【登場人物】
提督(219)
アイツなら許してくれる、だって俺達友達だからなァ!
鳳翔(5)
通称、ビッグ・ママ
鳳翔会と言う組織はだいたい舐めてんじゃねーぞバカヤロー殺すぞコノヤローで話が伝わる組織らしい
前半戦を大井のマグナムフルスイングで決め、勝利を飾った我がチームは来たる後半戦、今までとはレベルの違う強者達がウヨウヨ棲む後半の海へ挑む準備を進める中、俺は、喫煙所でケムリを吸って吐くだけのマシーンと化していた…
「フーッ〜………」
こう、白いケムリを見ているとアレだな、この一服毎にケムリと共に己の健康を吐き出しているような気がするのだよ………そういや先日、コンビニに立ち寄った際にレジに立っていた改白露型のラノベヒロインみたいな美少女顔に定評のあるンミカゼねーちゃんから執拗に加熱式タバコを勧められて購入してみたが、どうにもクセがあり過ぎて俺には合わない…
「おや、ボーイじゃないか…丁度いいトコに居たねアンタ」
「あ?………なんだママか」
喫煙所でボーッとしていると、相変わらずクソ長い煙管を手にした場末のスナックのバ……いや、ママみたいなカンロクのある軽空母、鳳翔ことビッグ・ママに声をかけられた
「アンタ暇だろ?ちょっと車だしな」
「オイオイオイ〜…ママ、ご覧の通り、俺が暇に見えるってのかい?」
「ご覧の通り暇だろ、いいからガタガタ言ってるんじゃないよボンクラが」
ママの手にしたクソ長煙管で頭を小突かれ、ちょっとかさばる荷物の受け渡しだかなんだかあるんだよと雑な説明を受けた、かさばる荷物ってなんだよ、かさばる荷物って、そんなモン運送業者に手配しとけよっーのな
「へいへい、ってか俺の車、荷物乗らねーよ?」
「心配しなくてもトラック用意してるからそっちを使いな、アンタ中免あるんだろ?」
「…なんで知ってんだよ、ってかトラック用意する量かよ、メンドくせぇ…」
「フーッ〜…ま、タダとは言わないさね、帰ったら今日の飲み代ぐらいはもってやるよ」
「へいへい」
ーーー
そんなワケで、俺はレンタカー的なトラックを運転し、ママと共にとりあえず荷物の受け取りをするべく目的地へと向かっていた
「ちなみに何の荷物の受け取りなんだよ?食材的な、アレか?」
「フーッ〜…ま、美術品さね」
「美術品?」
美術品とか買ったのか、まぁ…よく考えりゃママの店にはなんかよくわからん絵とか皿とか飾ってるし、定期的に入れ替えとかなんとかそーゆーコトやってるのかもしれん、興味ねぇけど
「フーッ〜……本来は私の仕事じゃないんだけど、大阪のが、なんかどーしても外せない仕事が入ったらしくてねぇ、ま、その代わりさね」
「大阪…?なんの話だよ?」
「“鳳翔会”の仕事さね」
鳳翔会………
それは、軽空母鳳翔による互助組織らしく、定期的に連絡を取り合って情報を交換したり、よくわからない季刊誌みたいな会報を発行していたりする鳳翔の鳳翔による鳳翔の為の組織らしい
ちなみに入会金は35万、年会費26万となかなかエグゼクティブで敷居の高さを感じさせるが、ワリと多くの会員がいるそうな
「………ちなみにママ、今から受け取る美術品は全て贋作でしょうか?」
「フーッ〜………真作さね」
「オイ!ババアこっち見ろ!こっち!なんで目ぇ逸らしてんだコラァ!?」
「誰がババアだい!いいからゴチャゴチャ言ってないで前見て運転しなァ!」
こ…このババア!!俺に犯罪の片棒を担がせるつもりだよ!!いや、まだ犯罪かどうかは何とも言えないが……っーか現役海軍将校の俺になにヤバイ橋渡らせようとしてんだこのババア…っ!!もしマネーロンダリング的なアレの片棒だったとしてバレたりしたら俺の輝かしいキャリアに傷が付くじゃねーか!
「フーッ〜…ま、心配しなくても海軍クビになったらフランスでもイギリスでも旧ソにでも亡命すりゃいいさね」
「なんで亡命確定なんだよ!なんで国を追われなきゃいけねーだよ!!」
っーか、ドイツとアメリカは亡命先に無いんだな…
フランス行ってボルドーのワイン農家EDか、イギリス行ってさる高貴な御方にお仕えする騎士EDか、旧ソに渡り革命軍参謀総長になるEDか………どれもイヤな予感しかしねぇな
ーーー
そんなワケで、美術品の受け取りにやって来た俺とママ
場所はコンテナヤードのあるとある埠頭とだけ言っておこうか…
「Hey MAMA!」
「オーゥ、ミックじゃないかい、久しぶりだねぇ」
あきらかにこの国の男児ではない屈強なマッスルガイと久しぶりだねぇ元気してかい?Oh!MAMAには敵わないなー的な和やかなインターナショナルトークで盛り上がるビッグ・ママこと鳳翔…
そして、次々とトラックに運び込まれる木箱…
とてもじゃないがこの木箱を運ぶマッスルガイ達が美術品輸送に長けた美の信奉者に見えないし、むしろ、密かに美術品を輸送する事に長けているのだろう…
「紹介するよ、コイツはミック、入隊前はメジャーにも2年居たさね、今でも100マイルはイケるよ」
「Hi!Guy!」
俺はミックなるマッスルガイとガッツリ握手を交わし、ヘイヘイブラザーブラザーと背中をバシバシ叩き合う…
なるほど、たしかにこのマッスルから繰り出される本格右腕は100マイルだろう
………そして、今、行なわれている美術品輸送作業はきっと犯罪確定だろう
「His name is?」
「……天海キョウヤです」
「Oh!ママミ!OKOK!ママーミ!」
ミックは俺の肩をバシバシ叩きHAHAHAと陽気に笑っている、きっと気のいいマッスルガイなんだろう…
とりあえず、美術品の積み込みはつつがなく終了し、俺達はマッスルガイ達に別れを告げ、再びトラックに乗り込んだ…
「フーッ〜…」
こう、アレだな、タバコのケムリを見ているともやもやした気分を吐き出し、新しい自分に生まれ変わっている気がするなぁ〜
「前見て運転しな、前」
「へいへい、ババア、有料乗るから、金」
「誰がババアだい、このボンクラが」
こうして、俺とママは受け取った美術品を別の倉庫へと無事に輸送を済ませ、帰りにラーメンを食って帰った…
次回から後半戦に行きま…行きますん