【登場人物】
提督(現代の産んだ歪み)
浜風ちゃんにはドキドキする
Ark Royal(覚醒の白き騎士)
ふむふむ、恋雨……コレか!
Jervis(侵略ゼロトリガー)
あのトゲトゲ?いつかストパーにしてやるワ
Warspite(女王陛下)
Arkにも頭痛いが最近はJervisにも頭が痛い
基地施設内にある海外艦の住む寮、ナショナル寮…
その、ナショナル寮の一室で一人の駆逐艦がお高価そうなマイ●ンのティーカップを手に昼間からティーを呷っていた…!
「Tea!飲まずにはいられないッ!」
最近、英国から来た新たなる駆逐艦、LuckyさんことLucky Jervisは飲み干したティーカップをこれまたお高価そうなテーブルに叩きつけた
「あのトゲトゲチビ!忌々しい!いつもいつもアタシの邪魔を…ッ!クソッ!」
「コラ、ジャーヴィス!食器をそんな乱暴に扱うんじゃない!あと、なんだその下品な言葉遣いは!」
「…チッ!またArk……まったく、いつもいつも細かいコトをグチグチと」
「なんだと?」
「なんでもないデース」
…ジャーヴィスは同僚であるアークロイヤルを舐めていたッ!それはもうベロンベロンにッ!正直、我らが女王陛下ことウォースパイトの事は尊敬しているが、この細かいコトにいちいち口うるさい女騎士に対し煩わしさすら感じている…ッ!やれ宿題はやったのかだの早く風呂に入れだのオマエはアタシのオカーサンか!ってぐらいに煩わしいのだ…ッ!
「まったく…勉強もせずにマンガばかり読んで、オマエには女王陛下にお仕えする者としての心構えが足りな…」
「ハイハイハイ!オセッ・キョーはウンザリよ!あと、今日の宿題はもー終わったシ!」
「む…そうか」
そして、アークロイヤルもこの歳若い駆逐艦、ジャーヴィスに対してどう扱っていいのかよくわかっていなかった…
「だいたいArkはアタマ硬いのよ、そんなアタマ硬くっちゃ今まで恋の一つもしてないんじゃないー?」
「恋………だと?」
「そう!恋!」
恋!その素敵な好奇心は英国紳士をも行動させる魔法の言葉!そして未知なる感情!たしかに!アークロイヤルは生まれてこの方、恋愛と言うものについて考えたことすらなかった…ッ!!
「恋のサヤアーテ!そして恋のツバゼリー!この国にも多くある恋の決闘術!」
「決闘術…ッ!?」
「Arkから見ればアタシはただマンガを読んでいるだけカモしれない、でもね!コレは恋と言う戦いの指南書なのよ…ッ!」
ジャーヴィスは持っていたマンガをアークロイヤルの眼前にズイッと押し付け、これは勝つ為に必要なBible!と力強く宣言した
「なん……だと?」
「…ま、身も心も硬度10#、Lonsdaleite bodyのArkにはワカんないでしょーケドー」
「む…むぅ」
「いい?アタシは遊んでるよーに見えてベンキョーしてるのよ、ベン・キョー!それを恋の一つもしたコトないArkにとやかく言われたくないネー!」
「クッ!」
アークロイヤルは戦慄した、この自分よりも遥かに小さな駆逐艦から感じる未知のプレッシャーに!たしかに、恋と言うジャンルにおいては自分はまったくの素人!対してジャーヴィスは玄人!
「ね?Ladyもそー思うでしょ?Arkはアタマ硬いって」
ジャーヴィスは今まで言葉を発するコトなく、ただ静かに紅茶を嗜んでいたウォースパイトに同意を求めた
「…え?え、えぇ……まぁ、たしかにArkは少々気負いすぎな部分があると言うか…」
「なんと!?」
「もう少し柔軟な考えが出来るようになればとは思いますが…」
…恋云々はいいとして、ウォースパイトとしてもアークロイヤルのちょっと残念なところと言うか、やや真面目すぎるところには頭を痛めるものがある
「クッ!じょ…女王陛下にまで指摘されるとは」
「ま、まぁ…そこがArkの良いところでもあるし…」
そして女王陛下はフォローも忘れない
「わかりました!このアークロイヤル!女王陛下の騎士としての尊厳に賭け!恋と言うものが一体何かを学んで参ります!」
「いえ、そこまで賭けなくても…」
「ジャーヴィス、次に会う時はもはや私はオマエを超える恋愛上級者だ、その首を洗って待っていろ」
「ハッ?ムリムリ、Arkにはムリネー、どーせ武器も尊厳も失ってクッ!殺せ!とか言ってるのがお似合いネー」
◆◆◆
「……と、言うワケでな」
「ナニが、と言うワケだ」
執務室で上から送られてきた米やら梅干しやら海苔やらのリストを眺めつつ、いったいコレは何のリストなんだよテメー!とツッコミを入れていたら、突然やって来た女騎士から今の今まで長々とくだらない話を聞かされた…
「このアークロイヤル、昔から剣や弓の稽古、あと家の手伝いに明け暮れくれる日々を送っていたせいか、たしかにジャーヴィスの言う恋とやらがイマイチよくわからなくてな…」
「ふ〜ん」
「そこでだ、ここは一つ、Admiralに恋とはいったいなんなのかを指南して貰おうと思ったワケだ」
ナニ言ってんだこの騎士様は…?そもそも俺に聞く必要なくね?おとなしく少女漫画でも読んでろよクソが…
「いや、別に俺に聞く必要ないだろ?」
「フッ、知っているぞAdmiral…最近、この国では、じぇいけーが冴えない中年男性に恋をする映画が流行りとかなんとか…」
…コイツ、またどっかでいらん知識を…ッ!
「ならばその冴えない中年男性に聞けば私にも恋と言うものが理解出来ると考えてだな…」
「誰が冴えない中年男性だ、冴えまくりだよ、こう見えても俺は恋愛の
「恋愛の
だがそんな俺も、若かりし頃に君の恋愛はユニークすぎる、
「そうかそうか!では教えてくれ!さぁ!この私に恋を!」
「待て待て待て、ちょっと待て!あと顔が近い!」
グイグイくるなコイツ……っーか、やっぱ見た目はスゲー美人だなコイツ、俺じゃなかったらこれだけ迫られたら即堕ちするぞ
「む、すまん」
「…はぁ、とりあえずアレだ、オマエ今現在、誰かを好きか?」
「あぁ!モチロン女王陛下に対し最大の好意と敬意を持っている!」
…ダメだコイツ
「そうじゃない、異性だ、異性、男だ」
「ふむ………田舎の父と祖父、兄弟達、あとは………Admiralだな」
「あーはいはい」
知ってた、たぶんそんな感じの答えだろうと予想してたのだよ
「よし、じゃ、オマエ、俺を見て胸がドキドキするとかあるか?」
「…?特にないな」
「よし、つまりオマエは俺に対して恋愛感情は持ってないと言うことが証明された」
「なん……だと?」
特定の異性に対し、胸がドキドキすることがステージ1の症状であると俺は騎士様に懇切丁寧に説明すると、騎士様はなるほどなるほどとメモをとった
「なるほど…心臓の鼓動が早くなると……」
「あぁ、だがコレはステージ1だがステージが上がれば危険な状態になる、動悸、息切れがあまりにも激しくなり場合によっては死に至るコトもある」
「なん…だと?」
「この症状を俺は“キュン死”と名付けた」
「キュン死………なるほど、恐ろしい症状だな」
たしかそんな感じだったろう、まぁ…大丈夫だ、うん、たぶん、大丈夫、だって俺、マ●レードボーイ全巻読んだことあるし、ちなみに、自分の席でシレっと週刊誌を読んでいる青髪ロング子はナニ言ってんだコイツ?みたいな顔をしているが、俺は間違っていない
「フッ、なるほど……つまりステージ1としては、その、心臓のコントロールをするコトだな?」
「え?あぁ、うん、そんな感じだな」
「よし、では早速実践するか、Admiral、こっちを向いてくれ」
アークロイヤルは強引に俺の顔を掴み、その、キレーな顔でじっと見つめて来た…っ!
「…う〜ん」
「…むぅ」
やっぱり美人だよなぁ〜…コイツ
やだ!こっちがドキドキしてきちゃったじゃない?え?もしかして、これって恋!?ウソ!こんな…こんな剣とか弓とかにしか興味ない騎士道バカに?まさか………ウソウソ!こんなのが私の
「………難しいな」
「あ、あぁ…そりゃ一朝一夕には難しいわな」
アークロイヤルは俺から顔を逸らし、クッ!とか言って悔しがっているが……危ない危ない、こっちが恋しそうだったのだよ
「…むぅ、おっと……そろそろ馬の世話をする時間だ、Admiral、今日はこれで失礼する」
「あ?あぁ」
アークロイヤルは“また私に恋を教えてくれ”と妙にカッコいい台詞を残し、執務室から去って行った……
ってか、またってなんだ?またって!アイツまた来る気かよ!?
「五月雨、今度アイツ来たらオマエが対応してくれ」
「え?普通にイヤですけど」