不健全鎮守府   作:犬魚

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八月最初はど真ん中に投げ込んできました

【登場人物】

提督(心頭滅却すれば……なワケない)
海風ねーちゃんは今年もドスケベだなぁ

山風(ドヤァ!)
海風姉ぇはドスケベ姉

五月雨(バニラ派)
海風?あぁ、スケベボディですよね


提督と山風とミズギダイバーズ

今日も猛暑日だか真夏日だかよくわからないがとりあえず一歩でも外に出るとデスバレーかと思わざるを得ないそんな日、執務室を冷房でキンキンに冷やし、冷たい麦茶を飲みつつ月初の書類仕事に従事していると、執務室の重厚な扉を勢い良く開き、緑色のトゲトゲしい頭をしたチビが入って来た…

 

「…どう?」

 

「いや、いきなりどう?と言われてもな」

 

「…どう?」

 

「いや、いきなりどう?と言われてもな、あと、顔が近い、顔が」

 

緑色のトゲトゲしい頭をした改白露型のプッツン姉妹の一人、山風は何事がよくわからんがこのクソ暑いのにグイグイきた、そう、物理的にグイグイきた…距離が近い、距離が、なんなんだ?一体…?

 

「あ、山風さん水着買ったんですね」

 

相変わらず自分の机でクロスワードパズルをやっていた五月雨はグイグイきてる山風を見て、一目でただのトゲトゲでない事に気付いたらしい

 

「水着だぁ?」

 

…言われてみると、たしかにいつもよりは薄着的に見えると言うか肌色多めと言うか……まぁ、たしかに水着っぽいな、そういや去年、海風ねーちゃんが似たようなの買ってたな、アレはアレでドスケベ水着だったが…

 

「ふ〜ん、まぁ似合う似合う、似合うからちょっと離れような、邪魔だから、サミー、彼女に冷たい麦茶を淹れてあげなさい」

 

「はいはい」

 

俺は張り付き気味の山風をひっぺがし、あっちのお客様椅子にでもいってなさいと懇切丁寧に右手でジェスチャーをし、五月雨は棚からカルピスの瓶を取り出して氷を入れたグラスに4:6の濃度で割ってぐるぐるとかき回して山風に渡し、ついでに、冷蔵庫に入っていた水羊羹もどうぞと出していた…

 

「オイオイオイ、五月雨クーン、その水羊羹、提督のなんだけどー?提督が香取先生から貰ったんだけどー?」

 

「何個かあるからいいじゃないですか」

 

「まぁ、何個かあるけどな」

 

先日、街に鹿島先生とお買い物に行った香取先生からどうぞと言って戴いた水羊羹、まったく……いつだって気遣いの心を忘れない香取先生には感動すら覚えるのだよ

 

「…ありがとう」

 

「どうぞどうぞ、外は暑いですからね」

 

五月雨にしては珍しく妹に優しいな……たぶんアレだろう、去年、一つ下の妹が買った水着姿がかなりドスケベだったコトにはイラついてたが、おそらく、二つ下の妹の水着は五月雨的にはまだイラつかないスケベ度なのだろう…

ただ、提督的にはこの山風の方が五月雨より未来を感じるのだが…

 

「…♪」

 

山風はカルピスと水羊羹にゴキゲンな様子でお客様椅子でパタパタと足を動かしている

 

「しかし水着か……ナニ?明石の店で買ったのか?」

 

「…そう」

 

「ふ〜ん」

 

そういや明石のヤロウもアツいアツい言って水着的なモン着てウロついていたな、アイツは仕事をなんだと思っているのだろうか?クールビズか?いや、クールビズの一環だろう、たぶん

 

「…帽子も」

 

「ふ〜ん」

 

山風は妙にデカい麦わら帽子のツバを摘み、珍しくドヤァ!と言いたげな顔して再びこっちにやって来た

 

「…どう?」

 

「似合う似合う、あと、距離が近い、距離が、麦わらがチクチクする、麦わらが」

 

「…帽子は、明石さんがくれた、日差し強いから帽子被ってないとダメだよ、って…」

 

「ふ〜ん」

 

明石のくせに随分まともなコト言いやがる、あのお金大好き淫乱ピンク、お金が好きで好きでしょうがない生粋のクズだがこのチビには甘いらしく、それはもうメープルシロップのように甘い

 

「…提督、それ、もう終わる?」

 

「まぁ、やる気だせばな」

 

出ないけど

 

「…それ終わったら、遊びに、行こう……海、浜とか」

 

「え?やだよ、メンドくさい、海風ねーちゃんに連れてって貰えよ」

 

「…海風姉ぇは………ちょっと、忙しい」

 

「大丈夫だって、海風ねーちゃんは頼めばナンだってしてくれるって、なぁ?五月雨クン」

 

「そうですね、ちょっと頼めばパ●ズリぐらいしてくれるんじゃないですか?あのスケベボディで」

 

「女の子が平然とパイ●リとか言うんじゃないよ、なんてコト言うのかねこの子は…」

 

五月雨の海風に対する憎悪の闇は深い…

そんなに一つ下の妹がスケベボディなのが気に食わないのだろうか?意外と心狭いなコイツ……いや、意外でもないか

 

「あ、そーだ、オマエ連れてってやれよ」

 

「え?普通にイヤですよ、暑いじゃないですか」

 

いやだわこの子ったら、可愛い顔して遊び球無しのストレート投げ込んできやがる

 

「バカお前、可愛い妹がわざわざ頼んでるんだぞ」

 

「提督にバカとか言われたくないです、あと、山風さんは私ではなく提督にお願いしに来たんですよ?空気読んでくださいよ、バカなんですか?」

 

「なん……だと?」

 

こ……このクソ暑いのに、俺に海水浴場に連れて行けと…?あ、ありえない…!なんて鬼畜…っ!まさに悪魔的発想!常人には考えつかないであろう悪魔的頭脳…っ!

 

「まぁ、普通にイヤだがな」

 

俺は山風をひっぺがしお客様椅子に放り投げて再び仕事を再開した

 

「…早く、終わらせてね」

 

「無理、今日は一日かかるなコレは」

 

「…さっき、すぐ終わるって言ったのに…」

 

冗談じゃないよこの子は、このクソ暑い中お出かけとか死ぬしかないじゃないの?

 

「…じゃ、今日はここでダラダラする」

 

山風はお客様椅子からゴロゴロと転がり、三度俺のところへやって来ると、今度は内側に潜り込んで俺の膝の上で座り込みを開始した…

 

「邪魔なんだが?」

 

「…邪魔じゃない、ほら、早く続き」

 

「いや、邪魔なんだが?」

 

「…いいから、それ、印鑑押すの?貸して」

 

「ダメダメ、遊びでやってるんじゃないんだよ」

 

「…いいから、貸して!」

 

 

結局、仕事自体は午前中に終わってしまい、その後も山風からまとわりつかれた俺は、面倒くさくなったのでマミーヤでかき氷でも食わせたらおとなしくなるだろうと考えマミーヤに行ったらクッ殺女騎士とナツヤス・ミーの宿題に苦しめられているジャーヴィスと鉢合わせし、山風のドヤァ!にプッツンしたジャーヴィスは直ちに殴り合いのケンカに発展し、キィーキィー醜い罵り合いをしながらゴロゴロとマウント争いを始め、マミーヤで暴れ回った結果、二人とも間宮から尻をブッ叩かれて正座させられた…

 

夏だからって調子に乗るとロクな目に合わないものだ


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