【登場人物】
提督(155)
自称漫画にうるさい大人、野球部でもないのにバッセンで子供に偉そうに指導してるお父さん的なウザさ
秋雲(6)
謎の自信に溢れるアツかりし一般漫画家(自称)
提督とは変なところでウマが合うらしく、わりと仲良し
キタローくんの右目から羨望と嫉妬と殺意の目で見られているが本人は知らない
風雲(2)
秋雲組のなんでも出来る生命線、秋雲のアツい絵柄に惚れ込んでいるが、自分の絵で描くとB′sL●G掲載待った無しな絵になる、ある意味の天才
秋雲組ッッッ!!
それは、少年達の心をワクワクさせ、たまに股間をカチンコチンを忘れないサービス精神溢れるアツかりし漫画家(自称)秋雲先生をサポートするプロフェッショナルアシスタント集団、略してプロアシ集団である!
「…どうすか?」
キンキンに冷房を利かせた夏の執務室、俺は秋雲の持って来た原稿を読みながら冷たい麦茶を飲んでいた…
今回の秋雲の作品は家庭環境に問題がある主人公がバイクで走行中、突如として中世ヨーロッパに似た世界に召喚され、ハゲの王様からロボットっぽいもの渡されて敵マシンみたいなのと戦い、なんやかんやあって王様を裏切り、ファンキーな髪の人の仲間になり、数多の戦いを経てついに聖戦士として覚醒していく…
「若者受けを狙い、最近流行りの路線にしてみたっす!異世界なんとか!」
「ふ〜ん」
なんかコレすげー見たコトある気がするんだが、っーか相変わらず画力だけは無駄に高いなコイツ、まぁ主要キャラの顔は全部濃いが
「とりあえずコレはダメだな」
「なんでっすか!?めちゃ面白い会心の一作っすよ!」
「バカヤロウ!偉い人から怒られてぇーのかオマエは」
ーーー
結局、秋雲は会心の一作“聖戦士グモバイン”を諦め、仕方ないのでまた、一から新たなる話を考える事にしたらしく、俺と秋雲はホットな議論をクールダウンする為、マミーヤに行ってアイスでも食いながら続きを話す事にした…
「今日のオススメはフローズンサマーフロート-修羅-です」
「ナニが修羅だ、羅刹もあるってのか?あ?」
「羅刹は販売終了しましたー」
あるのかよ……カウンターに立つムチっむちボインの男を誘うドエロいボディに定評がある給糧艦間宮は執拗に本日のオススメを勧めてきたが、俺と秋雲は普通にカキ氷を注文し、間宮は露骨に舌打ちしてクズがと吐き捨て、ご注文の商品をカウンターに置いた
「なんなんだあのヤローは、エロい身体してるからチョーシに乗りやがって」
「まぁまぁ、アレっすよ!きっとツンデレってヤツですよ!ツンデレ!」
「マジか!?」
「そーっすよ!実はあのそっけない態度は照れ隠しでホントはメチャメチャにして欲しいんすよ!見てくださいあのドエロい水着を!!もう完全に誘ってるっすよ!」
「ハッハッハ、そうかそうかぁ〜」
「ヒャヒャヒャ、そうっすよぉ〜」
そうか、どうやら間宮は俺を誘っていたらしいが、俺はそれに気づかずにマシーンとして扱っていたのか…よっしゃ!後で調理場であのドエロい尻をブチ●してやる!
俺と秋雲はゲラゲラ笑いながら適当な席に座ろうとすると、そこには既に先客が座っていた…
「おや?風雲じゃないすか?アンタさんもゴキゲンなおやつタイムっすか?」
「ん?あぁ…秋雲、と…テイトク、こんにちは」
秋雲と同じく、無駄に長い髪を頭の後ろで縛るなんたらテールの夕雲型姉妹の三女、風雲
一見すると真面目そうに見えるが、夕雲や巻雲と同じく秋雲組の一員らしい
「ちょっと冷たいモンでも食べながら絵の練習でもしようかなって…」
「さすが風雲っすね、その向上心やよし!熱意やよし!」
俺たちは特に断られなかったので風雲と同じ席に座り、とりあえず冷たいカキ氷を口にかきこみ、キンキンに冷えてやがる…っ!と言いながら頭を抱えた
「ところで風雲、そっちのヤツはなんすか?」
「え?あ、こっちは個人的に描いた漫画って言うか…まだ練習中って言うか」
秋雲は風雲がテーブルに放置していたクリアファイルを手に取って中に入っていた原稿をマジマジと見つめ、フッと笑った
「テイトクテイトク、テイトクも見てやってくださいよぉ〜、この風雲の泥臭い漫画を〜」
「ちょ!ちょ待ってよ!恥ずかしい!」
「ナニ言ってんすか風雲!漫画なんて見せて見られてナンボっすよ!ってか、テイトクには私の漫画見て貰ってるんすから、別に風雲の絵を見るの初めてじゃないんすよ?」
「や、それはほら、秋雲の漫画であって私のじゃないし…それとこれとは別って言うか…」
「ナニ言ってんすか!ほらテイトク、見てやってくださいよぉ〜」
秋雲はグイグイと俺に原稿用紙を押し付けてくるので、とりあえず俺は原稿を受け取ってパラパラとその内容をナナメ読みしてみた
「…」
「どーすか?」
「恥ずかしいなぁ、私のはほら、秋雲みたいに躍動感がないし」
………あれ?コレ、普通に面白いんですけど?多少ホモ臭さは拭いきれないが、以前見たキタローくんの漫画にも劣らぬ面白さ!これは天賦の才能を感じずにはいられない…ッ!
「風雲のは線が細いんすよ、線が!もっとこう…ドッゴーラ!みたいな感じの力強い線をっすね…」
「う〜ん、それがなかなか難しいのよね」
…もしかして、風雲は秋雲組を抜けて1人でデビューした方がいいのではないだろうか?まぁ、そうなると秋雲組には役立たずしか残らないが…
「私ももっと練習して秋雲みたいに力強い絵を描けないと!」
「その意気やよし!熱意やよし!」
なんでオマエは上から目線なんだよ!バカか!?なんでオマエはこの才能に気付いてねーんだよ!この風雲、完全にオマエの上位互換を行く高性能だよ!?
「…うん、まぁアレだ、普通に良いんじゃないかね?うん」
「そうですか?」
「またまたぁ〜!テイトクは審査甘めなんすから!もっとバシっと言ってやっていいんすよ!バチコンと!」
「ナニがバチコンだ、秋雲、口を開けろ」
「口っすか?………ウボォ!?」
俺は自分のカキ氷を秋雲の口にブチ込み、いいか?全て飲み込むんだ残すなよ?と言い、飲み込むのを確認してから再度口を開けさせて緑色の舌を引っ張った
「あだだだだ!いひゃい!いひゃいッス!って!!ナニするんすか!」
「美味かったか?」
「美味かったっす」
…この後、俺たちは秋雲、風雲と共に秋雲組の新作についてアツい義論をディスカッションし、今の少年誌に必要な物はやはりチャカとポン刀で鍛えた本物の男気溢れる笑いあり!涙あり!恋!喧嘩!友情!を兼ね備えたバイブル的な漫画だろうとの結論に達した
そして、アツいディスカッションを終え、マミーヤを出る際、調理場で尻を振っていた間宮に“よっ!いいケツしてるね!おじさんムラムラしちゃうよ”と気さくに声をかけたら、一言、恐ろしく冷たい声で“…訴えますよ”と言われ………ちょっと興奮した
次回
その怪物は古き時代を生き続け、今新たな鎧を身にまとい、次なる歴史を紡ごうとしている
かつて深海に死をもたらせた力をこの時代にも解き放とうとしている、長良型四番艦改二、それがその怪物の名前であった…