提督が?」

 

そして、基地施設内に作られたサウナ室では革命軍のメンバー達が肌に粗塩を塗り込み、アツい革命の汗を流していた…

 

「Ер、忽然と姿を消したそうだよ」

 

革命軍幹部 元・暁型 2番艦 駆逐艦 -精密機械(ファイティングコンピュータ)-Верный

革命レベル 550万

 

「フッ………同志提督がな、なるほど」

 

「ん?同志テイトクーがどうしたって?」

 

革命軍幹部 Ташкент級 1番艦 駆逐艦 -伝説の禁断-Ташкент

提督好感度 2億7000万

 

「同志ちっこいの、そして同志ちっこくないの、どうやら我々革命軍も本格的に動く時が来たらしい、ククク…なるほど同志提督め、このタイミングで動くか、まったく、参謀総長自ら動くとは………だがそれでいい!」

 

ガングートはガバッと立ち上がり!男の中の男らしくタオルを振って自らの股をパンパンと叩き、流れ出る汗を飛び散らせた!

 

「よし、各地に散る革命軍幹部を全員召集だ!」

 

革命軍総司令 Гангут級 1番艦 戦艦 -極限(ファイナル)ファイナル革命-Гангут

革命レベル 10億

 

◇◇◇

 

「サラ、ショーユーとって、ショーユー」

 

「またショーユー?かけ過ぎは身体に良くないって言ってたわよ?」

 

「うっさいナー、サラはmeのmumかっーノ」

 

最近ファーストフードに飽き、健康的な日本食がマイブームになっているアイオワは醤油を受け取り、冷ややっこが黒く染まる程度にドボドボとかけた

 

「そんな黒い液体身体にいいワケないじゃない、ほら、こっち使ったら?」

 

そう言ってサラが取り出したのはキ●ーピーでお馴染みのアレ、マヨネーズ…

 

「Offu………no、サラ、サスガにそれはないワ」

 

「そう?mayonnaiseはサイコーよ、何にでも使えるし」

 

サラはマヨネーズを冷ややっこにブリュブリュとかけ、ゴキゲンな日本食ねと言いながらそれを口に入れる姿を見て、正直、アイオワはドン引きした………こう言っちゃなんだけどアレはもうイヌのエサねと思ったけどアイオワは空気読めるし根は心優しいので友情を優先し、それを口には出さなかった…

 

「………マ、いいわ、サラ、私、今日はサムとtrainingするワ」

 

「そう、あ、マヨネーズ持ってく?」

 

「………イラナイ」

 

Iowa級 1番艦 戦艦 -キンパツの悪魔- Iowa

艦娘強度 7800万パワー

 

Lexington級 2番艦 正規空母 -天使と悪魔が棲む技巧空母- Saratoga

艦娘強度 1億パワー

 

◇◇◇

 

「ね、ねぇ…ローマ、聞いた?なんでもテイトクが居なくなったらしいって…」

 

「へぇ…」

 

小粋な昼下がりの午睡、寮の自室でお茶を飲みながら週刊誌を読んでいたローマはオロオロとしている姉にチラリと視線を向け、再び誌面に視線を戻した

 

「いや、へぇ…って、大事件じゃないの?いや、大事件でしょ!?テイトクが居なくなったのよ!?」

 

「フーッ〜………どうせたまには実家に帰省してるとかそんなのでしょ?」

 

「そ、そうかなぁ…」

 

たしかに、提督は実家に帰りますと手紙を残しているとの話だが、ひっそりと姿を消したらしく、誰も提督が基地から出て行く姿を見たものはいないらしい…

 

「そんなことより姉さん、また太ったんじゃない?」

 

「太ってないよ!?」

 

「ナニ食ったらそんないやらしい身体になるのかしらね、ピザかしら?」

 

むしろアナタの方が食べてると思うんだけど……と言いかけたイタリアはやっぱりやめた、この妹であるローマに下手に食ってかかると痛い目にしかみない事を言葉ではなく心で理解しているのだ…

 

「あ、そうそうローマ、リベッチオが宿題教えてーって言ってたわよ」

 

「イヤよメンドくさい、あの子いくら教えてもわかりゃしないド●能だもの」

 

「ド●能とか言っちゃダメよ!?」

 

「はいはい、クサレ脳ミソね、クサレ脳ミソ…姉さんはいちいち細かいわね、そんないやらしい身体してるくせに」

 

「いやらしい身体関係ないでしょ!?ってか、そんなにやらしくないわ!」

 

 

Vittorio Veneto級 2番 4番 戦艦姉妹 -ネオヴェネチアの処刑人- Italia Roma

 

 

◇◇◇

 

提督が消えたと言う話は最強最悪と名高い戦艦姉妹、金剛姉妹の住む天動宮にも伝えられていた…

常日頃より、提督の命を狙う姉妹の長女にして頂点、金剛は座してその話を聞き、静かに目を開いた…

 

「ヤツが…?」

 

「はい!まるで夢か幻のように消え失せたと…」

 

次女、比叡からの報告に間違いはない、なにせ提督が去るその姿を誰もが見ていないのだから…

金剛にとって、提督とは必ずこの手で叩き潰すべき宿敵………もし、その提督が姉の、金剛の剛拳が永遠に届かぬものになっているとしたら、この姉はいったいどうなってしまうのか?提督の胸を貫く為に鍛え続けた日々は全て水泡に帰したとなれば、この溢れ出る力をどこにぶつけるのか…

比叡だけではない、榛名、そして霧島も長女金剛の静かな沈黙に生きた心地がしなかった…

 

「フッ……くだらない」

 

金剛は一笑に付した

 

「あの男は必ずワタシの前に現れマース、ソウ………必ず」

 

いつの日か必ず、命を賭けて死合うと拳と拳で誓った約束を違えるコトはありまセーンと言い、金剛は再び目を閉じた…

 

「フッ…まったく、私達の姉者はとんでもない御方ね」

 

「とんでもない姉者でも榛名は大丈夫でした」

 

「そうね………あ、そうそう、霧島、榛名、さっき廊下を歩いてたら自分が最強だとか勘違いして金剛の姉者に喧嘩売りに来たミジメなゴミクズがいたんだけど」

 

比叡は壁に大の字になってメリ込み、動かないフランス艦を指差し、妹達に後で捨てて来てねと言ってお茶を買いに立ち上がる…

 

「フッ、自称、最強ね……残念ね、この海にはアナタ程度では手も足もでないホンモノの怪物がいるのよ」

 

「いるんですよね、自分は最強だと勘違いしちゃってる残念なルーキーが」

 

金剛型 1番艦 戦艦 -風の拳- 金剛

危険度★★★★★★★

 

◇◇◇

 

陸奥には長門の知らぬ技がある…

 

全基地オープントーナメントはあまりにも凄惨な幕切れとなり、勝者である陸奥は長門を抱えて去って行った…

 

そして…

 

舞台はアメリカ、ブラジル、そして………密林へと消えて行く後ろ姿を見送りつつ我々はこう感じた…

 

伝説はまだ、終わらない……と

 

「……よし、これでいこう!」

 

この夏休み中に仕上げた原稿をトントンと重ね合わせ、大判茶封筒に入れ、憧れのジャ●プで連載する為の第一歩!テツカ賞へと挑戦する!そう、この原稿はハゲしく重いぜ!だがこの秋雲は投稿するッ!例えこの腕がベッキリ折れようともーッ!!

 

「ウヒャヒャヒャ!待ってろや団地妻エイジー!この天才漫画家秋雲さんがオマエなんかすぐに追い越してやるからなー!ウヒャヒャヒャー!」

 

 


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