生き埋めにされたいんしゅか!
【登場人物】
占守
占守型海防艦の1番
ボールを持ったらパスしないタイプ
国後
占守型海防艦の2番
ボールを持ったらクレバーに徹しようとして失敗するタイプ
択捉
択捉型海防艦の1番
声を掛けるだけで事案になるタイプ
ロシアから来た革命同志ガングートとのアツかりしファイナル革命を制した俺は次なる天才達を呼ぶ前に窓を開けて深い溜め息を吐いていた
「五月雨、お茶」
「あったか~いですか?つめた~いですか?ぬる~いですか?」
「…アツいヤツな」
なんだよ、ぬる~いって選択肢は誰が選ぶんだそれ?多摩ニャーか?多摩ニャーが選ぶのか?
五月雨は俺の要求通りにアツいお茶を湯呑みに淹れ、机に置いた…
「…はぁ、あと3人も居るのか?」
「はい、あと3人です」
正直、今までの3人の時点でもう俺は心身共にうんざりなんだが…っーか神威クンに蹴られた右足超痛いし、コレ絶対折れてるよ、だって痛いもん
「はぁ…まぁ、うんざりするコトはとっとと済ますか、次だ、次」
「あ、次は3人まとめてでお願いします」
「ハァ!?聞いてねーんですけど!?提督聞いてないよ?」
ナニしれっと言ってんだこの青髪ロングは…
「残りの3人は同じ海防艦ですし、いっそまとめた方が効率が良いと思いまして」
「海防艦…?なんだそりゃ?聞いたコトねぇ艦種だな………敵か?」
「敵じゃないです、海防艦は………まぁ、平たく言えば小型艦ですかね?」
「ふ~ん」
ナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?まぁいい、とりあえずさっさと済ませてしまうか
「よくわからんがわかった、よし、呼べ」
「はい、では海防艦の方どうぞ~…」
五月雨の呼び声の後、執務室の重厚かつ堅牢な無駄に重い扉を開き、残っていた3人の可能性を秘めたメイト達が入室してきた
「では1人づつお名前を…」
「サミーダレくん」
「五月雨です、なんですか?」
「いや……いい」
なんだろうな?ウチは軍であって私学のエレメンタリー・スクールでは無いのだが…
「占守型海防艦の占守っす!」
「占守型海防艦の2番艦、国後よ」
「択捉型海防艦1番艦、択捉です」
「あぁ、うん、ヨロシク、帰っていいよ」
俺は書類に目を通して期待以上のダメっぽい基本性能を確認すると、それ以上話す事もないので右手のジェスチャーで去れと手をプラプラした
「ヒドいっすよ!まだ何も話してないっすよ!もっとこう…ほら!楽しくお喋りとかしたいっすよ!たとえばほら…好きな子の名前言いっこしたり!」
「やかましい、え…キミはシ…シ、シュミセンくんだったか?」
「占守っす!シムシュ、っす!」
「はいはいシムシューくんね、シムシューくん、ホイップたっぷりの美味しそうな名前じゃないの、うん」
「シューじゃないっす、シュっす!ほら、クナも文句言うっすよ!」
クナと呼ばれたシムシューくんとよく似た服を着たもう1人、あぁ、これはアレか、妹さんとかなんとかアレなヤツか
「や、別にこっちも話すコトあんまないし…」
「そうだぞ、え~…クマムシくんだったか?」
「国後よッ!!」
「そうっすよ!クナはクナっすよ!間違えるとかよくねーっすよ」
テンション高いなコイツ、まぁ、たしかに間違えるのは良くないか
「…ちょっと待って姉さん」
「なんすか?」
「私の名前、言って」
「クナ」
「略称じゃないで、私の名前」
妹からのまさか知らないワケないでしょプレッシャーを前に、シムシューくんは勇気を出して妹の真の名を口にした
「クナ……クナシュー?」
ビタンッ!(ビンタ)
「シムッシュッ!!」
「妹の名前間違えんなァァァ!!」
妹からのアツいビンタを受け、シムシューくんは床に転がった
「…痛いっしゅ」
「痛いっしゅじゃないわよ、バーカ」
「まぁまぁ、キョーダイは仲良くしたまえよ、ほら、チョコレートでもあげよう」
俺はポケットから溶けにくいチョコレートを取り出し、2人の海防艦娘に渡してやった
「……」
「そういやもう1人いたな、え~…択捉くんだったか?君にもあげよう」
同じ海防艦でもあんま似てないし、たぶんコイツらのご兄弟の方ではないのだろうか?
「…ありがとうございます」
「なんで択捉は間違えねーんすか!?納得行かねーっすよ!洗面器に顔突っ込んでやるっすよ!」
「占守うるさい!口にガムテープ貼るわよ!」
とりあえずこの3人の海防艦、基本性能は雑魚っぽいが対潜能力に優れているらしく、本来なら3ケタ必要な対潜値を60で先制対潜できる可能性を秘めているそうだ…
「とりあえず面接は終わりな、終わり、今日はもう帰れ」
「マジっすか!提督!占守ファミレスとか行きたいんすけど!ファミレス行って軽食とドリンクバー頼んで成績とか部活とかどうでもいいコイバナとかしたいっす!」
「あー…わかったわかった、今度連れてってやるから帰れ」
「約束っすよ!クナと択捉もっすよ!ハンバーグとか頼むっすからね!」
「わかったわかった、はい、さよーなら」
なかなか元気良く騒いでいった新手のワンパク艦、海防艦の3人はそれぞれ頭を下げて退室して行った
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「はぁ~…これで終わりか?」
「はい、お疲れ様でした」
今回もなんか使えるような使えないような、ロクな奴らじゃなかった気がするな……まぁ、よく考えたら、上はウチには些かアレな人材しか回さないのは今に始まった事じゃない
ゴン!ゴン!
「ん?」
執務室の重厚な扉を力強く叩く音がする、まさかまだ誰かいるのか?一抹のイヤな予感を感じているとデカい何者かが入ってきた
「フッ…水臭いぞ、同志提督」
「オマエは……?」
…誰だコイツ?
「あ、そう言えば長門さん改二になったんですよ」
なんだ長門か、言われてみると長門だな、あぁ、たしかに長門だ
「フッ…同志提督、このビッグセブン、噂の新たなるエンジェルス、海防艦に挨拶したくてな…で?その海防艦はどこだ?」
「同志じゃねぇよ、っーかアイツらなら帰ったぞ」
「なんと!?」
「海防艦の子なら提督からチョコレート貰ってハシャいでましたよ」
五月雨ェ、話の前後をキチンと説明せずに余計な事をッ!!
長門は俺の胸ぐらを掴みあげ、その超絶パワーで俺の身体をガクガクと揺らす!
「貴様ァ!抜け駆けか!甘いお菓子でエンジェルス達のハートをキャッチして1人好感度アップ大作戦か!ズルいぞ!何故このビッグセブンも誘わないんだ!同志提督ーッ!」
「成り行きだ、成り行き!っーか同志じゃねぇよ!放せッ!放せコラァ!」
次回から通常営業
ヒロインが颯爽登場