【登場人物】
潜水艦娘
実力派エリート集団、提督らが人類の未来を賭けた熾烈な決戦を繰り広げている間に長期休暇を満喫中
長期休暇!その、素敵な休暇が実力派エリート集団を行動させた!作戦期間中以外は毎日毎日素潜りしてコツコツと資材を集める地味な仕事に勤しむサブマリンガールはキャリーバッグにお洒落な服を詰め、念のためにと靴下の中に100ドル紙幣を挿れ、彼女達は今、この夏の休暇を利用し、ハワイへと遊びに来ていたッ!!
「ワイハー!」
「ワイハーですって!ワイハですって!」
空港を出た瞬間から大はしゃぎする401と呂500は常夏の日差しを受けてゲラゲラ笑いながら些か頭がアレなテンションでウェイウェイと手を叩き合っていた…
「うるせぇよ!ちょっと落ち着け、な?」
「58さん!」
実力派エリート集団である潜水艦の中でもまとめ役に定評のある伊58はハシャぎ回るバカどもの股間を蹴りあげ、58は168にとりあえずホテル行きてーからナビしろ、ナビと言ってベンチに腰を下ろした
「とりあえずホテル行って荷物置いて、そっからまずみんなでメシでも食う!わかってんでちか?」
「押忍!26は早くホテルに行って全裸でベッドにダイブしたいです!」
「押忍ー!14も早くホテルに行って酒を浴びるほど浴びたいです!」
「…14ちゃん、ちょっと黙ろうね」
58はとりあえず26と14の股間を蹴りあげ、168にさっさとホテル行きのバス的なモン探せよと急かした
「うっさいわね、今探してんのよバーカ、このモッコリ股間が」
「ア゛?オマエ今なんっつた?」
「あ゛?っーか誰にメーレーしてんのよ?」
58と168の間にメンチビームのアツい火花が散り、両者はアンアン言いながら詰め寄り、思わずKISSしてしまいかねない超距離でアンアンとメンチを切る一触即発の状況となった
「やめるのね!ケンカはやめるのね!」
楽しい旅にケンカは良くない、19は一触即発の58と168の間に割って入った
「うるせぇ!このマリファナ野郎が!」
「ハーブでキマってろ!」
「ア゛ァ!?んだとぉコラァ!!ブッ殺すぞこのクサレ●●●どもがァ!まとめて●●して、●●●されてぇーのか!この●●●●●ども!」
19の右拳が58の頰を撃ち、58の膝が168の股間を蹴りあげ、168の右手刀が19の喉に炸裂し、3人の潜水艦によるステキなオウガバトルが開幕した
「もー!センパイ達やめてくださいよー!」
「ちょ!8っちゃんさん、この人達止めてくださいよォ〜、8っちゃんさんの無敵のブックオブなんたらで止めてやってくださいよォ〜」
8っちゃんさんこと、伊8は読んでいたハードカバーから少し視線を上げ、3人の乱闘をチラ見して、再び本に視線を落とし“2人死んだら止まるし…”とだけ呟いた
「それダメな感じじゃん!?一番サイアクなパターンじゃん!」
「…Uも、そう思う…」
◆◆◆
「スマホが壊れたんですけどっ!!」
3人のバトルロイヤルは、熾烈を極めた…
1人が膝を折れば2人が襲いかかる、生存闘争とは常に、弱った獣から狩られるのが掟であり、3人の戦いはまさにそれだった………
「グシャったでちな」
「グシャったのね」
そして、エキサイトする戦いの中、誰の拳だか蹴りだかはわからないが、それは168の大事な大事なスマホを直撃し、その画面は親でも区別つかないぐらいグシャっと割れていた
「どーすんのコレ!?」
「機種変したら?」
「海外で?できるの…?」
「そんなコト知らないのね」
軽くスマホ依存性である168にとってスマホが壊れるのは非常に困る事であると同時に、168のスマホは提督への定時連絡をする為のアイテムなので、使用不可能になると非常にマズかった…
「もし、定時連絡できなかったらあのオッサン、間違いなく私達全員強制送還されるのよ…」
「そいつはマズいでちな」
「そいつはマズいのね」
潜水艦娘の身体にはスーパーニンジャ(自称)川内からいつの間にやら打ち込まれたマーカーと言う名の呪印が仕込まれており、世界中のどこにいようが、メシ食ってようが、女抱いてようがおかまいなし 喚び出されてしまう…
「イヤですって!!ろーちゃんまだ来たばっかりですって!」
「イヤだァァァァァ!!口寄せられたくない!口寄せられるのはイヤだァァァァァ!」
「Uも……困る」
定期連絡を欠かしたら問答無用、絶望が潜水艦娘達を襲うが……とにかく、まずは168のスマホをなんとかする!潜水艦娘の心は今、ハッキリと一つに重なった!
「しかし海外で機種変…」
「この際、修理でもいいんだけど…」
「8っちゃんさん、なんか良い知恵ないっすかー8っちゃんさん、無敵のハードカバーでなんとかしてくださいよォ〜」
潜水艦娘一の知恵者、社会派潜水艦の8っちゃんは読んでいた本から視線を上げると、電柱に貼ってある広告を指差した
【スマホートンなど修理し〼】
海外だと言うのに日本語で書かれた広告ッ!しかも微妙に誤字なのかどうか怪しさ溢れる広告ッ!
「す、スマホートン?」
「スマートフォンじゃないんだ…」
「とりあえず、ここで診て貰おうか?一応日本語だし」
「そうでちね、一応日本語でち」
「超不安なんだけど…」
とりあえず、一応日本語で書かれた広告を信じ、書いてある住所の店へと行ってみる事にした…
ーーー
「ここが書いてあるハウスなのね」
「ここが書いてあるハウスですね!」
とりあえず、19と26は店の扉を開けてー!開けなさいよー!言いながらドンドンと叩き、58から丸めたガイドブックでブッ叩かれた
『どうぞ、開いてますよ』
扉の向こう側から開いてますよと返答が聞こえた
「アネキぃ!イケボだよ!」
「…イケメンボイスだね、14ちゃん」
なにやら胡散臭い店だと思っていたものの、潜水艦娘達はまさかのイケボに期待に胸を膨らませ、扉を開けて店内へと入った
「ようこそ、お客様」
店の中に、仮面舞踏会でよく見る紳士的アイマスクのみを着用した男………紳士的アイマスク“のみ”を着用した全裸の男が雄々しく立っていた
「ヘンタイだァァァァァ!!」
「へンタイ!ヘンタイですって!」
「失敬な、私は変態ではありませんよ」
窓から振り込む南国のサンシャイン光が男の股間をイイ感じに照らし、ギリギリを守護っているッ!!
「私は………おや?君達はもしかして…」
「な…ナニよ?」
「ふむ、潜水艦娘の放し飼いとは珍しい……飼い主はいないのですか?」
男は腰をグイッと動かしサンシャイン規制が外れるかと思いきや、今度は鏡に反射した謎の光が男のギリギリを守護った
「コイツ……!私達が艦娘、しかも潜水艦ってコトまで知ってる!?」
「何者っ!?」
潜水艦娘達の間に一気に緊張が走った、ただの人間からすれば見分けなどつく筈ないのに、艦娘、しかも艦種すら特定したほぼ全裸の男に警戒の色を強めた
「そうですね、話せば長くなるのですが………まぁ、私のコトは仁………いえ、フロ・フルンタルとでも呼んでください」
「フロ?」
「…フロンタルじゃないんだ」
次回は後編!
また敵となるか、カンムス!