【登場人物】
提督(167)
漫画にうるさい漫画素人、ちなみに絵心はない
秋雲(7)
アツかりし少年漫画家、団地妻エージをライバル視している、一方的に
Iowa(7)
ネオアメリカから来たバトルシップガール、バーガーはラージサイズでもやや足りない
「どーっすか?」
特に急ぎの仕事もない秋の執務室、俺は自称・少年漫画家、秋雲の原稿をパラパラとナナメ読みしながら缶コーヒーを飲んでいた…
今回のアツかりし少年漫画家秋雲センセイの新作はあえて自らの得意分野である80年代風のアツい画風を封印し、今風のキャッチーな絵柄で描かれたアツかりし漫画“うらら人別帖”……キャッチーで萌え的な絵柄のどちらかと言えばキュートで躍動感あるキャラクター達がキャッキャウフフする漫画ならアニメ化すら視野に入るのではないだろうかと思うのだが、残念ながらこの漫画はキュートで躍動感あるキャラクター達が不戦の約定を解かれた事をいい事に驚天動地!人外魔境の占術合戦を繰り広げる殺戮のパレードみたいな漫画である…
「秋雲的にはこの、また死んでおられるぞーってトコにちょっと笑いの要素を入れてみたんすけど」
「オマエ、相変わらず絵だけは上手いよな」
「そーっすか?」
まぁ、絵だけなんだが……しかしダメだな、これでは今のジャ●プを救う救世主にはなれないッ!人気漫画が立て続けに終わり、さらにはあのこ●亀すら連載終了した今のジャ●プを再び輝く黄金のような絶頂に押し上げるにはパワーが足りなさ過ぎるッ!
「しかし今回はまた画風をガラッと変えてきたな」
「えぇ、秋雲組内でも相談してみたんすけど、どうせならガラッと変えてみた方がイケるんじゃないかと…」
しかし正直なところ、秋雲的にどうしてもガクランの男や腹マイトのアツいキャラクターが描きたいらしく、ちょいちょい背景のモブに本宮ひ●志的なキャラクターが描かれていた
「やっぱアレっすかね?時代のニーズ的には最強主人公が無双してヒロイン的存在とズッコンバッコン大騒ぎする系がウケるんすかね?」
「女の子がズッコンバッコンとかゆーんじゃないよ」
「じゃ、おセ●クス」
「おセッ●スじゃないよ、ナニふわっとした感じで言ってんだよ、“お”を付けたぐらいで誤魔化されるワケねーだろ」
まったく、どこでそんないかがわしい単語を覚えてくるのかね、この駆逐艦は…インターネッツか?インターネッツがやはり性の温床になっているのか?ふむ…やはり駆逐艦のキッズが使用する事を考えて厳しい閲覧制限を視野に入れないといかんな
「まぁいい、とりあえずマミーヤ行って連載会議でもするか、提督様がパフェぐらい奢ってやろう」
「マジっすか、あざーす!テイトクあざーす!」
「褒めるなよ、兵が見ている」
そんな俺たちのやり取りを見ていた五月雨は、ナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?といった顔をしていたが、俺たちは別にイカレてはいない、俺たちはこれからのジャ●プの事について真剣に憂うまさしく生粋のジャ●プっ子であろう…
ーーー
「本日のオススメはバターとメープルシロップたっぷりホットケーキ-ヒマワリの丘-です」
甘いモンも辛いモンも扱うこだわりの店、間宮
そのこだわりは和洋問わず、材料や製法は当然、そして器材に環境、さらには調理時におけるコンディションまでもこだわりを持つ美食の求道者、間宮が自ら作り上げる品は常に最高であると噂されている………まぁ、俺としては熟れたボディを持て余し気味の安産ヒップが作っているだけと言う付加価値しかないが…
「ふ〜ん、このチーズケーキ2つとコーヒーくれや」
「本日のオススメはバターとメープルシロップたっぷりホットケーキ-ヒマワリの丘-です」
「いいから早くしろよ、モタモタすんな乳牛が」
「乳牛じゃありません間宮です、訴えますよ、レ●プされたって」
こ…この乳牛、いや間宮め…ッ!なんて卑劣な脅し文句を!だが俺は心の広いグッドガイだ、間宮、いや、マミーヤよ、オマエにその良き子を産めそうな尻に敬意を払い、その無礼を笑顔で許そうではないか
「ゴメーヌ」
「わかればいいんですよ、ちなみに今日のオススメはバターとメープルシロップたっぷりホットケーキ-ヒマワリの丘-です」
「チーズケーキ2つ」
ーーー
間宮とのアツい駆け引きに競り勝ち、俺と秋雲はチーズケーキの載った皿を手にテキトーに空いているテーブルに座った
「やっぱ秋雲さん的には上半身裸の男達が奥義を繰り出して見開きでグシャー!とかBAKOOON!とかがウケると思うんすよ」
「それオマエが描きたいだけだろーが」
「まぁ、そうなんすけど」
たしかに、秋雲本来のアツい絵柄には友情!努力!勝利がよく合うし、俺個人としては好みなんだが残念ながら最近の流行りと合っていないのも事実…ッ!
「どうせならエロ漫画でも描いたらどうだ?オマエ絵だけは上手いしな」
「エロ漫画っすか〜…う〜ん、前に練習で描いてはみたっすけど、どうにもチ●コが上手く描けないんすよね〜」
「女の子がチ●コとか言うんじゃないよ」
「じゃなんて言ったらいいんすか?」
「…ペ●ス?」
「ぺ●スっすか」
「女の子がぺ●スとか言うんじゃないよ」
「じゃなんて言ったらいいんすか!?」
一般的な秋雲はどエロい漫画を得意としているらしいが、残念ながらうちに居る秋雲はどエロい漫画をまったく得意としていないらしく、濡れ場と言えばどうしてエレクチ●ンしないのよォー!とチ●コを殴る系ならワリと描けるらしい、そんなアツいチ●コ話を俺たちがしていると、マミーヤの扉をOpenし、新たなる客が入って来た
「Oh、Admiralと〜…エー……アキグモ!」
「ん?」
「あ、アイオワサン、チーッス」
米国からやって来たダイナマイツパッキンガール、アイオワはマミーヤバーガー・ラージサイズセットのトレイを片手に、俺たちの座るテーブルによっこらS●Xと小粋なアイオワジョークを交えつつ座った
「ナンのハナシしてたノ?meもまぜテー」
「漫画についてだ」
「マンガ…?」
「Cartoon…いや、どちらかと言えばComic bookの方か?」
「Oh!MANGAネ!meも好きよ!昔は大きくなったらmeもX-M●Nに入るんだって言ってたらMummに叱られたワ、X-M●Nより先にCheer leading clubにしなさいってネ!」
陽気なアメリカンファミリーか、まぁ、その後は残念ながらX-M●Nにもアベン●ャーズにも入れず、カレッジではエースで4番のメジャー確実視されていたが何の因果かネービーに入隊、最新鋭の恐竜みたいなガンガン殴られても平気な浮かぶパンチングマシンとしての人生を送っている、人生とはわからぬものだ…
「ソレで?AdmiralとアキグモはナンのMANGAのハナシしてたの?NAR●TO?meも好きよ!NARUT●!」
「秋雲の描いたマンガについて話をしていたのだよ」
「アキグモの描いた……?Oh!アキグモ!アナタMANGA描けるの?アナタ、センセイだったノ!?」
「いやぁ、センセイってほどでは〜」
初めて見る日本の漫画を描くセンセイに大興奮のアイオワは目をキラキラさせながらアクシュアクシュと秋雲に手を硬く握り、秋雲は秋雲でまんざらでもないのだろう、いやぁ〜と言いながらヘラヘラと曖昧な笑みを浮かべていた
「マサカこんな身近にセンセイがいるとハ…後でサラにも教えてあげないト…」
「サラトガもマンガとか読むのか?」
「えぇ、サラは私より日本のMANGAに詳しいワ、最近はえ〜……エー……あぁそうそう、カシマ、カシマによく借りてるみたいネ」
「ほぉ、鹿島先生に…」
「でもサラったらケチなのヨ、カシマから借りたトクベツな本はmeには見せてくれないのよ、ケチよネ」
サラトガェ………そう言や最近明石の店でちょいちょい見かける気がしてたが…
「ところでアキグモのMANGAはどんなヒーローが出てくるの?」
「え…?ヒーローっすか?う〜ん、ヒーロー……そういやヒーローモノって描かないっすね」
「ヒーローって言えばやっぱ変身モノか」
「変身ヒーローモノっすか、なるほど!なんか閃いてきたっすよ!テイトク!この秋雲に妙案アリっすよ!」
秋雲は椅子に座ったままの姿勢からまるで見えない力に圧されたかのように飛び上がり、床に着地した
「こうしちゃいられねぇ!!今すぐネームっすよ!今すぐ!」
「よし!その熱意や良し!心意気や良し!」
「よくワカらないケド完成したら読ませてネ!」