不健全鎮守府   作:犬魚

369 / 940
前半戦の前半戦!ここより痛みを教えてやろうかー!

【登場人物】

防空棲姫
痴女、いつぞやの夏に猛威を振るった脅威の駆逐艦、実は潜水艦を狙わないらしく、やっぱ駆逐艦じゃないのでは…?

天津風(3)
痴女、わりと真面目な性分

島風(5)
痴女、瞬間的には7000万パワーを発揮する



捷一号作戦、作戦発動!①

『ヘェ…キタンダァ〜…フ〜ン、キタンダァ…』

 

いつぞやの夏、いくつもの悲しみと海を越えてやって来た歴戦の提督達に圧倒的絶望を与えた恐怖の防空駆逐艦がこの秋、新たな力を身に付けずに戦場に帰還した

 

「クッ!相変わらずツエーぞコイツ!」

 

「チクショウ!なんて硬さだ!!」

 

「この鉄壁のディフェンス力!まるでカテナチオかよ!」

 

以前のような超装甲は無いにしても鍛え抜かれた一見やわらかそうな腹筋は、あの見た目はメチャ怖いが最高にイキでイナセでメチャシブい深海棲艦の大物、中枢棲姫クンをして“まさに鋼!鋼の防空駆逐艦!”と評されたコトもあるらしい…

 

『オマエモイタクシテヤローカァー!?』

 

『ヒュー!防空棲姫クンマジドSー!』

 

『マッタク!防空棲姫クンハ俺タチヲ導ク新タナ光ダゼー!』

 

◆◆◆

 

激突!第三海域!VS深海任務部隊水上打撃部隊…

気合入れて行くんでヨロシクぅー!と元気ブリバリに出撃して行った攻略部隊はまさかの強敵の出現に手を焼いているようだった…

 

「んんんんー、許るさーん!!私の遊びを邪魔しおって!!」

 

「コーヒー淹れましょうか?」

 

「コーヒーはいいから紅茶を淹れてくれんかね?前に貰ったティーバッグがそこにあるのだよ」

 

「紅茶ですね」

 

執務室のテレビで現場の様子を見ているものの、あの駆逐艦詐欺子の強靭なタフネスをなかなか削り切る事ができずにチーム全体にイライラムードが漂っているらしく、どいつもこいつもさっきから二言目には殺すぞ!とやる気溢れる台詞を吐いてやがる…

 

そしてチームの不協和音の原因としてもう一つ、深海棲艦の生存を決して許さない殺戮マシーン、雪風クンの不調もあるだろう…

何故か今日の雪風クンはお腹の調子が良くないらしく、いつものキレがない…

 

「まさか雪風様のお腹が急降下とはな…」

 

「えぇ、まさかのお腹急降下でしたね」

 

「なんか変なモン食ったのか?」

 

「さぁ?」

 

しかしフィニッシャーである雪風クンのデッドエンドシュートが期待できないとなるとあの重装甲をブチ抜くのは容易ではない、一応、今回は酒匂とクサレプリンツを投入しているが、酒匂パンチはわりと貧弱、クサレプリンに至ってはビスマルクさんが同じチームに居ないので露骨にやる気を失くして軽く流してやがる、あのクサレプリン女、帰ったら執拗にボディ叩き込んでゲーゲー吐かせてくれるわい

 

「…まぁいい、五月雨、電話繋げ、電話」

 

「はぁ?何か良い考えでもあるんですか?」

 

「当然だ、この知将に妙案アリだ」

 

「はぁ?恥将ですか…?」

 

俺は五月雨から受話器を受け取り、今日の連絡係である天……あま?アマツ?アマツなんだっけか?なんか連装砲くんの横に居る痴女みたいなヤツに通話が繋がった

 

『もしもし…?天津風だけど…?』

 

「俺だ」

 

『…なに?今ワリと忙しいんだけど?』

 

「天津丼クン、島風のアホンダラはそこにいるな?」

 

『誰が天津丼クンよ、あ・ま・つ・か・ぜ!天津風よっ!』

 

何が天津風だよ、連装砲くんのオマケみたいな顔しやがって…

 

『で?ナニ?さっきも言ったけどワリと忙しいんだけど?イタズラなら切っていい?』

 

「まぁ待ちたまえ痴女津風クン」

 

『誰が痴女よ…っ!?』

 

今回、雪風クンの他に島風と天津風の仲良し(笑)コンビを実戦投入したチーム、正直な話、雪風クン以外はわりとどうでも良かったのだが雪風クンが不調となると話は違う、島風と天津風…この最先端痴女ファッションガールズにファイナルフェイズを制して貰う必要がある…

特に、友達がいない事で有名な島風は今回のチームで友情パワーを深めたいらしく、昨日は興奮のあまり眠れなかったそうだ

 

「連装砲くんのオマケ風クン、よく聞きたまえ」

 

『誰が連装砲くんオマケよ!?逆!連装砲くんが私のオマケなのよ!!あ………ちが、違うの連装砲くん!オマケってのはそーゆー意味じゃなくて』

 

「謝れよ、連装砲くんに謝れよ」

 

『うっさいわね!!そもそもアンタが悪いのよ!』

 

まったく、痴女のワリにキレ易いとは…最近の子はどうしてこう……アレかね

 

「まぁいい、いいか天津風クン、とりあえず君の役目は島風にこう言ってやるコトだ………………と」

 

そう、コレを言ってやれば今の島風は限界と言う壁を乗り越えるだろう…

 

『………え?ホントにそれ言うの?言わなきゃダメ?』

 

「オフコース!」

 

『えー……言わなきゃダメ?』

 

「ゴチャゴチャゆーな、上手くいったらチョコレートパフェ奢ってやるからさっさとしろ」

 

『うっ……わかったわよ』

 

◆◆◆

 

「あ…あのさ、島風…」

 

「なに?」

 

たしかに、今日の島風はナニかが違う、心なしかいつもに比べてやる気があるように感じられる…そう、友情・努力・勝利、この三大要素が今の島風からは感じられるのだ…

「この勝負!アンタの雷撃でゲームを終わらせたなら!たった今からアンタは私の“親友”よ…っ!!」

 

「おう!?」ガガーン!!

 

言ってやった…なんか取り返しのつかないコトを言った気がするけど

 

「オモイヤリ+ヤサシサ+アイジョウ=………友情っ!!」

 

島風からハッキリと見てわかるほどに立ち昇る巨大なプレッシャー!?ウソ??ここまで効果あんの!?

 

「見ろ!痴女風が燃えている!」

 

「努力と勝利は裸足で逃げ出してやがる!友情!!それだけでいいんか!」

 

えー…引くわー………私が言っといてなんだけど、引くわ

島風は、喰らえ!私と天津風ちゃんのバーニングラヴとか言いながらあの防空なんちゃらに飛びかかる、ってか、ラヴは友情じゃないで愛情なんですけど…

 

「ショラーッ!!」

 

『グエッ!?』

 

島風は防空なんちゃらをダブルアームスープレックスで捕らえ、グルグルと回転しながら防空なんちゃらを上空に投げ飛ばした後、自らも飛び防空なんちゃらの首筋をまるでギロチンの如く膝で捉えた

 

『グゥゥゥ!!バ…バカメ!コノ防空棲姫様ニソンナ二流ノ技ガ…』

 

「防空なんちゃら!あの夏以来たえず研鑽を積んできたこの技が同じ技だと思うなーッ!!」

 

『グエッ!?ハ…ハズレン!?』

 

島風の膝を力業で外して脱出しようとした防空棲姫、しかし!島風は首に落とした左足の上に右足を乗せ!さらに右膝の上に右肘を乗せ固定することで強力な力を加えてそのまま勢い良く落下する!!

 

「死刑執行ーッ!!!」

 

『ドヘアァァァァァ!?』

 

島風の完璧な奥義が防空なんちゃらに炸裂し、ついにあの重装甲を誇った駆逐艦詐欺女を海に沈め、島風は誇らしげに指をビシッと指して言い放った…

 

「これが友情の力よ…っ!!」




次回は②
空母おばさんが惨殺される回

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。