【登場人物】
提督(ミジンコ泳法)
アツさのあまり、水に飛び込みたい
熊野(ミジンコ泳法)
エセガント末妹、提督とはわりと仲が良い
鈴谷(小堀流踏水術)
ビッチ
ろー
救急救助が得意ですって!
「ティーッス、鈴谷が遊びにきましたよォ〜……って、あれ?サミーだけ?提督は?」
暑さZENKAI!とびっきりのアツさが続く真夏の日、提督とゲームでもして遊ぼうと考え執務室へ行くと、今日もディープブルーな髪色、サミーしかいなかった…
「提督なら今日は熊野さんと市民プールに行くとか行ってましたよ」
「………は?」
「提督なら今日は熊野さんと市民プールに行くとか行ってましたよ、あと、お茶でも飲みますか?」
サミーは冷蔵庫から麦茶の入ったペットボトルを取り出し、グラスに麦茶を注ぎ、どうぞと言って鈴谷に手渡してきたので、とりあえずそれをイッキに喉に流し込む………うっ!キンキンに冷えている…っ!
「ぶはぁ!!キンキンに冷えてやがるぅ!」
「えぇ、まぁ」
「………それで?サミー、今、鈴谷の聞き間違いじゃなければ提督は熊野と市民プールに行ったと?」
「えぇ、そう言いましたが?」
「熊野と市民プールに行ったと?」
あ……あの野郎ォ、こ…このメインヒロインである姉の鈴谷様を差し置いて提督と市民プールに遊びに行っただとぉ…!!わ…若い男女が…っ!いや、提督は若いか若くないかアレだけど、まぁいいや……若い男女が市民プールに遊びに行くなんて最早それはおデートに等しい…っ!!今頃あの野郎、カキ氷が食べたいですわー!とか言って無い胸張って提督にカキ氷を買って貰い、帰りは小粋なカレー屋でカレーでも食べて帰るに違いない!!
「ファーックス!!熊野の野郎ォ!ゆ…許さん!絶対に許さんぞォォォ!!」
「はぁ?とりあえずお茶でもどうですか?」
サミーから手渡されたグラスを再びイッキし、キンキンに冷えた悪魔的な麦茶を流し込み、グラスをプロージット!と言って床に叩きつけた鈴谷はサミーの両肩をガッシリ掴んだ!
「鈴谷も行く!!あ、でも水着ねぇよ!今年まだ買ってねぇよ!!去年のとかマジ恥ずかしいから着たくねぇし……あ、そーだ、サミー!水着買いに行こーぜ!水着!」
「普通にイヤですよ、あと、グラス割ったの片付けてください」
◆◆◆
市民プール、それは夏の市民の憩いの場である…
海に行くのは面倒くさい、大型レジャープールに行っても人が多すぎて流れるプールがまったく流れない芋洗い場的な感じはゴメンなのだよ、と言った点からこーゆーしょーもないプールに来る客もそこそこ多い…
「よーし!そこで息継ぎだ!タイミングはヒィヒィフゥー!ヒィヒィフゥーだ!」
「ヒィ…ヒイィィィ!ぶっ、ぶあっ!足、足が攣りましたわー!!」
先日、今年こそ25メートル泳ぎますわー!とかほざく熊野に25メートル泳ぐ為のティーチをしてくださいましと頼まれ、近所にある人のやたらと少ない事で有名なショボい市民プールにやって来たワケだが…
「足が攣りましたわー!」
「うるせぇよ、足は底に届くだろーが」
「そうでしたわ、でも足は攣りましたわ!」
熊野はヒィヒィ言いながらプールサイドまで腕かきでやって来てアブないところでしたわと言ってプールサイドのヘリを掴んだ…
「オマエ、よくそれで艦娘とか言う海が仕事の職に就けたな」
「えぇ、我ながらよくやってますわね」
「よくやってますわね、じゃねーよ、普段海で大破とかした時はどうしてんだオマエ?」
「どう……?と言われても、アレですわ、不思議な力が働いて沈みませんし、海に叩きつけられるのもコンクリートの床に叩きつけられるのも変わりませんわ」
「ふ〜ん」
なんだよ不思議な力って…?いや、冷静に考えるとコイツら全員、バカみたいに重そうなモン担いだり背負ったりして海に出てるのに沈まないんだよな、よくよく考えると不思議なモンだ
「休憩ですわ、休憩、提督、私カキ氷食べたいですわ」
「甘えるな」
俺は熊野のアホヅラに蹴りをぶち込み、浅く明るいプールへと叩き落とした
「痛いですわ!って…あ、痛い!痛い痛い!また足が攣りましたわー!」
熊野はヒィイ!ヒィイ!とか言いながらバシャバシャと愉快なオブジェみたいな形で溺れているので、俺はそんな熊野を見て、喉をトントンと指先で叩き“上がって来い、ここまでな…”と親切なジェスチャーをしてジュースを買いに行った…
ーーー
「さて…コークでも買うか」
やっぱ夏はコークだな、以前、誰かがあんな黒い液体が身体に良いワケがないと言っていたがやはり夏はコークだ
「あ、テイトクですって!」
「ホントなのね!」
「あ?」
自販機の前で何番目のコークにしようか悩んでいると、なんか見覚えにあるツラしたバカどもが歩いてきた…
なんで潜水艦のアホどもがここに…?
「よぉ、クズども、ナニやってんだ?こんなとこで」
「クズじゃないのね」
「ろーちゃん達、今日はここでタイムアタックするですって」
「ふ〜ん」
呂500曰く、一番泳ぎが上手い潜水艦は誰か?潜水艦なら誰もが一度は夢を見る地上最強の潜水艦、その、地上最強の夢を諦めきれなかったバカどもが今日、この市民プールでタイムアタック勝負して最下位は今日の酒代を奢りにしてるそうだ………ちなみに、14ティンは入口で泥酔者認定され戦う前に負けたらしい
「ま、ガンバレよ」
「テイトクも仲間に入れてやろーか?」
「冗談じゃないのだよ」
「ハッ?ムリムリ、こんなモクモクしちょるだけの敗北者、相手にならねーでち」
「あ゛?」ピキッ!
「ハッ?永遠にモクモクしちょるだけのミジメな喫煙者がテイトクでち、どっか間違ってるでちか?」
オイオイオイ……なんだァ?テメェ、どうやらこの俺にケンカを売っているらしいな、面白い、こう見えても昔はゲェーッ!まるで河童じゃあ!と讃えられた泳ぎ上手よ…
「面白ぇ、いいぜ、その挑発に乗ってやろーじゃねぇの三下潜水艦がァ…」
潜水艦どもはよっしゃあ!今日の飲み代ゲットォ〜だのキャッキャとハシャいでいるが、舐めやがって…貴様らのPRIDEと水着、ズタズタにしてくれるわい
そんなワケで潜水艦のクズどもと25メートルの深くて暗い本格プールへと歩いていると、浅くて明るい子供プールの側で熊野の野郎がまるで打ち上げられたマグロのようにビタンビタンとハネていた…
「ナニやってんだオマエ」
「あ…足、足が…足がぁぁ…げほぉ!!」
どうやら水を大量に飲んだらしい熊野は水を吐き出し、俺にBUKKAKEてからグッタリとして動かなくなった
これはまぁ……アレか、溺れてしまった場合のアレとかした方がいいのか?
「え〜…まずはなんだっけか?意識の確認だっけか?」
ビタン!ビタン!(ビンタ)
「いた…痛い、痛いですわぁ!」
「意識無し!意識なーし!次、え〜……周りの人に助けを呼ぶだったか」
「ろーちゃん救急救助得意ですって!」
「でかした!」
さすがはUと違って悪そうな
「カウンターショックですって!!」
バチバチバチバチィ!!(カウンターショック)
「うぼぇ!!」
熊野の身体がビクーンとハネ上がり、あががが…とか言いながら再び水を吐き出した…ッ!フッフッフッ…なかなかやるじねぇか、なぁ、ろーよ…フッフッフッ
「………って!!痛いですわ!このクソヤロー!」
死の淵から蘇った熊野はろーの胸ぐらを掴み、オーバーヒー糸ーッ!とか言いながらプールにブン投げて吠え、潜水艦どもは仲間がヤられた事にブチギレた
「この野郎ォ!よくもアタシらのダチをーッ!」
「このプールから生きて帰れると思わないのね!」
「明日の朝刊載ったゾ!テメー!」
「フッ、上等ですわゴミクズども!全員まとめてそのオシャレな水着Tバックみたいに食い込ませてウォータースライダーに流し込んでやりますわー!」
こうして、アホの熊野と潜水艦どもは市民プールにて血を血で洗うデスマッチを開催し、最初、意外にも熊野は潜水艦どもを圧倒し善戦したものの、やはり数は力だったか、潜水艦どもにフクロにされてプールサイドからプールに向けて決着のブレーンバスターを喰らってKOされた…
◆◆◆
「………まったく、酷い目に遭いましたわ」
重巡寮、さわやか寮に帰ってきた熊野は痛む身体のふしぶしを気にしつつ、明日はエステに行きますわと決意を固めて自室の扉を開き…
「帰りましたわよー……って、ナニしてますの?」
姉であり、同室の相棒は鏡の前でなにやら怪しげなポージングをしていた…
「ご覧の通り、新しく買った水着の試着じゃん?どーよ?」
「そうですわね……下品な乳ですわ」
「うるせーよ!下品じゃねーし!」
「あとチ●ビ勃ってますわ」
「勃ってねーし!」