【登場人物】
提督(知性溢れる天才テイトク)
ガハハハ!あんなチンケな技でこの提督さまに喧嘩を売ろうとは10年早いぜーっ!!
九頭中将(マッスル)
恵まれた体格を活かしたストロングスタイル、生半可な攻撃は硬度4.5を誇るその超肉体には効かない
「行くぞォ!ゴングを鳴らせ!戦闘開始だーッ!」
佐世保鎮守府最終決戦!!大胆不敵にも再び佐世保鎮守府に乗り込んで来た“絶対なる知性”を名乗る卑劣なる海軍中佐!しかし、我々の信じる正義、この平和な海と街を守護る絶対なる筋肉の神、ジ・アルティメット・マッスルに愛されしマッスルガイ!九頭路里中将は卑劣なる中佐などには決して負けない!
佐世保鎮守府天守閣に飛び出した2人の、いや…2匹の超雄同士は今更なんで艦娘などに頼ろうものか!決着は生身でつけようぞ!と全艦娘、そして佐世保の市民達が見守る中、超雄同士の対決が幕を上げたッッッ!!
「ツアーッ!!」
「ぬぅ…!!なんだ中佐?正面から組み合いを避けたか…?審判のロックアップとやらはいいのか?」
「フッ!貴様と正面から組み合う危険は避けたいのでな」
「なるほど…ただのキレた中佐と言うワケではないらしいなッッッー!!」
九頭中将の丸太のように太い足から中佐の股間を蹴り潰すべく放たれた蹴りを開脚ジャンプで回避し、放たれた足を軸として掴み、中佐は胴回し浴びせ蹴りを九頭中将に喰らわせた
「ヌゥゥゥ………!!フンッ!!」
「ぬおっ!?」
胴回し浴びせ蹴りを受けてなお、まったく怯みもしない九頭中将は丸太のような豪腕から放たれる豪拳を中佐に打ち込むが中佐はこれを寸でのところでガードし、豪拳の勢いのままに後方へと跳ぶ
「防御の上からこの衝撃…ッ!さすがは海軍の中でも選りすぐり、四大鎮守府の一角を任せられるだけはある!」
「ほぉ、よくガードしたな、中佐…だがこれならどうかな?」
「む!?」
九頭中将はまるでアメリカンフットボウルのプレイヤーのようにセットポジションを取り、強烈な覇気と裂帛の気合を発し、その巨体からまるで重機関車のようなタックルをぶちかましてきた!!
「グボァ!!……あの巨体でこのスピード、参るぜ…ッ!」
「中佐に教えてやろう……四大鎮守府の一角、佐世保鎮守府を率いる海軍中将の力と言うものを」ギロッ!
九頭中将は世紀末の荒野を往く暗殺拳の使い手の如く指をボキボキと鳴らし、力強くその丸太のように太い足を踏み出す、おそらくは心の弱い者ならその威圧感と覇気だけで気絶必至だが……中佐はその覇気を物ともせず不敵に笑った
「フッ、あふれる知性で返り討ちにしてやろう」
◇◇◇
九頭VSカスメガネの激闘が始まる数時間前、第2会議室で行なわれていた中将と中佐の会合…
「………なるほど、つまり、これら全てを“大規模演習”として銘打ってしまうと?」
「如何にも」
佐世保襲撃と言う前代未聞のこの事態を円滑かつ平和的に終結させる手段とし、俺たちが行ったこの蛮行を、佐世保鎮守府が領内における突発的危機意識を持たせる為の大規模な演習作戦と称し、これを終わらせる…
これが俺と九頭中将が導き出したより良い形であり、誇りある講和…
「つきましては中将には私めと一騎討ちを行って頂き、私を打倒する、この線でいかがでしょうか?」
「ふむ…」
佐世保鎮守府を率いる提督である九頭中将自らが敵の首魁を打倒する事によりその威厳は保たれつつ人気も急上昇し、そして、あくまで襲撃犯“役”である俺はその役を全うした事になり反乱や襲撃などと言う事実はあくまで迫真の“演戯”と言う名目で片付けられる…
「この提案で呑んで頂けるならウチの暁ちゃんから中将様に出来るうる限りの御奉仕をさせて頂きたいかと…」
「乗った、その話」キリッ!
………即答かよ、さすがは海軍中将、ハナシがわかる
そして暁ちゃんには悪いが後でアイスを買ってやろう、五段のやつを…
「さすがはザ・あやつ殿、ハナシがわかるでござるなぁ」
「いえいえ、私などはとてもとても……あ、そーだ、コレ手付け代わりと言ってはなんですが…」
「むむっ!?こ…これは……!?」
俺は以前スマホで撮影した満面の笑みを浮かべる弥生の画像を見せる、それはもうヤバいぐらいのシャイニースマイルなのだが…
「な……なんて、表情が堅く、その顔筋はまさしくカテナチオと言われている弥生タンにこれほどの笑顔を……やはり
「…まぁ、それはおいおいで…」
まぁ、その笑顔を弥生タンから引き出したの俺ではなくプリズムボーイのHIR●なんだがな…
「ハッ…!?ま、まさか…これがザ・あやつ殿が用いると噂されている幻の奥義、手を握っただけでくちくかんのエンジェルスがメロンメロンになると言う技!ペドの悲劇!!」
零の悲劇な、零の悲劇!なんだよそれ1mmも役に立たない技、そんなモン使えるかっての…
◇◇◇
「がんばれ…!がんばれ九頭提督!」
「そうだーッ!私の提督はそんな邪悪なヤツには決して負けないー!」
「私達の提督はいつだって残り5秒からの逆転劇を見せてくれたんだー!」
全ての佐世保所属の艦娘、そして全ての市民達の期待と願いを一身に背負って戦う男、男の中の男!九頭路里中将と絶対なる知性の戦いはアツく!そしてハゲしい激闘はおそらく佐世保鎮守府史上に後世まで語り継がれるであろう………まぁ、ヤラセだが
「ヌオォォォォォ!!」
「ふんぬっ!!」
「カーッカッカッカッカ!さすがは四大鎮守府の提督!これほどまでやるとは!その力!認めてやろう!」
俺は天守最上段に立ち、そのまま急降下ニードロップを九頭中将に浴びせる、そして…九頭中将がわずかに仰け反ったところでその身体を掴んで空中に放り投げてまるでサッカーボールをヘディングするように下から頭突きを繰り出す!
「あ…あの
「間違いない!アレは提督の
戦いを見守るウチのバカどもがあの技を喰らって無事なヤツはいないぜーッ!などアホなコトを言って盛り上げてくれているところで俺は九頭中将の身体を空中で固めて天守最上段に勢い良く落下を開始した!
「ぬうっ!?こ…これは!?海軍三大奥義!」
「これが本物のテイトクリベンジャーだーッ!!」
ガゴォ!!!
「グハァ!!!」
「カーッカッカッカッカ!カーッカッカッカッカ!」
俺は勝利を確信し、右手を高く上げて勝利の笑いをあげる………と、まぁ、ここまでが俺のターンだ、あとはこの完璧に決まった風に見えるテイトクリベンジャーから九頭中将が立ち上がり、バ…バカな!何故立ち上がれる!この男のどこにそんな力が!と狼狽えて急に弱体化して九頭中将の友情だとか信じる力だとかふわふわした奇跡の逆転パワーの前に敗れる、完璧な流れだ…
「もはや勝負は決した!四大鎮守府の一角はここに落ちたのだ!取るに足らん人間と艦娘どもよ、支配してやるぞ…我が知と力の前にひれ伏すが………な、なにぃ!?」
周りから聞こえてくる九頭コールの中、完璧に決まった(ヤラセ)テイトクリベンジャーを受けたハズの九頭中将が立ち上がった!
「フッ………フフフ、今のはなかなか効いたぞ」
「バ…バカな、テイトクリベンジャーをまともに喰らってなお立ち上がるとは……!?か…怪物!この男は本物の怪物だとでも言うのか!?」
「ただの地方中佐にしておくには勿体無い才能よ、もしその才能をこの海の愛と平和の為に使えたならばどんなに良かったものか…」
「あ…あり得ん!そんなバカなコトがあるワケがあるかーッ!!」
オスカー級の名演技で狼狽えつつ、俺はそんなバカな話があるかー!叫びながら九頭中将に飛びかかると、九頭中将からカウンターを受けて宙を舞った…
「この技で終わりにするぞォ!!中佐ァァァァァ!!」
「こ…この技の
九頭中将は俺を筋●バスターの体勢で捉えたまま空中へ高く上昇する!!
「クッ!!バ…バカめ!こんな使い古されたバスターなどがこの俺に通用するものか…っ!!」
「ヌウウゥゥゥゥゥゥン!!」
「ゴハァ!!こ…これはッ!ただの筋●バスターではない…ッ!?より高く飛び上がることにより落下時に強烈なGをかけ…っ!?」
九頭中将の完璧なるマッスルが強烈なGを纏い、勢い良く天守閣へと激突し俺の身体をワリとヤバい感じでヘシ折った!
「ゴバァ!?ゴブッ……!!ニャゴフッ!!」
ズガアアァァン!!!
「き、決まったァァァァァ!!九頭中将のアルティメット・フェイバリット!」
「あの邪悪なる中佐を完膚なきまでに粉砕したーッ!」
「すげぇ…すげぇよ九頭提督は!私の九頭提督!ナンバーワンマッスル!」
マッスルナンバーワン!マッスルナンバーワン!マッスルナンバーワン!マッスルナンバーワン!
全佐世保の声!マッスルコールを受けて九頭中将は立ち上がり、勝利の拳と雄叫びを上げてマッスルコールに応える!ジ・アルティメット・マッスル、筋肉が今!佐世保の心を一つにした歴史的瞬間になったのだ!
○九頭中将 VS ●絶対なる知性
試合時間 1時間12分24秒 マッスルG 完全決着!
九頭中将と俺との壮絶なるマッチポンプは今、ここに終結した
◆◆◆
「あー………マジ痛てぇ、五月雨、湿布くれ」
「サ●ンパスしかありませんが」
「サ●ンパスでいいから早くよこせ、っーか貼ってくれ」
聖悪提督戦争もとい、佐世保鎮守府大規模演習作戦から3日後…
俺は執務室でジャ●プを読みつつ五月雨のアホンダラの淹れた安い紅茶を飲んでいた………あの戦いの後、九頭中将からこれは鎮守府内と市民の皆様への危機意識を高める為のヤラセ、大規模な訓練演習だった説明をして貰い、俺たちはあくまで襲撃役を買って出ただけの、いち善良な地方基地の艦隊とその提督と言うコトで話はついた…
本来ならば事前に何の相談もなく市民を巻き込むような演習は許されるようなものではないが、佐世保は意外にも地方行政区としては寛容だったらしく、特に、最後の佐世保を守護する守護神たる九頭中将のアツいファイトが皆の胸を打ったそうな…
「しかしさすがは提督……この香取、提督の深いお考えには感動しました」
「ハハハ…」
「強奪ではなく返礼と言う形で大量の資材を手に入れ、なおかつ四大鎮守府に対し、戦力の一部を見せる事で我々には更なる強大な力があると誇示するとは…」
分厚い書類のファイルを手に、今回のげんきょ……いや、香取先生の事だ、俺には考えつかない深いお考えを持っておられる御方、おそらくは俺の知らない何かがあるのだろう……そんな香取先生はあくまで俺の案であるかのように立ててくれる、まったく、香取先生は常に男を立てる事を忘れない慎ましい御方だ
「提督、ちょっと両腕上げてください」
「両腕?おらよ」
ビタンッ!!(サ●ンパス)
「あ痛ァァァァァ!!ちょ!オマエ!もうちょい優しく貼れんのか!?」
「ナニ言ってるんですか?サ●ンパスは貼る時に痛ければ痛いほど効果があるって言ってましたよ、誰かが」
こやつめ…どこで知った知識か知らんが体育会系特有の真意不明で雑などうでもいい知識を……!強烈な貼り手で貼られたサ●ンパスを撫って確認していると、執務室の電話が鳴り、五月雨は受話器を手に取り一言二言はいはい言って俺に受話器を差し出した
「誰だ?」
「九頭中将です」
「あぁ…はいはい、あの件ね、あの件ね」
はいはい、アレね、アレ…
次回、倶楽部HO-SHOWに居てはならない一人前のレディ!