【登場人物】
深海鶴棲姫(BOSS)
今回の真BOSS、イキってる
瑞鶴(イケメン)
イケメン空母、イケメンすぎてキラキラしてる
翔鶴(艦載機0)
役立たず
葛城(艦載機0)
役立たず
武蔵(極)
遂に極まった最終形態、イケメン
雪風様(神)
イライラさせたら、こうなる
最終海域、戦艦水鬼改を退けた我々が挑む真の最終戦…
待ち受けるのは深海の名を冠するスーパールーキー、深海鶴棲姫…ッ!見た目も言動もかなりイキってはいるが、それだけの自信を持つだけの本格派空母…
「……見せて貰おうか、新しい武蔵の性能とやらを」
会議室のプロジェクターに映る映像を眺めつつ、香取先生の淹れた極上の珈琲を口に含み、これから起きるであろうとびっきりワクワクする超決戦を静かに見守って……
「ム・サ・シ!ヘイ!ム・サ・シ!」
「M U S A S H I!ム・サ・シィィィィィ!ウェェェイィィィィィ!!」
静かに、見守って…
「頑張れェェェェェ!!頑張ってくれェェェェェ!」
「ウエエェェェェェイ!!」
………うるせぇよ、ってか、マジうるせぇ、先の戦艦水鬼改に続き、会議室はさらに増えた駆逐艦のクソガキによる応援上映が行なわれており、キャーキャーうるせーわ、画面の前でライトセイバー的なモンぶんぶん振るわ、繊細な俺の神経をこれでもかと逆撫でしてやがる…
「提督、大したものはご用意しておりませんがクッキーをどうぞ」
「やや!これはこれは、ありがとうございます香取先生……もしかして、香取先生がお焼きに?」
「いえ、買って来たもので……申し訳ありません、今度作りたてをご用意致し……あ、でも私、お菓子作りはあまり精通していないので提督のお口に合うものが作れるかどうか…」
「いやいやいや、香取先生はご謙遜もお上手でいらっしゃる、ハッハッハ」
「まぁ、謙遜だなんて…フフフ」
まったく、香取先生はいつだってエレガントでいらっしゃる、今日だって駆逐艦のアホガキに後学の為にとびっきり最強対最強の戦いを見せてやりたいとの申し出があり、この応援上映の場となったワケだが……エレガントでありながら常にクソガキどもへのアツい教育を忘れないその姿勢はまさに教育者の鑑と言って過言ではないだろう
「うわ……相変わらずイラッとくるわ、香取姉と提督のトレンディ小芝居」
「鹿島?何か言った?」
「サー!姉さん!何も言っておりません!サー!」
鹿島先生は力強く右手を挙げて応え、姉さんは常に最高です!と続けた、相変わらず姉妹の仲も良好なようでなによりだ………しかし鹿島先生のお顔は心なしか、汗をかいているようにも見える、もしや体調が優れないのではないだろうか?
「そろそろ始まるみたいですよ…」
「む」
俺と同じく、香取先生の淹れてくれた珈琲を啜っていた五月雨はなにやら不満げな顔をしながらも自分の淹れた物と何が違うのか考えているらしく、ブツブツと何かを呟いていたが、開戦に気付いて俺の袖を引っ張った…
「そうか、では見るとしようか……惨劇の始まり、ヤツらが奏でる絶望の交響曲を」
「何が交響曲ですか」
◆◆◆
エンガノ岬沖に巣食う真の敵、深海任務部隊岬沖艦隊支援集団…
『ノコノコトキタノ……?ハッ…バカ…ネ……ワザワザ…シズミニ…シズムタメニ…キタンダネェェェェェ!!』
待ち受けるのは深海の名を冠する真の敵、深海鶴棲姫に真っ向から対峙するのは、この時の為に、この時の為だけにイケメンとなり、何をしても“ただしイケメンに限る”の恩恵、イケメン補正を得た迷い羽ばたける極上の空母、瑞鶴!
「くたばれェェェェェ!!」
『ギャアァッ! コンノォ…ッ!!』
イケメンだけに許されるイケメン艦載機アタック、借りてきたルックスもイケメンな友永殿と村田殿もいつもとは違うイケメン特有のゴキゲンなアタックを決め、ヒュー!悪いねー!カワイコちゃーんとか言いながらビュービューと飛んでいた
「よしっ!イケる…っ!このまま押し切ってやる!」
イケメン特有の自信に満ちた笑みを浮かべ、瑞鶴の手から二の矢、三の矢と連続→追撃→突撃の死ぬまで射るのをやめない必殺の矢を放ち続ける…
そして、そんなイケメン補正全開!マジイケメン1000%L●VEな瑞鶴を二人の空母が涙を流しながら見つめていた…
「瑞鶴…嗚呼瑞鶴、なんて……なんてこと…っ!嗚呼なんてこと…っ!」
妹のあまりのイケメンぶりと凛々しさに涙が、アツい涙が止まらない、そして、そんな妹があまりにも尊い存在すぎて直視できずに只々涙を流し続ける姉、翔鶴…
「うあああああぁぁぁ!!カッコ良すぎるッ!瑞鶴センパイカッコ良すぎて……眩しい!眩しすぎて前が!前が見えねぇ……ッ!」
憧れの瑞鶴センパイ、その、憧れの瑞鶴センパイと同じ艦隊に選出されたどころか、お声をかけられただけでも気絶必至のマジ近距離、眩しすぎて直視できずに只々涙を流し続ける後輩、葛城…
「瑞鶴のこんなにも立派な姿が見られるなんて………私、今日死ぬのかしら…?」ポロポロ…
「尊い……尊すぎる…ッ!センパイと同じ艦隊に編入され…されり、されるだけでも光栄すぎるのに…ッ!」ポロポロ…
………艦載機も撃たずに涙を流し続ける、バカ二人
「ちょっと!!翔鶴姉!葛城!ナニやってんのォ!?真面目にやってよ!」
「えぇ……えぇ…でも瑞鶴、残念だけど視界が雨で曇って見えないみたいよ…」ポロポロ…
「ず、ずずず瑞鶴センパイが私の名前をーッ!嗚呼…きぜ、気絶しそ………ハアッ!!ダメだァ!せ…せっかく瑞鶴センパイがお声をかけてくれてるに…ッ!」ポロポロ…
ーーー
「…ナニやってんだアイツら」
「さぁ?」
中破状態でも飛ばせるタフ&ハードがウリの装甲空母の姉といい、憧れのセンパイのカッコいい姿を特等席で見せてやろうと言う提督様が粋な計らいしてやった後輩といい……アイツら帰ったら説教だな
「まぁいい、しかし…さすがは真ボス、なかなかやりおるわ」
「えぇ、これはなかなかタフな戦いになりそうで……あ」
五月雨は冷静で的確な意見を言いかけたところで画面を指差した
「なんだ?」
「いいの入りましたよ、ほら、たぶんアバラの5〜6本はイきましたね
あの白髪……そうか、あれが完全なる身勝手のなんちゃらか…
ーーー
『ギャアアアアァッ!コ……コンノォ…ッ!ウボェア!!』ビチャビチャ…
内臓に突き刺さる強烈なダメージに、思わず光る吐瀉物を海に吐き出す深海鶴棲姫の前に立つ今まで見た事もない新手の艦娘……
『ナ……ナンダオマエ!?一体ナンナンダヨォ!?』
「フッ…とっくにご存知なんだろう?私は佐世保からお前を倒しにやって来た戦艦、服を着ることで激しい怒りとパワーで目覚めた伝説の超戦艦……武蔵改二だァァァァァァ!!」
『ム……武蔵改二……!?』
「あぁ、オマエを倒す為に今まで服を着ては破り、服を着ては破るちゅー想像を絶する地獄を見てきたぜ……そして遂に極めた、服を着ると言う文化をッ!今の私にとっては服を着る事はまるで全裸のような開放感に等しい……フフッ、皮肉なモンだな、今までは服を着る事が煩わしくして仕方がなかったが、今では服を着ていても股ぐらがスースーするぐれー快適だ」
『………ゴメン、チョットナニ言ッテルノカヨクワカンナイ…エ?ナニ?服着タ……ダケ?』
服を着るというカルチャーを身につけた武蔵、その力は服を着る前より格段に上がった、どういうメカニズムかはわからないがとにかく上がった、一応、有識者である夕張と明石の見解によれば…要は気合ってコトですよ!と雑な見解らしい
「フッ…」
『ソンナ……ソンナ馬鹿ナ話ッ!フザケンナヨコラァ!!ゼンリョクデ…シズメテアゲルヨ!ウミノソコデ……!クルシミト…カナシミヲ……オモイダセェッ!』
「勝てんぜ、お前は…」
武蔵は深海鶴棲姫の攻撃をまるで身勝手に避け、カウンターで再び殺人パンチをボディにメリ込ませ、深海鶴棲姫は光るゲ●を吐きながら海上をのたうちまわった
ーーー
「これが武蔵の新たな力か…」
なんてヤツだ……ただでさえ強かったが、まさか服を着る事でさらにパワーを増すとは、むしろ、俺が前にチラ見した修行はいったいなんだったのか?
「さすがに強いですね、武蔵さん」
「あぁ、さすがに最後の最後まで出番を散々引き伸ばしただけはある」
「武蔵さんの改装が終わるまで、あと5分……のくだりで1クールは使った気がしますね」
「まったくだ」
◆◆◆
…そして、イケメンの瑞鶴と武蔵改二の猛攻に完堕確実ぅ!と思われていた深海鶴棲姫だったが、意外にも耐えた、それはもう見事に耐えきった、ガード!ガード!完全ガード!それはどうかな?残念だったな!絶甲●盾!と言わんばかりのタフさとしつこさで昼戦を耐えきった…
そして…
「You're Not My Match!メじゃないワ!」
突然フラリとやって来たアイオワと海外艦のエンガノ観光ツアーの通り魔的犯行でさらにボコボコにされたものの、深海鶴棲姫はなんとか耐えきった…
ちなみに、赤い髪の女騎士みたいなヤツは相変わらず一際目立つシャバいカスダメを叩きだしながら何故か誇らしげな顔をして去って行った…
『コ……コレデカッタツモリ…?ハッ…ジョウダンジャナイッ!カエリタ……ジャナイ!カエサナイカラ!』
「あのヤロウ…まだやる気だぜ」
「なんてタフなヤロウだ…」
あまりにもタフなスピリットをみせる深海鶴棲姫の前には、まだ大井北上の完璧球磨型コンビが、そして…
「みんな邪魔です、退いてください」
今回の作戦にて、何故か執拗に集中砲火を浴び、満足のいくプレーが少なくイライラが限界達していた雪風がとうとう………キレた
『ハ?ウボァ!?』
スナイパーポジションから拳の衝撃波を飛ばす遠距離射撃ガンブレットから始まり、アサルトポジションからの突攻射撃ガンダイヴァーで突撃ざまに殴りつけ、そこから蹴りと拳の連携射撃ショットガンエアシュートで深海鶴棲姫を気絶寸前まで大きく仰け反らせた………そして
「雪風のヤツ!右腕をハンマーコックしやがった!」
「で…出るぞ!雪風の
血流操作により、筋肉の伸縮と急速な活性化を利用して驚異的なスピードで拳を放つ本気の雪風が用いる本気の拳…ッ!!その名を…っ!
「
ズドオォン!!!
『ゴベア…ガバァ……ガァァアァ……』
防御無視の絶対破壊攻撃を受け、遂に膝を折った深海鶴棲姫は盛大に吐血し、海面に前のめりに倒れた
『フウゥ……モウ…イイヤ……ヤルダケ ヤッタカラ……ソウダ……ワタシハ…ヤルダケ、ヤッタンダ…!モウ………満足ダァ…………ッテ!?ウギャア!?』
「
容赦なき後頭部踏み潰しを喰らい、なんかいいコト言ってたげな深海鶴棲姫はブクブクと気泡を残して沈んでいった……
「………ふぅ、あー…スッキリしたぁ」
晴れやかな笑顔で真のBOSS殲滅を終えた雪風…
こうして、長かった戦いの日は終わり、今期最終戦も無事、我々は勝利を飾る事ができた…
次回は終了編、その後、全2回の面接回ですって