不健全鎮守府   作:犬魚

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軽い小説とは何が軽いのだろう…?

【登場人物】

提督(173)
最近のラ●ベはエロ本みたいな表紙だなオイと感じている大人

天霧(2)
腹筋バッキバキ眼鏡、バーベルトレーニングなどアンナチュラルでないトレーニングを好む汗臭い系

狭霧(2)
薄幸文学少女、バーベルトレーニングしたらナチュラルに潰されるシトラス系


提督とあまさぎとノベール文学

特に急ぎの仕事もない秋の日、執務室でNARUT●を読んでいた俺は買い置きの缶コーヒーでも飲もうと執務室に常設している冷蔵庫を開けたら入っておらず、五月雨に缶コーヒー買って来てくれと努めて紳士的に頼んだら自分で行けと言われるどころかシカトされ、仕方ないので自分で買いに出かけていた

 

「あの青髪ロング子が、ちょっと青髪ロングだからってチョーシに乗りやがって……まったく、俺に“適応”しろってのな、テキオー」

 

ブツクサと文句を言いつつ自販機コーナーへと向かっていると、自販機コーナーのベンチに座る先客がいるのが見えたので俺は大人として、努めて紳士的に挨拶をする事にした

 

「よぉ、元気しとるかね?」

 

「あ?なんだコラ?オッサン、やんのかコラ?」

 

チューインガムをプープー膨らまし、アンアン言いながら果敢にメンチ切ってきた腹筋バッキバキの期待のスーパールーキー、天霧

 

「オッサンじゃない、提督だ」

 

「ちょ!天霧…っ!天霧!なんでいきなりケンカ売ってるの!?す…スイマセン!スイマセンスイマセン!ごめんなさい!わ…悪気はないんです…っ!」

 

そして、天霧クンと同じく最近ウチに配属されて来た微妙な新人、サギ……サギだっけ?いや、トキだったか?まぁ、些細な事だろう、このサギだかトキだかクン、見た目の薄幸感と正比例する薄幸属性の持ち主らしく、その見た目の清涼感たるや、まるで清浄な空気の森でひっそりと暮らすエルフかなんかじゃないかとすら思うのだよ…

 

「ハッハッハ、まぁそう気に病む事はないよ、ナマイキなルーキー!大いに結構!」

 

「オッサン、ハナシがワカるじゃねーの」

 

「天霧ぃ!?」

 

「ハッハッハ」

 

しかし実に対照的なヤツらだな、コイツら……まぁ、姉妹でワリとよく似てないコトなど多々あるし、些細な事だろう

 

「スイマセンスイマセンスイマセン!ホントにスイマセン!悪気は!ホントに悪気はないんです!ですのでどうにか厳しい処分とかは…」

 

「ないない、そんなモノはないよ、えー……サギーくんだっけ?」

 

「…狭霧です」

 

「あー、そうそう狭霧クンね、狭霧クン」

 

ヘコヘコではなくペコペコと頭を下げる狭霧クンに過ちを気に病む事はない、ただ次の糧にすればいいと大人の意見を述べてみたが、冷静に考えると狭霧クンは何も悪くない気がするな……

 

「で?君たちはナニかね?休憩中かね?」

 

「え…えぇ、ちょっと気分転換にと…」

 

気分を転換しなければならない程ウチのトレーニングはハードだったろうか?まぁ、アレだろう、まだウチに来て日が浅いし、緊張しているんだろう

 

「サギリの奴、趣味でなんとかノベル書いてんだよ、なんとかノベル、で、なんかちょっと煮詰まったって言うからジュース買いに来たんだよ」

 

「なんとかノベルって……まぁ、間違いじゃないけど」

 

「ほぉ、サギーくんなんとかノベルを書くのかね」

 

それまた今までにない趣味をお持ちらしいな、この森のエルフ的な薄幸少女クンは、まぁ、ウチには金やちやほやして欲しいからとか俗っぽい動機ではなく読んで欲しいからとアツい情熱で漫画を描く少年漫画家(自称)の秋雲もいるし、なんとかノベルを書く趣味を持つ子が居ても不思議ではあるまい…

 

「え、えぇ……まぁ、はい、あまり面白くはないのですが」

 

「アレかね?やはりサギーくんの書いてるのは大陸の南側にある辺境の呪われた島で、後に英雄となる青年と深い森の貧乳エルフ的な美女が出てくる感じのファンタジー的なアレかね?」

 

「い…いえ、ファンタジー的なものではないのですが…」

 

なんだ、違うのか……いや、もしかして後に神王との終わらないエンドレスバトルに突入する黒衣の騎士と褐色おっぱいエルフ、そう、褐色おっぱいエルフ的なものが出てくる系だろうか?

 

「……気に病む事はない」

 

「なにがですか!?」

 

自分にないものを求めるのは仕方のない事だろう、俺はサギーくんの肩に手を置き、これからカルシウムとβカロチンを摂取すれば大丈夫だろうと適切なアドバイスを贈った

 

「こー見えても狭霧の書いてんの人気あるらしくってよ、今度本が出るんだぜ」

 

「マジか!?」

 

「え?あ、はい……一応、なんか小説投稿サイトでちょっと人気があるみたいで、なんかそんな話を頂いて…」

 

「凄いじゃないかね、ちなみにアレかね?やはりペンネームはホモマンガ先生とかそんな感じかね?」

 

「い…いえ、山田ゼレフです…」

 

エルフじゃねーのかよ、なんだよその人の命を超軽く見なきゃならん呪い受けてそうな名前…

 

「本が発売されたら教えてくれたまえ、提督も一冊買ってみるとしよう」

 

「え!?あ……いや、て…提督に買って頂く程の作品ではないかと……うん、できればやめた方が…」

 

「ナニ言ってんだ狭霧ィ!このオッサンに100万冊ぐれー買わせて印税生活しよーぜ!印税生活!で、アタシにフィットネスマシン買ってくれよ、印税で」

 

「やだよ……自分で買ってよ、ってか、今現在の時点で部屋に変なトレーニングマシンいっぱいあるし…これ以上部屋が狭くなるのは…」

 

「じゃ家買おうぜ、庭付きの家、アタシSAS●KE攻略の為のセット作りてぇーからさ」

 

「やだよ!自分で買って自分で作ってよ!?」




次回はヒロ引力がバクハツする回、とびっきりの最低対最低!

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