【登場人物】
提督(163)
安心の大佐に限りなく近い中佐、人間は諦めが肝心と思っている
重巡夏姫
去年もいた重巡棲姫夏バージョン、黒い液体は身体に悪いけどやめられない
山風(14)
意外と久々に登場のシャイチビスケ、アイスは1日1個と海風姉ちゃんから厳しく制限されている
明石(13)
意外と提督とフランクな仲のダメ工作艦、とりあえず下痢気味の日はトイレで言ってみる
「憧れるのはもう、やめる!」
2回戦を最大級のパワフル火力で決め、続く第3回戦へとステージを進めた当艦隊、リンガ泊地沖で由良さん、リランカでは武蔵と言う激レアカードを早々に切った俺たちの前にさらなる苦難が待ち受ける事は必至ッ!未だ序盤と言える海域なのに提督の身体は既に副流煙にてズタズタになり、五月雨はもはや提督そのものにフ●ブリーズをブチ撒けていた…
「はぁ?」
「よし、勲章ものの活躍は諦めよう!」
そして、提督は安心のヘタレを選んだ
かつて学んだ海軍学校ではこの丙提督を選べば死してなお未来永劫鬼畜にも劣る賊の烙印を押されると教官殿の有難い座学で聞いた気がするが、現在進行形で既に賊なので俺には関係ない
「よし、引き続き武蔵で行くぞ!武蔵で!」
「連投させるのですか?武蔵さん」
「当たり前だろ、クックック…深海のヤツらめ、この俺を舐めた罰として死すら生温いこの世の地獄を味合わせてやる」
「完全に悪の台詞ですよ、それ」
「悪じゃない、提督だ」
「はいはい、中佐中佐」
「中佐じゃない、限りなく大佐に近い中佐だ、間違えるな青髪ロング子」
「青髪ロング子ではありません、五月雨です」
ーーー
「で?次はいよいよ連合艦隊か…」
「まぁ、とりあえず最初はお馴染みのジャブ程度に輸送任務からですけど」
続く第三海域ステビア海、五月雨の用意した書類には、とりあえず資材を輸送してからこの海域をシメるヘッドの重巡なんちゃらを倒してネと書かれており、ところどころ変なラクガキも描いてあるが、まぁ、暑いのだから仕方ない…
「輸送ねぇ、ミカに行って貰うか…」
「三日月さんに?」
「あぁ、この仕事を任せられるのはアイツしかいねぇ、アイツなら必ずやってくれる」
最近アイツもヒマなのだろう、たまに自販機の前とかで会うと特に何も言うワケじゃないが、その目が俺に訴えかけている、次はどうする?次は何をすればいい?ダメだよ提督まだ立ち止まれない、そこに着くまでは立ち止まらない立ち止まれない、決めたんだ、あの日に決まったんだ、ねぇあと何人殺せばいい?あと何人殺せばそこへつける?ってな…
「じゃ、三日月さんはいいとして、輸送ですし、適当に大発持てそうな人に声をかけますか」
「そうだな、とりあえず睦月型のアホガキども中心に呼び出すか…」
そういや最近、フミ…?文月だっけか?アイツもリベイクされてフルシティになったとかなんとか誰かが言ってたな、たぶん大発とか持てるデキる子になっているだろうし、アイツも起用してやるか
◆◆◆
ゴキゲンな真夏の陽射しが照射するステビア海…
『アー…暑イワー、マジ暑イワー』
暑いわーと言いながら手持ちのフルーティなジュースを飲み、仕事と言う名のゴキゲンなバカンスに興じている重巡棲姫もとい重巡夏姫、今回のマジでBADな欧州侵攻大作戦の出撃シフトに入ってしまった彼女は、せめて気分くらいは夏休みにしようとやる気なさげにアイスをガリガリと齧っていた…
『重巡棲姫クン!』
『重巡夏姫ナ、夏姫、デ?ナニ?』
『ヤツラガコッチニ向ッテ来テルッテ!』
『フ〜ン』
リランカから伝わっている情報ではまだ序盤だと言うのにセンカンムサシだとかクリティカルクルセイドだとかワケのわからんコトを言っていたが、たぶんキリシマだかローマだかの見間違えだろう、そんな早々とムサシとゆーモンスターが出てくるワケがない、たしかリランカ担当はネ級だっけか?きっとみんな疲れているのだろう
『ヤバイヨ重巡夏姫クン!アイツラマジヤベーヨ!』
『ムサシトカマジヤベーヨ!』
まだ新人のナ級や手のデカいツ級達はヤベーヨヤベーヨと恐怖し、艦隊に不安の色が広がっていた…
『バカ言ッテジャナイヨ、ムサシトカ出テクルワケネーダロ?見間違エダヨ、見間違エ』
『デモ重巡棲姫クン!』
『重巡夏姫ナ!夏姫!………マ、モシ仮ニムサシトカ来テモ私ガパツイチデ沈メテヤンヨ、モゥ勘弁シテクダサァ〜イッテ言ワセテ詫ビ入レサセッカラ』
『ヒュー!サスガ重巡夏姫クン!』
『デカイノハ尻尾ト態度ダケジャネーゼーッ!』
小粋な深海ジョークに和む深海連合艦隊、後に、あの時あんなコト言うんじゃなかったと重巡夏姫は後悔する事になるのだが今はまだ、ステキなステビア海のバカンスを彼女は楽しんでいた…
◆◆◆
アツさと寒さが同居するクール&ホットな執務室を出て、明石のアホンダラの店に煙草とコーヒーを買いに行っていると、改白露型の緑頭が毛のない猫を抱えて歩いていた
「よぉ、チビスケェ…」
「…チビスケゆーな、山風」
「ナニやってんだ?散歩なら熱中症に気をつけて水分をこまめに摂れよ、これはマズいなと思う前に木陰や冷房の効いた室内などで十分な休憩をとるのだよ」
「…知ってるし、テイトクは何してるの?」
「明石の店に行くのだよ」
「…私も、猫の餌、買いに行くところ…」
「猫の餌か…」
たかが猫ぐらい、残飯でも食わせとけばいいと思うのだが…まぁ、世の飼い猫は飼い主より良いモン食ってるなんてハナシはザラにある、それに、たしかこの毛のないキモい猫はなかなかお高価なお値段のするお上品なお猫様だ、きっとペティグリーチ●ムでも食うのだろう
どうせ目的地は一緒なので俺は山風と共に明石の店へと向かう事にした
「…ねぇ、テイトク」
「なんだ?」
「…私の予定、まだない」
「なんだ?出たいのか?出たいなら出してやるぞ、最終海域の栄えある連合艦隊旗艦で」
「…そこまでしなくていいっ!」
「冗談だ、小粋なテイトクジョーク」
まぁ、チビスケどころか次の出撃シフトも決めてないしな………小粋なテイトクジョークでドッカンドッカン笑わせ円滑なコミュニケーションをとりつつ、俺たちは明石の店へとやって来た
「いらっしゃいませぇ〜、あ、提督と山風ちゃん」
明石はニコニコと愛想良く笑いながら生命保険に入りませんかー?と本日のオススメを勧めてきたので、とりあえず腹パンしてやると愛想の仮面が外れてウボォ!と言いながら腹を抱えてうずくまった
「煙草とコーヒー、あとアイスくれや、2つ」
「うぇ……ぅぅ、お腹痛いよぉ〜お腹痛いよぉ」
「いいから早くしろ、モタモタすんな淫乱ピンクが」
「誰が淫乱ピンクですか、え〜…煙草と缶コーヒーと、アイスが2つ?」
「あ、悪い、やっぱ3つな」
「食べ過ぎですよ、お腹壊しますよ!お腹、後でトイレでゲリゲリう●ち止まらないよぉぉぉと言っちゃいますよ」
「やかましい、誰が3つも食うかボケ、チ●ポついてんのか?」
明石のアホはついてませんよ!と言いつつ、煙草と缶コーヒーとアイスを袋に入れ、俺はお釣りはいらないと言って、代金と丁度の額を渡してやった
「ほれ、チビスケェ…」
「…チビスケゆーな、山風………くれるの?コレ」
「暑い時はやはりアイスに限るのだよ」
まぁ、たかがガリガリくんぐらい奢ったところで提督の財布は大して痛まない
「よかったねぇ山風ちゃん!このオッサン、人間のプリミティブな部分を集めた最低最悪のクソ提督だけどたまぁ〜に優し………アダァ!!痛い痛い痛い痛い!お腹!お腹の肉つまむのヤメてッ!!お腹に毒蛇の牙ヤメてェェェェェェ!!」
「え?なんだって?」
明石の腹の肉を引き千切る勢いで引っ張り、ついでに逆の手で顔面を掴んでカウンター台に叩きつけた
「ハー…ハー……痛いじゃないですか」
「お前以外とタフだよな」
「ところで提督、あと1つはもしかして私の為に買ってくれたんですか?優っさしぃ〜!」
「んなワケあるかカスが、アイスケースにでも入ってろ」
「ヒドォ!?」
次回は②
さらばヴェアー!重巡夏姫、ステビア海に死す!