不健全鎮守府   作:犬魚

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イベント海域その③
戦慄!護衛棲姫!

【登場人物】

護衛棲姫
ビッグな夢を夢見て都会に出てきたつもりが色々あって、現在
キッショい新型艦載機を飼っている


艦隊抜錨!北方防備を強化せよ!①

春の作戦海域、前半戦も大詰めを迎えた春の執務室、とりあえず、信じて送り出したフル装備艦娘達が敵旗艦をボコボコにしてアヘ顔ピースを撮ってくる事を期待しつつ、俺は自分の机で基地スポを読んでいた…

 

「そういや、ここの敵はどんなヤツだ?」

 

「さぁ?たしか姫級の軽空母とか聞いてますけど」

 

「軽空母か…」

 

ヌ級とかの親戚ってワケか、そういや今まで空母おばさんとかなんとか何度か出没してたが、軽空母の姫級って初めて聞くな、おそらく、今までのパターンから察するに、ただの痴女ではないのだろう…

 

「一応、手元の資料だとなんか見たことない新型っぽいキッショい艦載機を飼ってるらしいですよ」

 

「艦載機なんかだいたいキッショいだろ?ナニ言ってんだオマエ、イカレてるのか?」

 

「イカレてません、絵で描くと~……だいたいこんな感じですかね」

 

五月雨はメモ用紙になんか一つ目のキモい魔界生物みたいな鳥っぽいのを描いてみせた、たしかにコレはキモいな

 

「これはキモいな」

 

「えぇ、キモいかと…」

 

◆◆◆

 

深海北方集団、機動部隊旗艦艦隊…

 

『ネムッテ…イタノニ……ブスイナ…モノ…タチ……』

 

深海初の軽空母系姫級、護衛棲姫ッ!なんかキッショい艦載機を飼い慣らし、颯爽と現れた彼女には謎が多い…

 

深海棲艦の間でも謎に包まれた彼女……噂では、テレビも無く、ラジオも無く、クルマもそれほど走ってなく、ピアノもバーもなく、毎日お巡りさんがぐーるぐるしている村からやって来たらしいが、その真相は誰も知らない…

 

『護衛棲姫クン!ヤツラガ来ヤガッタゼ!』

 

『ヤツラニ俺達ノ、イヤ!俺達深海ノ力ヲ見セツケテヤローゼ!』

 

『敵ノ数ハ…?』

 

『…連合艦隊!連合艦隊ダァ!ヤツラ!無傷デココマデ突破シテキヤガッタゼェ!』

 

迫り来る敵の姿を視認し、護衛棲姫は目を閉じてかつての自分を思い出す、そう、あれはまだ自分がまだヤンチャなだけの子供だった日の事だ…

 

‐‐‐

 

「オラもうこんな田舎イヤズラ!オラ東京さイグズラ!」

 

「ナニ言ってるズラこの子は!」

 

「オラ東京行ってビッグになるズラよ!ここにはもう帰らねーズラ!」

 

「ナニ言ってるズラ!アンタには才能があるズラ!アンタも頑張ってアカギやカガみたいに…」

 

「イヤズラ!オラもっと都会的で洗練されたスタイリッシュな空母になりてぇーズラ!」

 

コ●シ艦とかくー●くろ艦みてーな空母になりたいズラ!そう言って私は村を飛び出し東京を目指した…

東京にさえ行きさえすれば私もスタイリッシュになれる、モガミセンパイやくまりんこセンパイと違って都会的で見た目ビッチなJKにだってなれる!そう信じていた…

 

しかし…ッ!!現実はそう甘くなかった!!

 

どう頑張っても私は都会的に洗練される事はなかった、都会的になってやろうと思い、まずは髪を金髪にしようと考えて薬剤かけたら薬剤が強過ぎて髪は真っ白になった、都会的ファッションになろうと思い色々試していたら、布面積がパない事になった…

 

……そんなある日、田舎から手紙が届いた、近所の吹雪姉妹んとこに突然変異みたいなのが産まれたとか今年は芋の収穫量が少なくて大変だと長々と近況が書かれていたが、最後に、いつでも村に帰って来いと………泣いた、ボロいアパートだったので隣の人が壁ドンしてきたが、私は声をあげて泣いた

 

そして、私は今更そんなカッコ悪いコトできないと考え、毎日浜辺で海を眺めていると、なんか素潜りしたい気分になったので私はつい素潜りしてしまい、海の中になにやら建物があったので興味を惹かれて入ってしまった

 

「こ……ここは」

 

『ナニ者カーッ!』

 

後から気付いたのだが、そこは深海棲艦の秘密基地だったらしく、いきなりでビビってしまった私はつい土下座してしまった

 

『ナニ者ダ?』

 

「え…え~っと、ご……護衛棲姫でございます!」

 

『護衛棲姫…?ソンナ奴居タッケカ?』

 

『エ?オマエ採用シタンジャナイノ?私担当ジャネーシ』

 

『ハァ?担当テメーダローガ!オイコラ空母ババア!』

 

『誰ガババアダコラァ!タイマンダヨ、オモテ出ロネグリジェババア!』

 

『誰ガネグリジェババアダ!オモテ出ロォ!』

 

ほぼ全裸の空母っぽい棲姫とネグリジェっぽい棲姫が熾烈なメンチビームを切り合っていると、後ろから顔が超怖くてオーラがパない人がやって来た

 

『ヤメネェカ!!鬱陶シイ…』

 

『チュ…中枢クン!』

 

『へ……ヘヘ、ジョ、冗談ダヨ中枢クン、チョットジャレ合ッテタダケダヨ』

 

中枢棲姫、見た目もオーラもパない深海棲艦の大物でラスボスの風格すら漂っている

 

『オマエ、護衛棲姫ッテ言ッタカ?』

 

「あ……え?あ、ハイ」

 

『私ト一緒ニ来ナ、コノ世デ二番目ニ強ェ空母ニシテヤルゼ…』

 

そう言って中枢棲姫クンは私を受け入れてくれた、私はその時固く誓ったのだ、この人に付いて行こう!この人と一緒にデカい“夢”を見ようと!

 

‐‐‐

 

『護衛棲姫クン!』

 

『護衛棲姫クン!』

 

『………総員、戦闘準備ダ』

 

護衛棲姫は目を開き、再びヤツらの姿を確認し、自分が育て上げた自慢の新型艦載機を空に解き放った

 

『ズタズタニシテクレルワ!』




次回は②

村の掟を破った者には容赦しない

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