【登場人物】
提督(風邪気味)
季節の温度変化にダメージ受け中、ちなみに今回も甲勲章なんてものは貰ってない安心のヘタレ
五月雨(カミナゲーナ)
いよいよ第1期中に出撃する出番が1度もないまま終わった専業秘書艦
「えー…今期最終戦も無事に勝利で終わる事が出来ました、えー…これもひとえに皆さんの頑張りがあっての事かと思います、えー…皆さんはこんな話を知っているでしょうか?あるところに一匹のドラ猫がいました」
無事に作戦も終了し恒例の全艦集会、俺の挨拶に引っ込めだの話が長げーだの毎回同じ話するんじゃねーよなど心温まる野次が飛ぶものの、そんな事は知った事ではない、特に中身のない長々とした話を聞く、これは儀式のようなものだ
「………えー…つまり私が何を言いたいかと言いますと、私は猫が嫌い、と言うコトです、以上!」
「はい、提督からのご挨拶でした」
たっぷり40分かけ、クソガキどもが思わず何度も屈伸してしまうぐらい長々と挨拶と談話を終え、香取先生に頭を下げ、次のプログラムへと進行する…
「えー…じゃ、次は皆さんお待ちかねのお給料の時間でーす、今回はMVPチケットいっぱい出てるんでメチャメチャ稼ぎがデカいぞー」
ざわ…ざわ…とざわつくクズどもを眺めつつ、俺は五月雨にアレを持ってきたまえと指示を出すと、いつものジュラルミンケースを台車に乗せて押してきた…
「さて、では今回のMVPチケットランキング第1位だが………これはなかなか僅差だったぞ、そんな第1位は〜…金剛ォ…オメーだ!はいみんな拍手ぅ〜」
歓声と拍手の中、壇上へ悠然と上がってくる金剛…ッ!現金を手渡しする程の超近距離に金剛を入れる緊張感、それはまさにもう少しで手が届く距離、心の臓を狙うには十分過ぎる間合い…
「ヘーイ、そう身構えなくても大丈夫デース、今は誓ってDIEしまセーン」
「…どうだかな」
俺は金剛に現金を手渡したが、なおも緊張状態は継続中だ、コイツのDIEしまセンほど信用ならないものはない
「モチロン、今は、デース……今は見逃してあげマース」
「あ?」
金剛は軍艦島のチャイナブリッジで待ってマースと囁き、現金を手にスタスタと壇上から降りて行った……見逃してやるだと?この俺を?上等だよテメー………
「提督、顏、顏がアレです」
「あ゛?」
五月雨の冷静で的確な進言に平静を取り戻した俺は、メガネを拭き、いつものハンサム顏へと戻った
「まぁいい、えー…次、第2位はイケメンすぎる空母、ズィーカクゥークゥゥゥゥン、はいみんな拍手ぅ〜」
歓声と拍手の中、いやー照れるなーとか言いながらいつもの格好に戻った瑞鶴が壇上へと上がってきたのでガッチリと手を握り、よく頑張った!感動した!とアツい激励とアツい札束を手渡した
「うわ…結構ある…っ!え?いいのコレ?」
「いいに決まってるだろ?ほら、遠慮すんな!どーん!と無い胸張って、みんなに応えてやれや」
「無い胸は余計よ!無い胸は!」
瑞鶴はよっしゃー!今日は私の奢りじゃー!とか言いながら壇上から下へダイブし、ズィーカクわっしょい!ズィーカクわっしょい!と胴上げウェイブされてあっちに流されていった…
「え〜…次、ドンドンいくぞー、ドンドン、名前を呼ばれた大きな声でハイ元気ですだぞー」
ーーー
「最下位、高波くん」
「…500円」
硬貨を握りしめ、トボトボと歩く高波くんが壇上から降り、楽しい楽しいお給料の時間は終わった…
「えー…では皆さん、ささやかですが今回も福利厚生費で酒とか料理とか用意してますんで、テキトーに飲み食いを〜…」
「ヒャッハー!水だーッ!」
「なんだこのからあげ!スゲージューシィっーか、スゲーコクがあるっーか!まろやかで、それでいてガツンとくるっーか」
「プップー!アルコール入りまーす、アルコール満タン入りまーす……がふっ!ごぶっ!ひゃー!うんめぇー!」
………クズどもがッ!人の話を最後まで聞く気ゼロか!アイツらは……まぁいい、どうせいつもの事だ、1時間もしたらカラオケと殴り合いが始まるだろうし、巻き込み事故に遭う前にテキトーにつまんで帰るか
「さて、今日の気分は……」
…肉だな、ガッツリ焼肉でも入れたい気分だ、さて、どうしたものか、テーブルにはそれなりにカロリーの高い炭水化物も用意されている
「…よし、たしか分厚い肉を雑に焼いたヤツがあったな」
俺は雑に焼いた肉でも取りに行くかと肉の置いてそうなテーブルへと行くと、たしかに俺好みの分厚く、大雑把な、串に刺した肉が置いてあった……これは所謂アレですか、うん、たしかアレだ、アレ…
「シェラハ、ですか」
「シュラスコだよ…なんでそんな邪神みたいな名前…」
「む、なんだ白露ねーちゃんじゃないか?今日も地味に可愛いな」
「地味に可愛いとかゆーな」
白露は俺と同じくシェラ……?シュラ?シュラスコー?の串を取りに来たらしく、串を手に取りワイルドに肉に齧りついた
「…うん、うん」ナポ……モニュ…
「白露ねーちゃんは地味に美味そうに食うなぁ」
「地味に美味そうとかゆーな」
プッツン姉妹、白露姉妹の長女、白露ねーちゃん…
よく見ると地味に美少女だが、学業成績は地味に普通、艦としての性能も平凡、趣味は使用済み切手の収集とスイーツ食べ歩きと取り立てて目を惹くものが何もない、レア度、性能、姉力、美少女度、おっぱいの大きさ、その全てが改白露姉妹の姉、海風ねーちゃんに劣る言うなれば旧型の長女である
「だが、そんな白露ねーちゃんを、それでも愛そう!」
「はぁ?」
「そう悲観するこたぁねぇ、そんな白露ねーちゃんもこの基地の家族だぜ…」
「はぁ…?ってか提督、そこのコショウ頂戴」
俺はそんなシャイガールである白露ねーちゃんにコショウを手渡さ………ない、敢えて渡さず、この俺自らコショウを白露ねーちゃんの手にする串にブチ撒けてやった
「ぶえっ……!?ちょ!ナニすんの!?」
「コショウはお嫌いかね?」
「嫌いじゃないけー……けー…ぶえっしょい!!」
「ちょ!やめろよ、汚ねーなぁ」
「テートクのせいだよ!!」
俺自らの心尽くしにキィーキィー文句を言う白露ねーちゃんのソフトチェストタッチを捌きつつワイルドに肉にかぶりつく……うんうん、これでいいんだよ、これで、なんと言うか…食べてる!って気がする、ジューシィな肉汁に雑に分厚く肉…
「Hi!Admiralと〜…え〜……ソバツユ?」
「白露だよ!!」
そんな肉食系な俺達のところに、これまた見た目だけで肉食系確実ぅ!のレッテルを貼られてもOKなパッキンボイン、アイオワがやって来た
「お前も肉か?肉orビーフか?」
「シツ・レーね、ワタシはキチンとcalorieをケーサンする女ヨー」
そう言いながらアイオワはまるで馬イクに跨る独眼竜のように肉の刺さった金ぐしを片手3、両手6とワイルドに持ち上げて齧りついた…
「ウン…ウン……」ナポ……モニュ…
さすがはアメリカンサイズ、カロリーの計算も俺たちジャパニーズとは規格が違う国際規格だな、地味美少女の白露ねーちゃんもドン引きだよ、地味なのに
「うわ……すげぇ」
「白露ねーちゃんも真似したらどうだ?」
「え?無理」
◆◆◆
テキトーに飲み食いし、体育館の外に出て胸ポケから取り出したタバコに火を点ける………フーッ、ゴキゲンなタバコだ
「フーッ〜…」
「お疲れ様です」
「よぉ、相変わらず髪なげーな」
アイカワラズ・カミナゲーナこと五月雨は既にデザートタイムなのだろう、男ならワイルドに一口で消える色とりどりのケーキ的なものを皿に載せていた
「お一ついかがですか?」
「悪いな、おばあちゃんから青髪ロングでコーヒー淹れるのがクソ下手な女から女子力の塊みてーなケーキ貰っちゃいけないって言われてんだ」
「へぇ」
五月雨は大した気にする様子もなくフォークをケーキにブッ挿して口に入れている、そこはブッ挿しじゃなくて小さく切るとかそんな感じじゃないのか…?まぁ、いいけど
「明日は新人さん面接あるからパリッとした格好してくださいよ、パリッとした、制服はクリー二ングしたもの出しておきますので、あ、靴下も新しいの用意してます」
「うるせぇな、お前は俺のオカーサンかっーの」
「あと、今回の新人さんはなんと7名、内4名が外国の方らしいですよ」
「マジかよメンドくせぇ……フーッ〜…まぁいいや」
俺はタバコの火を消し、宴が終わったらとっと撤収させろよと指示を出して海の方へ歩き出した…
「どちらへ?」
「便所」
…オレを舐めたツケがどうなるか、教えてやろうじゃねーの、金剛ォ…
次回は面接回、輝き続ける7人!その名もリアルジャ●ン7!