【登場人物】
大和さん(4)
久々に出撃した最大火力の切り札、グルメ
矢矧ちゃん(3)
大和さんの一の舎弟、見た目から真似する残念なタイプ
鈴谷(43)
今のところ出番の無い攻撃型軽空母、こんなこともあろうかと新しい鈴谷改二を用意してたが間に合ってない
「なんかキモい鳥みたいなのが飛んできた!」
「チクショウ!なんてキモさだ!」
泊地攻撃部隊旗艦からの航空攻撃、なにやら見た事のないキモい生物が飛んで来た
「あったよ!照月と10cm高角砲+高射装置が!」
「でかした!」
「僕に航空攻撃をするつもりかい?………頭が高いよ」
キーキー言いながら撃ち落とされる新種の魔界生物を見ながら、今海域へ意気揚々と出撃した連合艦隊旗艦、大和は魔界生物の返り血が服に付かないように傘の位置をズラし、ため息をついた
「まるでトンボとりをしているようですね」
「そーっすね、あ、大和サン、喉渇いてないすか?ジュースありますよ」
大和さんの一の舎弟、矢矧ちゃんはクーラーボックスからあまり自販機で見る事のなさげな缶ジュースを取り出し、大和へと手渡し、大和は礼を言ってそれに口をつけた
「ありがとう………って!!アマッ!!甘ぁぁぁぁぁいッ!!」
「大和サンッ!?ダイジョーブっすか!」
「な…なんですかコレ、甘い……しかも、なんか薬品みたいな味がするし、これは飲んで大丈夫なものなのですか?」
「ダイジョーブっすよ!なんたって名前がドクター……ドクターKとかそんな感じだったし、名前にドクターとかついてんなら身体に悪いワケないっすよ!」
「そ…そうですか」
矢矧ちゃん曰く、なんかだいたい提督と一緒にいる髪の長い人から、つい買ってしまったけど誰も飲まないし、処分に困ってるからと頂いたそうだ
「ふむ……とても飲めたモノではありませんね」グビッ
「あ、いらないんなら後は自分が…」
「ふむ……だいたいコレ、本当に清涼飲料水なんですか?」グビグビ
「たぶん!」
「ふむ…」グビグビ
「飲んでるじゃねーっすか!」
戦艦大和は破格の戦闘力と優美さだけではなく、艦内での食事面もとても優遇されていたそうだよ、特に、司令官や艦長クラスの調理場では有名な一流ホテルや豪華客船で腕を振るっていたような一流のコックが働いていたらしいんだ、軍艦とは思えないほどのグルメを楽しむ事ができたらしいよ
「………ふぅ」
「どうぞ、空き缶はこちらへ」
「ありがとう」
大和は空き缶を矢矧に手渡し、ひとここちつき、チーム全員へ攻撃の指示を伝える
「薙払え!」
◆◆◆
便りがないのは良い便り、特にやる事のない執務室…
「しかし…今回はえらく早々と切り札投入しましたね」
五月雨は冷蔵庫からペットボトルのオレンジジュースを取り出してグラスに注ぎ、俺の机に置いた
「まぁ、後半戦に超火力が必要になったとしても、まだ武蔵がいるしな」
まだ先はありそうだし、別に金剛姉妹の誰かでも良かったのだが、アイツらこんなシャバい海域に出たくないデースとか言ってまさかの出撃拒否しやがったからな、まぁ、お望み通り奴らにはもっとワクワクする敵を相手にして貰うとしよう
「そうですか」
ゴン!ゴン!
執務室のもしもの事態を考えて、無駄にブ厚く重厚な扉を叩き、誰かが執務室へやって来た
「ティーッス、鈴谷が遊びにきましたよー」
「帰れ」
「厳しいッ!遊びに来ただけでこの対応ッ!」
ハジケるビッチ臭をプンプン撒き散らし、ビッチのような足取りでズカズカと執務室へ入ってきた鈴谷はビッチのように自然に俺の机に腰掛けた
「机に座るな、ビッチが」
「別にいいじゃん、ってか、ビッチじゃねーし」
「オマエの座った場所がなんか水気を帯びて湿るだろーが、早くどけよ」
「湿らねーし!っーか水気を帯びてねーし!」
まったく、ナニ言ってるのかねこの上級サキュバスが
「あ、オレンジジュースもーらい」
しかも人のグラスに躊躇なく口をつけるとか、ビッチじゃなければなかなか出来るコトじゃないよ
「バー●ャ2しよーぜ!バーチ●2!鈴谷マジバー●ャ2極めたし!」
「やかましい」
「鈴谷の鉄●靠で提督とかマジ瞬殺よ!瞬殺!」
「やかましい、バー●ャ2極めたとか言うなら望月さんに挑んでこんかい」
「もち…?」
バーチ●2における望月さんの強さはハンパじゃない、あの、ランキング1位の大淀すら対戦を避けると噂されている
「誰それ?」
「誰じゃない、望月さんだ、ほら…あのメガネの」
「メガネって言われても、っーかゲーセン出入りしてるヤツみんなメガネじゃん、見分けつかねーし」
「メガネに謝れ、メガネに」
「まぁいいや、対戦しよーぜ!対戦!鈴谷が勝ったら1万円!」
何故コイツはここまで自分に自信を持つ事ができるのだろうか?もしかしてアホなんだろうか?
「…別に構わんが、負けたらパンツ脱げよ」
「フッ…」
「フッ、じゃねーよ、ナニが可笑しい」
「そう言われると思って!今日は最初から穿いてないんですぅー!ハァーッハッハッハ!残念でしたぁー!パンツ脱げとか言われても無いものは脱げませーん!」
「コ…コイツ!」
あえて自分を追い込んで行くスタイルッ!………じゃないな、たぶんアホなんだろう
「どーよ?失うものは最初から無い!つまり鈴谷こそ最強!強靭にして無敵!」
「…つまりなんだ?オマエは今現在、ノーパンで基地内をうろつくマジモンの痴女と言うワケか?」
「は?痴女じゃねーし」
「あのレジェンド・オブ・痴女とディスられてる島風ですらパンツ穿いてるんだぞ」
「………ハッ!た、たしかに…冷静に考えると今の鈴谷は相当にヤバいヤツなのでは…?」
「冷静に考えなくても相当にヤバいヤツなのだよ、オイ五月雨、扇風機持って来い、扇風機、ローアングルから強風でスカート上げて写メ撮って鎮守府裏掲示板に画像アップしてお小遣いくれるパパを募集してやるのだよ」
「ちょ!待てよ!マジやめて!マジやめて!」
ヤる前から既に敗北しているとは、なんて大したヤツなんだ
◆◆◆
「ア゛ァァァァァ!!喰らいやがれー!」
『ゴデュファ!!』
矢矧の俺式46cm砲と言う名の鉄拳が護衛棲姫の見た目とは裏腹にタフな腹筋に突き刺さり、護衛棲姫は光る吐瀉物を吐いた
『ウゲェェェ…イ、イタイカラヤメテ…イタイカラヤメテ』
チームは既に全滅した、しかし、護衛棲姫はそのタフなボディでなんとか耐え切っていた、あと1回…あと1回の攻撃に耐えきれば逃げ切れる!そのタフなスピリットだけが護衛棲姫の身体を動かしていた、しかし…
「改めて敬意を表する、護衛棲姫、そして北方展開群旗艦部隊、最後まで誰一人闘志を失わなかった………だが、届かない」
夜戦最後に立ちふさがる五連装酸素魚雷のカットイン
「絶対は僕だ、僕に逆らう者は提督でも許さない」
『ア゛ァァァァァァ!!!』
深海期待のスーパールーキー、護衛棲姫はブクブクと気泡を残して沈んでいった
次回は、迎撃!士魂の護り
…守護らねばならない