【登場人物】
鈴谷(42)
ボウガンの使い方がイマイチよくわかってない難しい年頃
飛鷹(2)
通称、ケツデカセンパイ
美尻
隼鷹(2)
通称、ヒャッハーセンパイ
髪がトゲトゲしい
瑞鳳(2)
通称、卵焼きセンパイ
朝はいつも下痢気味
祥鳳(2)
通称、半裸センパイ
妹と似てない複雑な家庭事情がある
千歳
通称、お姉ェ
ガラが悪い
千代田
通称、千代田
ガラが悪い
龍驤(2)
通称、RJセンパイ
些かヤンチャでオイタばっかしてる
押忍、鈴谷です
今日は航巡辞めて軽空母になったんで軽空母のパイセンに艦載機の飛ばし方的なものを教えて貰う為に軽空母さんの住んでる寮に来てます
「え~っと、スズヤくんだっけ?まぁ座って、水でも飲んで」
「はぁ、あざっす………う゛っ!」
トゲトゲしい髪型の元客船、ヒャッハーセンパイが並々と注いだカップから漂う強烈な芋臭さッ!
「あざっすと言ったからには飲んで貰おーじゃねーか、それともヌルいから飲むのはイヤかい?」
「クッ!」
これが新人いびり!給湯室で絞った雑巾でお茶を淹れるかの如き陰湿な女社会ッ!そんな卑劣な洗礼に苦い顔をしていると、もう1人のセンパイがやって来た
「あら?隼鷹がお茶淹れるとか珍し………って、アンタ、これ芋焼酎じゃない」
「芋焼酎ですけど?」
「芋焼酎ですけど?じゃないわよ、昼間からなんてモン出してるのよ」
ヒャッハーセンパイの頬をスナップの効いた健康的なビンタでハタくもう1人の元客船、ケツデカセンパイ
「ごめんなさいね、サイダーしかないけどいい?」
「あざっす」
ケツデカセンパイはあまり冷えてないサイダーの瓶を置いた
「で?艦載機の飛ばし方とかそんな感じの話だっけ?」
「はぁ、正直こないだまで瑞雲と晴嵐しか使ったコトなかったんでよくわかんねーモンで」
「なるほどね」
ケツデカセンパイはケツがデカいだけあって話がわかりそうだ
「ヒャッハーセンパイに聞いても、こう…がーっとなって!ヒュュュン!ドドドドド!バルンバルン!とか言われてよくわかんねーんすよ」
「アンタそんな説明したの?」
「だってそんな感じじゃん?ほら、アタシ天才だから人に教えるとか向いてねーのよ」
「そんなワケで、ケツデカセンパイ教えてください」
「誰がケツデカセンパイよ」
ケツデカはややイラッとした顔をしたが、とりあえず艦載機を飛ばす理論、飛鷹艦載機理論について教えてくれる事になった
「………えー、一様流に対して垂直方向の力、揚力が働く現象ことなワケ?例えば球体が回転しながら粘性を有する流体中を一定速度で移動、または一様流に置かれた場合に、球体表面に接する流体が粘性で回転運動に引きずられて回転速度及び粘性に相応する循環Γが周囲に発生し……」
「はい!ケツデカセンパイ!」
「誰がケツデカセンパイよ、まだ説明の途中だけど?」
「まったくわかりません!」
「ハァ?」
いやマジ、ナニ言ってるかサッパリわかんねぇ、ヒャッハーセンパイの言ってる事も意味わかんなかったけど、ケツデカセンパイの言ってる意味もまったくわかんねー
「ほらみろ飛鷹ォ、やっぱオマエの説明じゃわかんねーだろ?」
「ハァ?アンタのズバババーン!ドルンドルンの方がわかんないわよ」
「や、どっちもわかんねーです」
◆◆◆
ヒャッハーセンパイとケツデカセンパイは天才過ぎて鈴谷にはよくわからなかったので、次は半裸センパイと卵焼きセンパイ姉妹の部屋へとやって来た
「まぁ座って、卵焼きでも食べて」
「あざっす……う゛っ!」
この強烈な卵の匂いは…ッ!!
「あざっすと言ったからには食べて貰おうじゃない、それともアツアツだから食べるのはイヤ?」
この卵焼きッ…なんか物凄く甘ったるい匂いがする、一体何キロの砂糖を使えばこれほどのスウィーツ臭が…ッ!
「瑞鳳、こないだ買ったグラニュー糖が全部ないんだけど?」
「全部使ったー」
半裸センパイは持っていた高脂肪牛乳のパックを開け、卵焼きセンパイの口に突っ込んだ
「がぶぉ!!ガフ!ガフッ!ちょ…やめ!やめて!!」
「ダメです、全部飲みなさい、全部です、ほら!全部!全部ゴックンしなさい!吐いたらダメよ、ほら!飲んだ?飲んだ?舌見せて」
背を伸ばす為、1日1パックのノルマらしい、そうか…なんかいつも朝下痢気味なのはコレのせいだったんだ、半裸センパイは空になった容器をゴミ箱にバックハンドシュートでINし、爽やかな笑みを浮かべた
「で?艦載機の飛ばし方を聞きたいと?」
「はぁ、まぁそんな感じじゃん?」
「そうですね……なんと言いますか、艦載機は己の一部、肉体の延長上と意識する感じですね」
「はぁ?」
「わかりやすく言えば感応波を機械語に翻訳し、ミノ●スキー通信を利用して思い通りに操るみたいな…」
「え?ミノ●スキー粒子って実在すんの!?」
「え?普通にその辺にありますけど?」
…え?それただのサイ●ミュじゃね?え?ナニ、この半裸、実はニュータイプ的なナニかなの?ってか、艦載機ってビ●トとかファ●ネル的なナニかなの?
「ほら、そこにも」
「や、そんなフォースはそこらへんにあるみたいに言われても…」
◆◆◆
半裸センパイと卵焼きセンパイが役に立たないと判断した鈴谷はテキトーにお腹痛いんでと言って退室し、次なる軽空母、最強軽空母と噂されているちとちよセンパイの部屋へと来ていた…
「要はよォ~…“必ず殺してやる!”っー気概だなァ」
「まぁ“ブッ殺す”って気持ちがありゃ、結果はついてくるっーか?」
…ダメだ、コイツらも高度過ぎて鈴谷的にはナニ言ってんのかまったくわかねぇ、っーかさっきから殺すしか言ってねぇよコイツら
「つまりだ、こう敵が飛んでくるだろ?」
「は…はぁ?」
「で、こうなって…はい!死んだーッ!」
「ギャハハハハハ!千歳お姉ェマジ意味わかんねぇ!」
「ハァ?今のでワカんだろ?千代田ァ…オマエ頭悪いんじゃねぇの?」
「…は?」ピキッ!
「あ゛?」パキッ!
「お姉ェさァ~…最近チョーシコイてね?っーかお姉ェマジウザいわ」
「はいキレたー…千歳マジキレたわー、妹の反抗期にマジプッツンしたわー」
しかも仲悪いし、なんなのこの姉妹…
◆◆◆
ちとちよセンパイが殴り合い始めたので巻き込まれない内にひっそりと部屋を出た鈴谷は寮内にある自販機へと来ていた…
「はぁ、どいつもこいつも使えねーし」
っーかよく考えたら今まで聞いたヤツら全員、巻物とか弓とか人形使いとか鈴谷の最新システムと違う別物じゃん、最初から聞くだけ無駄だったような気が…
自販機でオレンジジュースのボタンをポチってると、なんか背の低い人がやって来た
「おぅ、鈴……あ~、鈴屋やったか?」
「鈴谷だし」
やって来たのはRJセンパイ、たしかヒャッハーセンパイやケツデカセンパイと同じく巻物的もので艦載機を出したりなんたりするんだっけ…
「最近軽空になったらしいな、オマエ」
「なったんすよ、RJセンパイ、艦載機の飛ばし方レクチャーとか得意っすか?」
「どうやろなぁ…ウチも最近は艦載機とか触ってすらないしなぁ~」
RJセンパイはワリと昔からうちに居るらしく、ビッグママの次に古い古参らしい
「まぁ、RJセンパイは巻物空母だから参考にならないか…」
「そんなコトないで、ウチ最近は巻物とか使ってへんし」
「はぁ?」
「あんな虫干しせなあかんダサいもんいつまでも使ってられるかちゅーの、今のウチの相棒はコレや!」
そう言ってRJセンパイが取り出したのは十字架的な形をしたゴツいナニか
「人一人殺すには十分過ぎる最強の個人兵装や!」
「ナニそれ超カッコいい!!鈴谷もそれ欲しい!」
「あかんあかん、コレは子供の玩具やないで」
「いいなぁ、鈴谷のボウガンと交換してよ!」
「あかんて、っーかキミ、軽空やろ?」
「RJセンパイも軽空じゃん」
「ウチはえぇんよ」
RJセンパイ曰わく、コレは人外のイカレた改造手術と投薬、改造に継ぐ改造で反射神経、骨格強度、筋力、感覚器官を強化して初めて使える超兵器らしい、RJセンパイの闇は深い…
◆◆◆
重巡寮、さわやか寮…
「ただいま………って、熊野いねーし」
こんな夜中までどこほっつき歩いてんのかねあの不良は、とりあえず電話してみるか
『もしもし?熊野ですわ』
「ちょっと熊野、アンタ今どこ?鈴谷お腹空いたからメシでも…」
『食事なら今からですわ、あ…あぁ大した用件ではありませんわ、鈴谷ですわ、私こそスパイシーグリーンカレーを大盛りで』
「はぁ?ちょっと熊野、アンタ今どこ?誰といるの?」
『提督とお洒落でお高いカレー屋さんですわ』
「ファーック!!!」
通話終了ボタンを押し、携帯をベットに投げ捨て、その日はもう寝た