【登場人物】
初春(3)
通称、初春様、一目でただの駆逐艦じゃないとわかる雅な駆逐艦
初霜(2)
初春姉妹の四女、初春姉妹きってのスーパーエース、先発から抑えまでなんでもこなす出来た妹
「うっお―っ!! くっあ―っ!! ざけんな―っ!」
秋の作戦海域、捷号決戦!邀撃、レイテ沖海戦(前篇)の開幕初戦、いつもの開幕メンバーから外れた五十鈴は五十鈴キングダムのキングダムメイト達を連れてスウィーツヴァイキングに出かけており、今回のスタメンはいつもと毛色の違うメンバー達が選出されていた…
『オゴォ!!………ウゲエェェェ』
柔らかストマックに突き刺さる狼の拳を受け、光る吐瀉物を吐いてうずくまる戦艦棲姫はお供のツ級達に首を振り、まだやれるとファイティングポーズをとり、足柄もそれに応えるように左腕を振り子のように揺らした
「スゲェ!!さすが足柄サンだ!」
「あの眼光はまさに狼…っ!“狼”はまだ死んじゃいねぇぜーッ!」
◆◆◆
栄えある開幕メンバーに選出された駆逐艦、初霜、潮、雅な御方である初春様、軽巡に阿武隈、重巡の那智と足柄…
「とりあえず旗艦は初春様にお願いする」
「うむ、妾に任せるが良い」
ただの駆逐艦とは思えない相当に雅な御方、初春様、おそらくは身分の高い御方なのだろうがきっと何かしらの事情があって今は身分を隠されているのだろう…
「オマエらァ!!初春様にメーワクかけるんじゃねーぞ、いいか?わかってんのかボンクラどもが、特に足柄ァ…テメーは初春様が危ないと思ったらすぐに盾になれよ、テメーのその難産ヒップがメチャメチャになっても初春様だけは守護れよ」
「は?ダレが難産ヒップよ、ちょっとオモテに来なさい、タイマン張りましょ」
「あ?ダレにケンカ売ってんだテメー、上等だよ、オモテに出ろよ」
俺と足柄は互いにアンアンとメンチを切りつつ思わずイタズラなKISSしちまいかねない距離まで顔を近づけ、ヤんのか?あ?ヤんのか?と偏差値高めのメンチビームを撃ち合った
「のぉ初霜よ、テートクと足柄は接吻する関係かえ?」
「初春様、アレはKISSに御座います」
「きす?………ふむ、鱚か、なかなか面白い喩えじゃな、褒美に金平糖を一つやろう」
「ありがとうございます」
初春様のあまりに似てない妹、初霜は長女から恭しく金平糖を賜わり口に放り込んでいる姿を見て、俺と足柄は自分達を恥じ、お互いにちょっと照れ臭い感じで距離を取った…
「まぁ、俺は巨乳派だから別にオマエのコトなんかどうだっていいけどな」
「私も普通にイケメンが好きだからテイトクのコトとかどうだっていいんだけどね」
べ…別に、足柄ってよく見たらキレーな顔してるじゃんとか思ってないんだからね!
「…と、まぁ小粋なテイトクジョークはいいとして、足柄よ」
「ナニよ?言っとくけど帰ったらケッコンしようとか言われても嬉しくないんだからね!」
「やかましい、誰がゆーか!そんなコト!」
「じゃナニよ?作戦?別に難しいコトはないわよ、まっすぐ行ってぶっ飛ばせばいいんでしょ?右ストレートで」
「わかってるなら良し!!」
本来、艦隊司令としての提督の仕事は海域ルートやら陣形やらを細かく指示を出し、帰って来たら温かいココアを出すことだがウチのバカどもは基本バカなので細かいギミックやらなんやらを説明すると“要は気合ってコトだな!”で済ますので俺が今更何も言う事はない…
「よし!では栄えある開幕スタメン出撃だ!深海の奴らを海より深い地獄へ突き落としてやれ!!」
「任せときなさい!目が合ったヤツは皆殺しよ!」
次回は②