不健全鎮守府   作:犬魚

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引力=愛

【登場人物】

提督(メガネ男子)
メガネなのにまるで知性を感じないメガネ、あふれる知性で返り討ちにしてやろう…

鈴谷(難攻不落のビッチ兵)
自称メインヒロイン様、ポジティブオブポジティブ

夕張(腹立つウエスト)
ハッキリ言って自信作でない日は以外はわりとマトモ






提督と鈴谷とメガネがねえ

「ティーッス、鈴谷が遊びにきま……って、誰?」

 

「誰だじゃない、提督だ」

 

昨日の夜、明石と飲みに行った俺は久々にイイ感じに飲み歩き、久々に大人の夜を満喫し基地に帰って来たのだが………朝、起きてみるとメガネがない事に気付き、俺の部屋でグースカ寝てた明石に俺のメガネ知らねぇかと尋ねると、そんなモン知るワケないとまるで他人事のように言われたコトについカッとなり、腹キックぶち込んだら朝っぱら光る吐瀉物を俺のベッドにぶち撒ける大惨事となった…

 

「メガネじゃないじゃん?メガネは?」

 

「失くした」

 

「失くしたって……メガネってフツー失くすモンじゃなくね?」

 

「失くしたモンは失くしたんだよ、っーかオマエは誰だ?」

 

「鈴谷だよ!」

 

「なるほど……このビッチ臭はたしかに鈴谷か村雨だな」クンカクンカ

 

「ビッチ臭とかしねーし、ってかナニ?提督、メガネないとナニも見えない系?」

 

「まぁな、この距離だと輪郭が微妙にわかる程度か、ちなみに今、俺の目にはビッチ臭い長ねぎみたいなのしか見えん」

 

「誰が長ねぎだし」

 

たぶん鈴谷的なナニかはビッチじゃねーしとか言いながらこちらに歩み寄り、執務机によっこらせっくすとか言いながら座った

 

「机に座るな、殺すぞ」

 

「え?ナニナニ?マジ見えてないの?今、鈴谷スカート上げてお気に入りの超エロいパンツ見せてるけどマジ見えてねーの?」

 

「見えとるわい、オマエのクソ汚い黄ばんだ尿漏れパンツがな」

 

「ハァ!?クソ汚くねーし!ってか黄ばんでねーし!」

 

こんだけ近けりゃ見えるってのな、ナニが超エロいパンツだ、いつものしょーもない安物じゃねぇか

 

「ちなみにサミーは?今日休み?」

 

「休みだ」

 

「ふ〜ん、あ、じゃ、今日は鈴谷が秘書的なコトしてやろーか?日給1万円で」

 

「何が日給1万円だ、そもそも今日は大した用事もないし…新しいメガネでも作りに行くか」

 

「新しいメガネねぇ、あ、じゃ、鈴谷も付き合ってやろーか?メガネ屋行くんでしょ?」

 

「そうか……じゃ、付き合ってくれ」

 

「だよねぇ〜…ってか提督は鈴谷に対して厳しすぎ………ん?」

 

「なんだ?」

 

「あの……提督、今、なんと…?」

 

「なんだ?」

 

「その前ッ!!」

 

「付き合ってくれと言ったが?」

 

そもそもメガネがないと1メートル先も怪しいしな、間違っても車の運転も出来んし、誰か車持ってるヤツに街まで乗せて貰うつもりだったが……

 

「ほ、ほぉ〜…その、アレですか?今、提督は鈴谷の力が必要的なアレでしょうか?」

 

「まぁぶっちゃけオマエじゃないでもいいがな、足柄あたりなら暇してそうだし」

 

「いやいやいや!足柄サンなんか今日忙しそうだったよ!なんか朝からヘーイ!カモンカモーン!ハァイ!クラックシュ!とか行ってライン移動してたし!」

 

アイツ一体何と戦っているのだろう…?まぁ、足柄だって忙しい日もあるか

 

「じゃ、香取先生なら…」

 

「香取ーヌ!香取ーヌはほら!なんかテストの採点とかしてそーだし!たぶん忙しいよ!たぶん!」

 

「…そうだな、たしかに、香取先生のお手を煩わせるには少々気が引けるしな」

 

「だからほら!鈴谷ヒマだし?ね?鈴谷が付き合ってあげるって!ね?ドコ行く?街のメガネ屋?それともイ●ンモール行く?鈴谷どこだって付き合ってあげるよ!ヒマだし!!」

 

鈴谷の野郎はグイグイと俺の腕を掴み、じゃ行こう!すぐ行こう!と俺の腕を引っ張る

 

「うるせーよ、あと、ビッチ臭い、ちょっと離れろ」

 

「ビッチじゃねーし、あと、提督周りがあんま見えてないならちゃんと掴んでないと危ないじゃん?」

 

◆◆◆

 

そんなワケで、提督と街のメガネ屋へ行く事になったワケですが…

 

「しかし見えねぇなオイ」

 

「見えねぇなオイ、じゃねーし!なんでさっきから腕を動かす度に執拗に鈴谷の胸を鷲掴みにすんの!?おかしくね!?やっぱ見えてね?」

 

「見えないワケじゃないが、まぁ、見えにくいってヤツだな、まぁ許せ、ハッハッハ」

 

「ハッハッハじゃねーし!なに見えねーコトを良いコトに堂々とセクハラしてんの!?」

 

この野郎、やっぱ見えてるんじゃ……ってか、近くは見えるんだっけか、じゃ、やっぱ見えてるじゃん!ラッキースケベイ的なアレじゃなくてフツーにセクハラだったよ!サイアクだよコイツ!

 

「しかし提督って…」

 

「なんだ?」

 

「メガネないとちょい若く見えるくね?」

 

「ナニがちょい若く見えるだ」

 

「どーせならコンタクトにしてみたら?コンタクト?」

 

「やだよコンタクトなんて……目の中で割れたらどうするんだ?割れた破片で眼球が切り刻まれるだろーが」

 

「や、いくらなんでもそんなアブないモンじゃなくね?たぶん」

 

どうやらコンタクトはイヤらしい、フッ、まぁ実際はどうせコンタクトを挿入れるのが怖いとかチキンな動機なんだろーけど!プー!クスクス!

 

「いらっしゃいませー」

 

そんなワケで、メガネ屋へとやって来た鈴谷達……だったが、カウンターには見知った顔が立っていた

 

「アレ?ユーバリさんじゃん?ナニしてんの?こんなトコで」

 

「おや、鈴谷さんと……誰?」

 

「あぁ?夕張だぁ…?」

 

提督はカウンターに立っているユーバリさんにまるでメンチを切るように思わずKISSしてしまいそうなぐらいまで顔を近づけた、っーか顔!顔が近い!

 

「うむ、たしかに夕張だな」

 

「あ、もしかしてテイトクですか?どーしたんですか?メガネ」

 

「失くした」

 

ユーバリさん曰く、最近ヒマなので近所のメガネ屋でバイトを始めたらしく、レンズを付けたり外したりと日々の業務に従事しているらしい…

 

「なるほど、それで新しいメガネを………あ、どうせなら新しいメガネじゃなくて新しい眼とかどうですか?よく見えますよー写●眼、今ならコンタクト挿入れるよりカンタンに出し入れできますし」

 

「いらねーよ、そんなモン」

 

「そうですか、あ、じゃコンタクトとかどうですか?コンタクト」

 

「いらねーよ、どうせロクなモンじゃねーんだろーが」

 

「いえいえ、例えばこちらの次世代型ソフトコンタクトレンズ、メニ●ン2WEEKプレミオですが、うるおいがたまらねぇです、あと乱視用のメ●コン2WEEKプレミオトーリックは見え方がめちゃ安定するらしいです」

 

普通!?このヘソチラ軽巡!普通に普通なコンタクトの営業してる…っ!?

 

「メニ●ンの次世代型ソフトコンタクトレンズ、メ●コン2WEEKプレミオと乱視用のメニ●ン2WEEKプレミオトーリックはメ●コン独自の分子構造を採用した高性能素材シリコーンハイドロゲルで安全性(高い酸素透過性)と快適性(レンズのうるおいキープ)を兼ね備えたストレスフリーな2週間交換型のソフトコンタクトレンズです」

 

「ほぉ…」

 

「いやいやいや!ガチか!?ユーバリさんなんでそんなメニ●ン推すの!?え?ナニ?金?金貰ってんの!?」

 

「いえ、単にコンタクトレンズについての説明ですが?」

 

…この女マジパネェ、いつも天ぷらソバ食ってるだけの腹立つくらいウエストに悩みとかなさそうなヘソチラ軽巡かと思ってたわー、マジ思ってたわー、ほら!あのコンタクト嫌いの提督がなんか若干コンタクトって意外といいのか…?みたいな顔しちゃってるよ!メガネ>コンタクトだったのが徐々にメガネ=コンタクトぐらいに揺らいでるよ!

 

「で、でもぉ〜…やっぱ提督はメガネじゃないと提督って気がしないしぃ〜?やっぱフツーにメガネがいいんじゃないかと鈴谷的には思うんですけどー?」

 

「オマエの意見はどうでもいい」

 

「ヒドっ!?ちょ…!ヒトを付き合わせといてそれヒドくね!?」

 

「…たしかに、今までの俺はメガネ男子である事に固執し過ぎていた、そう…今の今まで何故浜風ちゃんが俺に対して少しよそよそしいと感じていたのか……それはおそらく、レンズと言う見えないフィルターがあるせいでちょっと近寄り難いものがあったのではッ!!」

 

「ねぇよ!!単に関わり合いになりたくねーから近寄らないんだよ!」

 

「なんだとこのビッチがァ!!そんなワケあるハズないだろーがァ!」

 

…ダメだコイツ、むしろどこからのその自信が湧いてくるのだろうか?ってかどんだけ前向き?

 

「まぁ、コンタクトがちょっと……と言うなら普通にメガネでもオススメがありますよ、ほら、こちらのフレームならレッド、ブルー、ゴールド、グリーン、ミラージュなど様々なシリーズを取り揃えてます、個人的にはゴールドフレーム天とかオススメですよ」

 

「クッ…!カッコいいじゃねぇか…」

 

黒と金のシックなフレームを見てちょっと心が揺らぐ提督、ま…まぁ、ちょっとオラついてる感あるっーか、ちょっとマトモな仕事してる人向けじゃないっーか、うん、まぁ、アリちゃアリかな…たぶん

 

「で?どれにしますか?」

 

「そうだな…」

 

「あ、コレでよくない?コレ、前のと同じやつ、提督にはやっぱ似合うって」

 

同じっーか、ちょっと違うんだろーけど、いつも提督が使ってるやつっぽいのを手に取り、提督の手に渡してやった

 

「…まぁコレでいいか、じゃコレでレンズ頼むわ」

 

「え!?そんなアッサリでいいの!?」

 

「まぁ、突然ガラっと変えてもアレだしな、あとなんだ…?似合うんだろ?コレが」

 

「え?あ、あぁ…うん」

 

提督は手渡したディスプレイ用のメガネをかけて同意を求めてきたので、ちょっとビックリした………いや、ちょっと?いや、マジで

 

「わかりました、じゃ、レンズ用意して作るのにちょっと時間かかるのでマンガでも読んで待ってるか後で取りに来てください」

 

「そうするわい、オイ鈴谷」

 

「な、ナニ?」

 

「近くにラーメン屋あっただろ?メガネできるまでラーメンでも食いに行くか、提督様が奢ってやるぞ」

 

「マジ!?なんで!?」

 

「…そこまで驚く程か?まぁ、暇とは言え付き合わせたからな」

 

…ま、マジか?アレ?もしかして提督ってメガネない方が鈴谷に対して優しいんじゃ……?ハッ!?もしかしてアレか!?普段はメガネかけててパッとしないけどメガネを外すとヤダ!カッコいい!的なアレなのでは…!?

これはもうアレだよ、アレ、もう確実に鈴谷メインヒロインルートに乗ったよ、どう考えてもメインヒロイン様だよ、嗚呼、もうアレね、見えるわ!見果てぬ先まで続く鈴谷様のメインヒロイン様へのロードが!

 

「なにキモい顔して笑ってんだオマエは…」

 

「え?別にぃー!笑ってないしぃー?ってキモくねーし!」

 

ーーー

 

こうして、鈴谷達は近所のラーメン屋でラーメンを食べ、無事、提督の新しいメガネを買って帰ったのです…

 

 

「…と、ゆーワケよ?熊野ちゃんよぉ〜?どーよ?ねぇ?どーよ熊野ちゃんよぉ〜?この鈴谷様の圧倒的なヒロイン力!これはもう勝ち確よ!勝ち確ぅ!」

 

「あー…はいはい、ってか私、今、忙しいから話しかけないでくださいまし、スクワットでもしてくださいまし」


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