不健全鎮守府   作:犬魚

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おかげさまで400回目ですって!読んでくださる皆々様に本当に感謝です、今回は節目の初心を忘れるべからずです

【登場人物】

提督(210)
前回爆破ビルアクションした人と同じ人と思えないクズ、しかもヘタレ

五月雨(61)
専業秘書艦、戸棚におやつを入れてる

浜風(6)
通称、浜風ちゃん、素直で真面目な良い子


提督と五月雨と大変動

ゴキゲンな寒気が列島上空を覆う冬の執務室…

中央から帰ってきた俺は提督様専用のエグゼクティブチェアーに腰掛け、明石の店で買った巨乳大作戦なるいかがわしいDVDを手にしつつ、ある一つのアツかりし難問について考えを巡らせていた…

 

「コーヒーでも淹れましょうか?」

 

「…卿のジョークはいつもつまらんな、サミダリューン」

 

「失礼な、あと、五月雨です」

 

五月雨はややイラっとした様子で眉を寄せたが、じゃ、お茶でいいですねと言って安い茶葉の入った茶筒を叩き始めた、こやつめ…戦士の中の戦士(マルダーンフ・マルダーン)と称されおるがジョークのセンスはまだまだデビューしたての小僧っ娘(グリーンガール)よ…

 

「ときに我が万能なる右腕(ライトアーム)五月雨よ」

 

「…万能かどうかはさておき、なんですか?」

 

「実はこの提督、浜風ちゃんを立ちバックでレイープしたくてレイープしたくてたまらぬのだが…」

 

「…はぁ?そうですか」

 

「こやつめ、まるで興味がない体を装いおって…」

 

「や、普通に興味ないんですけど…」

 

「そこでこの提督、今日こそ浜風ちゃんの浜風ちゃんに挿入したく思うのだが………どうかね?」

 

「いや、どうかね?と言われましても…」

 

俺は執務椅子からスタイリッシュ立ち上がり、壁に掛けてある黒板に真っ白なチョークで、浜風ちゃんをレイープする具体的かつ緻密なプランを懇切丁寧にわかりやすく書き込んだ

 

「では、卿の意見を聞こう」

 

「とりあえずケーサツでいいですか?」

 

五月雨はポケットから携帯電話を取り出しスタイリッシュにプッシュボタンを押そうとしたので、俺はやめたまえと言ってチョークを投げつけた

 

「痛っ!」

 

「私としてはやはり一人でいる時を狙い、ハンカチーフに染み込ませたクロロフォルムを嗅がせ、速やかに誰も来ないであろう倉庫的な部屋に連れ込み、視界と手足を封じた上で容赦なくブチ込むのがベストではないかと思う」

 

「はぁ?」

 

「私はこの作戦を神々の黄昏≪ラグナロック≫作戦と名付けたいと思うのだが………どうかね?」

 

「いや、どうかねと言われましても……とりあえずラインハルト様に謝って欲しいですね」

 

こやつめ、なかなか痛いところを突きおるわ、しかしさすがは我が秘書艦、この冷静で的確な意見はなかなかできることじゃあない

 

「ふむ………卿の意見を是とする」

 

「はぁ」

 

「では次に、役割分担だがまずは浜風ちゃんの注意を逸らす為に囮役が必要になるが、囮役にはもちろんお前が行く」

 

「イヤですよ、ナニしれっと卑劣な事を当然のように言ってるんですか、あと、なんで毎度毎度私を頭数に入れるんですか?アレですか?寂しがり屋ですか?」

 

「カッカッカッカ!こやつめ、言いおるわ!」

 

五月雨は戦国武将か!と冷静で的確なツッコミを吐き、さきほど額に当たったチョークを俺に投げ返してきた

 

「痛ーっ!!」

 

こやつのチョークめ、ジャイロ回転しとるやんけとは……まったく、大したヤツだ、流石は俺の秘書艦様と言えよう

 

「どうせ言うだけ言って今回もヘタレるのがオチなんでしょう?たまには変化球で攻めてみたらどうですか?変化球で」

 

「変化球か、なるほど……では我が秘書艦サミダルゴスよ、その変化球について何か提案があると?」

 

「五月雨です、そうですね……まぁ、どうせヘタレて失敗するのがオチですし、いっそ適当な人で練習してみたらどうですか?」

 

「練習…っ!」

 

こやつめ!レイープの練習を勧めるとは…っ!なんたる鬼畜…っ!まさに冷酷!まさに冷血漢!我が秘書艦ながら恐ろしいヤツよ、だが……

 

「素晴らしい、まさに理想的意見だ」

 

「はぁ」

 

俺は褒めてつかわすと言って戸棚に入っていたエンゼル●イの箱を取り出し、それの中身を一つ五月雨に投げつけた

 

「痛い…っ!」

 

「卿の意見を是とする」

 

「………はぁ、そうですか」

 

「では、早速だが浜風ちゃんをレイープするべく理想的かつ実践的な練習相手を考えたいと思う、卿も忌憚のない意見を聞かせたまえ」

 

「とりあえず執務室出て、目についた人でいいんじゃないですか?」

 

まさに外道…っ!こやつめ、これほどまでにゲスな案を提示しようとは、まさに非情!まさに卑劣漢!我が秘書艦ながら恐るべき悪鬼よ…

 

「しかしサミュートス、浜風ちゃんをレイープする俺の至高なる目的に対し、浜風ちゃんと似ても似つかぬ者を相手を練習に選ぶのは些か愚策ではないか?」

 

まぁ、そもそも浜風ちゃんの代わりとなり得る人材など存在しないだろう、百歩譲って浦風と言いたいところだが、浦風では俺の欲を満たす事は不可能だろう

 

「だからいいんですよ、まったく別のタイプ、まったく想定外の事態、これを上手く対処出来れば自ずと自信がつき、失敗してもそれを認める事ができます、あと、五月雨です」

 

「素晴らしい、まさに理想的意見だ」

 

俺はエンゼ●パイを取り出し、五月雨のキレーな顔に投げつけたが、さすがに一度見たエン●ルパイは通じないらしく、左手で上手くキャッチした

 

「こやつめ、ニクいコトをしおるわい」

 

「はぁ、ってか、そのエンゼ●パイ、私のなんですけど、後で新しいの買って来て下さいよ」

 

「よかろう、では行くぞ、我が秘書艦五月雨よ、ついて参れ」

 

「…はいはい、あと、五月雨で………ん?」

 

◆◆◆

 

執務室を出た俺と五月雨、とりあえず最初に目についたヤツを“狩る”と決め、最初の美しき獲物を探して歩いていると、執務棟の廊下を歩く香取先生が目についた…

 

「香取先生か…」

 

「はい、じゃ、行きましょうか」

 

「いや、でも、ちょ!待てよ、オマエ?香取先生だぞ!?香取先生なんだぞ!」

 

「大丈夫です、まずは気さくに声をかけてからキツい一発喰らわせてやってくださいよ」

 

この青髪ロング子、可愛い顔してとんでもないコトを平然と吐きよるわい…

 

「…わかった、とりあえずアレだ、これは練習、そう、練習だ」

 

「そうです、練習です、練習なので遠慮なくどうぞ」

 

五月雨に後ろを押され、とりあえず練習だから大丈夫!やってみなくちゃわからない!と納得し、俺は香取先生に気さくに挨拶をする事にした

 

「やぁ、香取先生、今日も冷え込みますなぁ」

 

「あら提督、お疲れ様です、ホントに…今日はまた一段と冷え込みますねぇ」

 

まったく、こんな寒い日だと言うのに香取先生はエレガントでいらっしゃる……俺は香取先生と小粋なテイトクジョークを交えつつ、軽快なトークをしていると、廊下の曲がり角で待機中の五月雨から早くヤれと小粋なハンドシグナルが飛んだ

 

「………ところで香取先生」

 

「はい?」

 

「お前に一目惚れじゃあ!抱くぞ!」

 

「………はい?」

 

俺は出来る限りのキツい一発を放ち、香取先生に僕急用があるので失礼しますと一礼し、速やかにその場を立ち去り、あちらで待機中の五月雨と合流した

 

「どうだ?」

 

「なかなかキツい一発でしたね、イイ感じでしたよ」

 

「だろ?うんうん、我ながら実に強烈だと思ったのだよ、こりゃ楽勝だなぁ!よーし!自信ついてきたーッ!ガハハハハ!」

 

ーーー

 

提督の去った執務棟の廊下…

提督の印鑑が必要な書類を持った鹿島は寒い寒いとぼやきながら歩いていた…

 

「はぁ、寒いなぁ〜…あ〜寒い寒い、私もタイツ穿こうかな、あ、香取姉さん」

 

「………あら?鹿島」

 

「何してるの?こんなところで」

 

「………ねぇ鹿島」

 

「なに?」

 

熱血指導中ではない姉は基本的にはエレガント、鹿島はどこかアンニュイな表情をしている姉に何かあったのか聞きたげに首をかしげた

 

「………姉さん貯金くずそうかなって思ってるの」

 

「はい?」

 

「………私もいつかはと思いつつ、夢だった丘の上の真っ白なチャペルで式を挙げる為に貯めていたんだけどね、嗚呼鹿島…そうね、そうよ、この時の為に貯めていたのだから当然よね」

 

「ちょ…ちょ!姉さん!って香取姉ぇ!ハナシがちょっとよくわからないんだけど?え?なに?」

 

「あ、そうそう鹿島、ちゃんと公私は分けてお義兄さんと呼ぶのはプライベートだけよ?」

 

「何が!?」

 

◆◆◆

 

次なる新たなる美しき獲物を探し、近くをうろついていた俺と五月雨、その視線の先に新たなる練習台がこれから起きるであろう惨劇を知らずに歩いていた…

 

「…ほぉ、キタローくんか」

 

「早霜さんですね」

 

なるほど、キタローくんならば浜風ちゃんと同じく駆逐艦、同じく!駆逐艦、これは素晴らしい練習になるだろう

俺はさきほどの手ごたえを思い出しつつ、キタローくんに爽やかに声をかけた

 

「やぁキタローくん、元気かね?」

 

「…こんにちは」ボソボソ

 

俺はキタローくんに、どう?最近?人、殺してる?と小粋なテイトクジョークを交えつつ軽快なトークをしていると、例によって五月雨がハンドシグナルで戦術No.スペシャル0の指示を出してきた

 

「ところでキタローくん」

 

「…なんでしょうか?」ボソボソ

 

「君の作った味噌汁が飲みたい」

 

「………はぁ?」

 

俺は確かな手ごたえと同時に何か違うなと感じつつ、提督は急用があるのでこれで失礼すると片手を挙げその場を速やかに立ち去り、五月雨と合流した

 

「なんですか?味噌汁作れって、バカなんですか?」

 

「バカ言ってんじゃないよこの子は、アレだよ、今の子は知らねーかなー?この伝統芸を」

 

「や、今のじゃただ単に味噌汁作れってだけじゃないですか、毎日作って欲しいとか飲みたいとかならわかりますけど…」

 

「それな!」

 

「それな!じゃないですよ…はぁ」

 

ーーー

 

「あ、ハヤシだー」

 

「よぉー!豆食うか?豆、落花生だけど」

 

エリート駆逐艦夕雲型にして礼号のキッズのアホコンビ、朝霜と清霜は落花生をボリボリ食べながら歩いていると、姉妹である早霜がボーっと立っていたので気さくに声をかけてきた

 

「落花生だけどー」

 

「落花生だけどー」

 

朝霜と清霜が早霜に落花生をぶつけ、ゲラゲラ笑っていると早霜は口角を大きく吊り上げる非情なる早霜スマイルを浮かべた

 

「…」ニマァ…

 

「ヒギイイィィィ!?」ジョー!ドボドボドボ!

 

「ご…ゴメン、ごめんよぉ……こ、殺さないで?殺さないでっ!」ガタガタガタ

 

朝霜と清霜はガタガタと震えながら命だけは助けてください、足を舐めますと涙ながらに訴えていたが、早霜は特に気にした様子もなく、どちらかと言えば機嫌良さげに小粋なスキップをしながら去って行った…

 

◆◆◆

 

そして迎えた本番……コンディションはベスト、この時の為に作ってきた肉体、合言葉は練習は裏切らない、そう、練習は裏切らない!

 

「やぁ!浜風クン!」

 

「ん…?お疲れ様です、あ………丁度良かった、これ、少し早いですがチョコレートをどうぞ」

 

「わー!嬉しいなぁ!いいのかい?こんなオジサンにさぁ?オジサン参っちゃうよー!ガハハハハ!」

 

ガハハハハ!ガハハハハ!ガハハハハ!

 

ーーー

 

浜風ちゃんにありがとねーと手を振って別れ、チョコレートを手に五月雨と合流を果たした俺…

 

「ヘタレ」

 

「ヘタレじゃない、提督だ」




次回は帰ってきたロー●ンコラボ回、黄身も卵焼きにしてやるソワール

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