【登場人物】
潜水新棲姫
潜水棲姫に代わる深海正レギュラー、ナマイキなルーキー
ガングート(3)
革命軍の革命戦士、メラ●ラの実を食った
遂に開幕した今期最終戦、まずはお馴染みの対潜水艦とのアツいバトルが繰り広げられるであろうパラワン水道にて、待ち受けるは前々回衝撃のデビューを飾り、早くも深海正レギュラーに定着したクソガキ様こと潜水新棲姫…
『奴ラダ!奴ラガ来タゾォー!』
『ビビルコタァネェ!!野郎共!海軍ヲ滅ボセェー!!』
潜水新棲姫率いる深海潜水待伏部隊は士気も高く、どいつもこいつもこの偉大なる航路を生き残ってきた歴戦の勇者達であり、そして、そんな勇者達を率いる深海正レギュラー期待の超新星!潜水新棲姫は目が合ったヤツは皆殺しだーとチームを鼓舞していた
しかし…ッ!!!
『グワアアアアアアアアア!!』
『ヨ、ヨ級ーッ!!ソ…ソンナ馬鹿ナ!ッテ、グワアアアアアアアアア!!』
非情の先制対潜爆雷の前に、1人、また1人と深海の勇者達が抵抗することなく命を散らしてゆく、その様はまさしく蹂躙…っ!圧倒的蹂躙!
「この資本主義のブタどもが、1人も生かしては帰さんぞォ!」
「同志ガングート!ハラショー祖国!」
「同志ガングートっす!ハラショー祖国っしゅ!」
「ど…同志ガングート、はら…?ハラショー?」
史上、最もアツかりし燃える革命!革命戦士ガングート率いるパラワン水道前哨戦攻略部隊は同志ガングート!ハラショー祖国!とアツいコールを繰り返しつつ、今、潜水新棲姫率いる深海潜水待伏部隊とのアツい戦いへと突入した
!
「クナ!声が小さいっしゅ!ハラショー祖国!ハラショー祖国っしゅ!」
「うっさい!ってか顔が近い!顔が!」
「フッ、同志なんとかっしゅ、そう言ってやるな…同志なんとかっしゅの妹は恥ずかしがり屋さん、それも美点であり美徳であろう」
「さすが同志っしゅ!」
「いや、私の名前国後なんですけど…むしろ姉さんもツッコんだ方がいいんじゃ…」
アツかりし革命戦士ガングート率いる革命同志、同志ちっこいのことヴェールヌイ、同志なんとかっしゅこと占守、同志なんとかっしゅの妹こと国後、このアツかりし海軍改め革命軍のメンバー達は開戦早々に潜水新棲姫以外の潜水艦を滅ぼし、あとはあのクソガキだけだエイエイオーとナイスガッツ革命ミーティングを始めていた…
「よーし!同志達、あのイ級的な資本主義のブタはこのガングートが狩る、お前達はあのちっこいのを狩れ」
「マジっしゅか!?」
「しかし同志、あのクソガキ様は敵旗艦、同志の給料に影響が…っ!」
「そーっす!同志ガングートが焼肉奢ってくれなかったら誰が焼肉奢ってくれるんしゅか!?」
「いや姉さん…焼肉くらい普通にスーパーで肉買って来て焼きましょうよ、ウチそんなに貧乏じゃないし…」
革命軍唯一の良心、頭の色は些かファンキーではあるがワリと常識的で挨拶もキチンとできる国後は、姉さんやめて、ホントなんか情けないし、ホントはずいからやめてと姉の袖を引っ張った
「フッ、同志達よ……このガングート、たかがMVPチケット獲得ランキングよりも大切だと考える物がある、それは……同志!お前達新しい時代の革命の火を絶やさぬこと!ここでお前達の力で旗艦級の資本主義のブタを粛清することに大きな意味があるのだ!たしかにお前達1人1人の革命の火はまだ小さい!だが今!ここで戦果を挙げる事で小さな火はやがて大きな炎となり、新たなる時代を輝かせる革命の灯火となるのだ!」
「う…ウラー!!同志ガングート!ハラショー祖国!」
「同志ガングート!同志ガングート!さすが同志ガングート!女の中の男っす!」
「ハッハッハッハ、おいおい、褒めるな同志達よ、ハッハッハッハ」
アツき感動の涙を流す同志達とアツかりしナイスガッツ円陣を組んでハッハッハッハ、同志達、ハッハッハッハと笑うガングート…
そして、そのアツき革命にイマイチついてはイケてない国後と、楽しそうねぇ〜と微笑む龍田はとりあえず非情の爆雷をクソガキ様の頭にブン投げて当てていた
『イタイ!!ヤメテヨッ!!』
「あらぁ、このガキまだ息があるのねぇ」
『ナ…ナンダコイツ、ナンダコイツ……コ、怖ェェェ』ガタガタ
龍田、いや龍田様から感じる得体の知れない絶対的支配感に、潜水新棲姫は生まれて初めて心の底から震え上がった、真の恐怖と決定的な挫折に…恐ろしさと絶望に涙とおしっこすら流した……これも初めてのことだった
『コ……コロ!殺サナイデ!殺サナイデ…ッ!』ガタガタガタ
「ん〜………駄目っ」
ちょっと考えてみたものの、龍田は首を横に振り、笑顔で死の宣告を告げ、潜水新棲姫は命を諦めた
「ウラー!!火竜の鉄拳ーッ!」
『グワアアアアアアアアア!!』
「出たッ!革命同志ガングートの竜の鉤爪!」
「さすが革命同志ガングート!イ級にも容赦ないっしゅ!」
「いや、なんかそれちょっと違う気が…え?鉄拳?」
国後は燃える革命にイマイチついて行けない常識的な子だったのでとりあえずツッコんでみたが、誰も聞いてくれないのでちょっと悲しかった
『タ……タスケ…』
「うわ、ナニこいつ!キショ!!」
国後の足元に、ズタボロにされた潜水新棲姫みたいなのが転がってきたので、つい蹴っ飛ばした
『ウゲェ!!………ゴフッ!』
「あ、やっちゃった……あ?やば、死んだ?」
こうして、潜水新棲姫はブクブクと気泡を残して沈んでいき、我々は第1ステージを無事に突破する事に成功した…
◆◆◆
冬のトレンディ執務室…
「…ナニやってんだ?アイツらは」
「胴上げですかね」
執務机に置いたテレビで、とりあえず初戦突破したらしい革命同志ガングートと革命軍がファンキーな頭の同志をわっしょいわっしょい胴上げしている映像を見ていた…
「まぁ、勝ったならいいか」
「そうですね、勝ったみたいですし」
海防艦のアレどもも今回はなかなかイイ感じな働きを見せたが、やはりTATSUTA様だな……新たな力、自動潜水艦殺害機能は伊達じゃない…
「そう言えば、五十鈴さんはどうしたんですか?」
「ん?あぁ、五十鈴さんはまだ温存だ、今頃走り込みしてるかコンビニで肉まんでも買い食いしてるだろ」