不健全鎮守府   作:犬魚

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最終海域ドーバー海峡ーッ!

【登場人物】

提督(163)
空気の読める大人、天龍と木曾はマジダチ

五月雨(53)
空気の読める秘書艦、いっこ下の妹のドスケベ水着には内心殺意すら感じている



ドーバー海峡沖海戦①

幾つもの哀しみと海を越え、遂に到着した今作戦最終海域、ドーバー海峡ッ!!ここまでの道中、立ち塞がった強敵達とのアツかりしバトルを胸に刻んだ我々は決意を新たに最終海域に臨むのだった…

 

「こちらが情報やらなんやら書いた資料です」

 

「うむ」

 

五月雨はブサイクな動物が描かれたクリアファイルから数枚の紙を取り出して俺の机に置き、俺はタバコに火を点けて紫煙を一服吐きながらそれを眺めてみる…

 

「広い上にメンドくさそうだな」

 

「最後らしく、今回もギミック満載、鬼姫満載のステキなイベント目白押しの布陣みたいですね」

 

「ナニがステキなイベントだ」

 

だいたいアレだ、謎の超装甲ギミックやらルート制限ギミックやらアイツらのギミックはデタラメだよ、男なら拳一つで勝負せんかい!っーのな

 

「で、そっちの二枚目に記載されてるのがこの海域のボスなそうです、名前はたしか〜…ヨーロピアンシ●ガーコーンとかなんとか…」

 

「ナニがヨーロピアンシ●ガーコーンだ、バカにしてんのか」

 

「とりあえず見た目はスンゴイですよ」

 

「そんな庶民的に美味しそうな名前のヤツがスンゴイわけあるかっーの………って!スゲェ!!」

 

書類をめくってみると、たしかにスンゴイ奴の画像が記載されているッ!?なんだコイツ?いきなりエクスカリバーカリバーンでもブッ放してきそうなトンデモ野郎じゃねぇか…

 

「クッ、カッコいいじゃねぇか…」

 

「そうですか?」

 

青髪ロングはナニ言ってんだコイツ?みたいな顔してるが、まぁそれも当然だろう、この一目でタダ者じゃないとわかるカッコ良さを理解できるのはおそらくこの基地でも俺と天龍と木曾、つまりは闇の住人だけであろう…

 

「まぁいい、とりあえずはアレだ、ギミックとかなんとか面倒事を全て片付けてから陛下にご出陣頂くから誰か暇人でも出すか…」

 

「暇人ですか……あ、金剛さんとか暇を持て余して姉妹で桃鉄してましたよ」

 

「桃鉄か、仲良いなアイツら」

 

「あとは〜……あ、あの人あの人、ほらこないだ来たばっかりの、ほら、名前がちょいちょい変わる人」

 

「誰だよ?そんなヤツいたか?」

 

「あの人ですよ、ほら、旧ソみたいな」

 

「あ〜…アイツな」

 

アツかりし革命戦士、同志ガングートだったか…そういやアイツ、今んトコ出番なかったな、昨日喫煙所で会った時になんかチラチラこっち見て片目バチコーンとしてたが、もしかして出撃したいアピールでもしてたのだろうか?

 

「まぁ、暇みたいだし、デビュー戦も兼ねてアイツに行かせてみるか」

 

「うわ、すごいなげやり」

 

「なげやりじゃない、提督だ……あ、そうそう、オマエの妹もついでに出してやるか」

 

「妹?あぁ、頭の白いドスケベ水着の子ですか?」

 

「妹になんてコト言うのかね、この子は」

 

海風ねーちゃんに対して厳しいなコイツ、まぁ、ドスケベなのは水着ではなく海風ねーちゃんのドスケベバディだと思うのだが、まぁ、俺は空気の読める大人なのでわざわざコイツの機嫌を損ねるような真似はしない

 

「海風ねーちゃんじゃないで、緑のトゲトゲしいチビだ」

 

「…あぁ、山風さんですね、提督のお気に入りの」

 

「上司に対してなんてコト言うのかね、この子は」

 

そーゆー何気ない発言がいらん誤解を招くのだよ…

っーか、あのチビスケは俺ではなく明石が可愛いがっている気がするが…

 

「その山風を呼んどけ、開幕スタメンで行くってな」

 

◆◆◆

 

北大西洋海域、ドーバー海峡奥、深海欧州主力艦隊旗艦艦隊…

 

『バカナノ?オロカナノ?』

 

北大西洋海域を統べるビッグBOSS、航空旗艦ッ!欧州棲姫率いる旗艦艦隊はニクラシキ奴らが来るのを今か今かと、こんなにやべーのにワクワクすっぞ!と敵艦隊が来るのを待っていた…

 

『オマエタチデハ……デキナイッ!』キリッ!

 

そして、そんなやる気とガッツ溢れるチームメイト達に囲まれ、今回デビュー戦の航空旗艦、欧州棲姫は手書きのアンチョコを見ながらセリフの準備に余念がなかった

 

『姫ッ!御茶ノ準備ガ整ッテオリマス』

 

『…ウム、スグニ行ク』キリッ!

 

欧州棲姫は優雅に片手を挙げ、すぐに行くから先に行ってなさいと呼びに来たナ級に促した

 

『クソッ!ヤッパ姫カッケーヨナ!』

 

『アァ、アノ絶対ニ屈シナイ感ナンテイイヨナ』

 

『姫ハ一見スルト厳シク見エルケド、実ハ深海魚ニ餌ヤッタリトカシテルンダゼ』

 

『マッタク!姫騎士欧州棲姫サマハ最高ダゼ!』

 

深海チームメイト達は欧州棲姫の持つ絶対的なカリスマ性に心酔しており、皆、姫の為なら俺は死ねるぜーッ!と言える逸材達が揃っている………しかし

 

『………ハァ、ドウシテコンナコトニ…ッ!』

 

欧州棲姫は一人、目を閉じて考える…

そもそも自分はちょっと内気でコスプレ趣味があるだけの善良な、いち深海棲艦なのだが、集ちゃんオススメの姫騎士風ファッションをキメてみたら意外と反響があり、あれよあれよ言う間に一気にこの欧州主力艦隊の旗艦に抜擢、しかも航空旗艦とかワケわからん艦種ッ!ホントはすごい断りたかったけど中枢棲姫クンとかマジコエーし、退くに退けない状況になった…

 

『………ハァ』

 

とりあえず、今回は大規模侵攻だから深海予算いっぱい出たらしく、この海域には鬼姫ラッシュで配備されているので海軍のヤツらも無事では済まないだろうし、此処に来るのすら危ういだろう

 

『欧州棲姫サマガ物憂ゲニ瞑想シテル姿メチャシブイッス…』

 

『キット海軍ノ屑ドモニ、アノ聖剣ヲブッ放シタクテウズウズシテルンダゼ…』

 

ごめんね、コレ、聖剣とかエクスカ●バーとかじゃないの、よく見て、アルミ貼ってるだけでしょ?ケッコー自信作だよ

 

『………ハァ』

 

とにかく、早く帰りたい、ってかコレ脱ぎたい、誰だよ深海の姫級はラフな格好で現場に行っていいって言ったの…まぁ、さすがノーブラノーパンはありえないけど…

 




次回はイベント編最終回の②

Without changing a look with me, it's only a person with me to permit speaking…
The person who disobeys doesn't permit for how many people also to look down with adequacy.

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