【登場人物】
提督(女子供にも容赦しない鉄の拳)
年頃の娘は難しい
五十鈴(エンペラー)
人類最強の潜水艦狩りの達人、乳製品が好きらしく、乳製品をよく摂取している
明石の店で菓子パンと缶コーヒーを買い、喫煙所にでも行くかと歩いていると、執務棟と体育館のちょうど中間地点にある中庭のベンチで、黒髪ツーテイルの巨乳がうなだれてため息を吐いていた…
「………はぁ」
「よぉ、五十鈴パイセンじゃねーか、どうした?」
「…ん?あぁ、提督か………はぁ」
「人の顔を見てため息を吐くんじゃないよこの子は、なんだ?俺があまりにハンサムすぎて思わず恋しちゃったがなんか気恥ずかしくてため息で誤魔化したいのか?」
「なにその勘違い?死んで」
まったく、上司に対してなんて口の聞き方するのかねこの子は……もし、五十鈴パイセンが巨乳じゃなければ口にまるごとバナナを突っ込んでやるところなのだよ…
俺は五十鈴サンの横に座り、ビニール袋からまるごとバナナを取り出して袋を開け、ワイルドにかぶりついた
「何か悩み事かね?」
「…まぁ、悩みっちゃ〜悩みかなぁ〜」
「アレだな…………恋、しちゃってるんだな?」
「なんで悩み=恋一択なのよ…アホか、ってかマジキメぇわおっさん」
「おっさんじゃない、提督だ」
五十鈴サンは俺の手にあるまるごとバナナを千切ってそれを口に放り込み、ついでに、俺の持っていた缶コーヒーを強奪して一口飲む…
「…うえっ、苦っ!」
「ブラック無糖だからな、なんだ?五十鈴パイセンは苦いのお嫌いかね?」
「嫌いね、好きこのんで苦いもの飲むヤツの神経を疑うわ」
「オイオイオイ、コイツはとんだ毒舌子供舌だよ」
五十鈴パイセンはやかましいわと言って再び俺のまるごとバナナを奪い化学調味的バナナクリームで苦味を中和した…
「で?おっぱいデカいくせに味覚は子供な五十鈴サンはいったいナニを悩んでいるのかね?こう見えてもおじさん海軍の提督でね、君達の悩みとか気になるタチなワケよ?うん」
「誰が味覚は子供よ」
「さぁ、なんでも話してみなさい、お金がないのならおじさんイイ仕事紹介するよ、大丈夫!五十鈴クンなら〜…ん〜…?きっとすぅ〜ぐ稼げるよ」
「あからさまに怪しいわ!ってか、お金で悩んでるワケじやないわよ、お金ならあるし」
たしかに、五十鈴サンは相当稼いでるのでよほどアホなコトしない限りはなかなか極貧生活には転落しないだろう…
「じゃナニかね?」
「ん〜………ほら、最近さ、アレじゃない?なんか先制対潜とか対潜特化の海防艦とかなんか色々増えてきたじゃない?」
「まぁ、増えてきたわな」
まぁ、たしかに昔は五十鈴サンと由良さんが対潜を一手に担い、夜遅くまでカ級は魚雷を撃つ際に右肘がちょっと下がるだの、ヨ級は外角低めを苦手にしてるだのビデオテープが擦り切れるまで研究してたもんな……由良さんは寝てたが
「最近さ、なんかやる気ないのよねぇ〜…五十鈴的にはもう後進いっぱい居るし、そろそろ由良みたいに現役引退したいかな〜って考えるようになったワケよ」
「ふ〜ん」
「ふ〜ん、って!それだけ?」
「…いや、五十鈴サンの悩みってのは思ったより普通だなと」
「思ったよりってナニよ?思ったよりって」
「いや、五十鈴サンのことだからてっきりマミーヤに新しいスイーツ並んでるけど最近お腹周りが気になってるし、でも試しに1つぐらい食べてみたいぐらいの葛藤かと思ったのだよ」
「そんなしょーもないコトでため息なんか吐かないわよ、ってか、そんなの食べてから運動すればいいじゃない?悩む必要ゼロよ」
でたよ、ナイスガッツ体育会系理論、五十鈴サンの姉、長良主将ほどのナイスガッツ思考ではないにせよ、五十鈴サンもワリとナイスガッツ寄りの思考をしてるからな…
「で?どーなの?五十鈴現役引退してもいいの?」
「え?ダメ」
「なんでよ!?」
「五十鈴サンが現役退いたら五十鈴キングダムのキングダムメイト達はどうすんだよ?」
「大丈夫よ、あの子らは……五十鈴だっていつまでも現役じゃないんだから…そうね、あの子らもそろそろ見つけるべきなのよ、自分だけの“五十鈴コール”を…」
※五十鈴コールとは?
勝つのは五十鈴!勝者は五十鈴!と、どこかで聞いたコトのある五十鈴パイセン専用の声援、このコールが響いている間は潜水艦の骨格がスケスケになるらしい、五十鈴には丸見えよ!
「…なるほど、一応考えてたんだな」
「当たり前でしょ?五十鈴がおっぱいデカくて可愛いだけかと思ったの?」
そしてこの自信である、まぁ、たしかにおっぱいデカくて可愛いのは認めよう
「まぁな、ただ、提督的には五十鈴サンよか名取クンの方がお好みだな、特に、秋に見た浴衣姿なんてもう挿入してくださいって誘ってるかと思ったぞ、俺が鋼の精神力で自制しなかったらたぶん名取クンは今頃提督のち●ぽなしでは生きていけないド淫乱の性奴隷に堕ちていたのだよ」
「引くわッ!!ってか……ドン引きよ!ドン引き!アンタ五十鈴の妹でなんてコト考えるのよ!」
「えー…だって名取クン可愛いじゃん?たぶん五十鈴サンの姉妹で1番可愛いんじゃね?」
「は?五十鈴の方が可愛いわよ、ち●ぽついてんの?」
「女の子が真顔でち●ぽとか言うんじゃないよ」
「長良姉ェは脳筋でバカだからいいとして、由良は髪長いし性格悪いでしょ?あと鬼怒もバカだし、阿武隈なんて前髪長いし性格悪いじゃない?ほら、五十鈴が1番可愛いじゃない?」
コイツ、姉妹に対して容赦なくディスりよるわい…ってか、バカか髪長いか性格悪いしかねーのかよ
「まぁ、五十鈴サンはおっぱいデカくて可愛いわな」
「でしょ?」
「………名取クンには劣るが」
「はいキレた、立てやおっさん、タイマンよ、タイマン」
五十鈴サンは不遜にも上司であり、この基地の絶対支配者である俺の胸ぐらを掴みあげながらベンチから立ち上がった
「オイオイ、オレに売っとんのか?」
「売ってんのよ、買うでしょ?」
「…ふっ、躾のなっていない部下に教育をするのも上司である俺の仕事か、よかろう」
俺と五十鈴さんがバチバチとメンチビームの火花を散らしアンアンと額と額をごっつんこしていると、明石の店でなにやらお菓子を買って来たらしい由良さんがタラタラと歩いて来た…
「あら?提督と五十鈴じゃない?ナニやってんの?」
「あ?」
「由良は引っ込んでなさい」
「ナニよ、由良も仲間に入れてよ?ね?」
由良さんには俺と五十鈴サンが楽しそうに戯れているようにでも見えるのだろうか、ヘラヘラ笑いながら俺達の肩をバシバシ叩いてきた
「黙ってろ絶壁が」
「無い胸は黙ってなさい」
「ア゛ァ?」ブチィッッッ!!
こうして、一瞬にして堪忍袋の緒がプッツンした由良さんからの躊躇なき先制攻撃で俺達の戦いは幕を開け、俺と五十鈴サンと由良さんによるアツい殴り合いは30分ほど続き、最終的に、通りがかった長良主将に“戦いなんかくだらねぇ!走ろうぜ!あの夕日に向かって!”とアツく説得され、俺達はあの夕日に向かって走りアツい青春の汗を流した後、みんなで焼肉を食いに行った…