不健全鎮守府   作:犬魚

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子ども達の為の夢の国!明石ランド!

【登場人物】

提督(129)
キサマのせいでレアカードに傷がついたわ!と殴れる大人

山風(12)
お金を貯めてゲーム買いたい多感な年頃

明石(11)
アナタって本当、最低の屑ね!と言える誇り低き野望の工作艦


提督と山風と奇妙なダンボール・トライ

来週前半から春の作戦海域が始まるとの正式な報せが上から届き、今回はどんなつえーヤツらとヤれるのか、こんなにヤベーのにオラワクワクすっぞとキャッキャとハシャぐバカどもは今日もグラウンドで走り込みやキャッチボールのトレーニングを行っていた

 

「フーッ~…」

 

今回も資材、練度共に問題ない水準だし、チームのやる気も溢れている…

喫煙所でアツい青春の汗を流す駆逐艦どもを眺めていると、緑のトゲトゲしい頭が台車を押しながら廊下を歩いてきた

 

「よぉ、また使いっぱか?」

 

「…あ、提督」

 

改白露型の緑のトゲトゲ、山風は台車を押す手を止めて立ち止まった

 

「…1回500円」

 

「ご苦労なコトだ、ふむ…チョコレートをあげよう」

 

俺はポケットに入っていた溶けにくいチョコレートを渡してやった

 

「…ありがと」

 

「しかし今日はまた重そうな箱だな」

 

「…結構重い」

 

「中身はなんだ?」

 

「…知らない、明石さんが絶対に開けたらダメって言ってた」

 

そうか、絶対に開けたらダメか…

 

「よし、開けるか」

 

「え゛っ!?でも…絶対に開けたらダメだ…って」

 

「構わん、どうせいつものロクでもない商品だろ」

 

アイツには基本、前科しかないからな、どうせトカ●フとかR●Gとか何も知らない子供に運ばせる運び屋にでもしてる可能性すらある、俺は1番上のダンボールを開封し、内容物を改めてみた………が

 

「カードだな」

 

「…カードだね」

 

どう見てもこれはアレだな、遊●王カードってヤツだ、この箱全部そうだとしたら……ふむ、大した量だ、アイツ、カードショップでも始めるつもりなのか?

 

「お、封印されたアレじゃねーか、懐かしいなオイ」

 

「…なにそれ?」

 

「手とか足とか5枚似たようなの揃えたら勝ちってヤツだ」

 

「…ふ~ん」

 

「他にも色々あるな」

 

…と言うか、ありすぎるんじゃないのか?もしかしてこの箱全部レアカードなのか?あ、オシ●スの天空竜がある

 

「………ふむ」

 

「…どうしたの?」

 

「いや、なんかこのカード、妙な違和感がな…」

 

「…そうなの?」

 

いや、むしろこの箱に入ってるカード全てに何か妙な違和感があるんだが…そう、なんと言うか、魂が入ってないと言うか、真作ではなくむしろ贋作のような…

 

「まさか…」

 

これほど精巧な贋作を…?アイツならやりかねんな、いや、やる、アイツならやる

 

「ちょっと1枚借りるぞ」

 

「…あ」

 

◆◆◆

 

みんなの店、アカシメイト…

 

「ありがとーございましたー」

 

最近全体の売り上げが微妙だけどやっぱカードはよく売れる、たかが印刷した紙キレごときが売れる売れる、まさに現代の錬金術と言ってもいい…ゆくゆくはソシャゲにも手を伸ばし、100連ガチャと言う名の賢者の石で大儲けしたいものだ

そして、バカみたいに真面目に資材とか指輪とか売ってる余所の明石チェーンを超越し、全ての明石チェーンを従えたこの私こそが全明石界の頂点に立ち、軍と癒着しまくって海軍側と深海側にマラ●イとか売りまくるアカハイムエレクトロニクスを設立し、その地位を不動のものとする…

ククク……そして、儲けた金で私の長年の夢、夢の国アカシランドを作り、オープン前日には子ども達を無料で招待するのだ!

 

「わはははははー!!」

 

まったく!笑いが止まらんわい!

 

「…ただいま」

 

「あ、山風ちゃんおかえり~、重かったでしょ?ごめんね~、あ、チョコレート食べる?」

 

「…いらない、あと、お客さん」

 

「え?客?」

 

山風ちゃんの後ろから腕にシルバーとか巻いた男がヌルリと現れた

 

「俺だぜ」

 

「ゲェーッ!!お、お前はー!」

 

「明石!お前こそ決闘者の風上にもおけねークズ野郎だぜ!」

 

チッ、提督ッ!!コイツ、いつもいつも私の邪魔を…ッ!ってか私、決闘者じゃないし!

 

「な…なんのコトでしょう?」

 

「しらばっくれても無駄だぜ!このクズ野郎ーッ!テメーがグー●ズのレアハンターだってコトはお見通しだぜーッ!」

 

「はて?何の事でしょう?」

 

落ち着け、落ち着け私!そうだ、素数を数えるんだ、素数はいつだって私に勇気をくれる…っ!製法から印刷技術まで私が心血注いで作り上げた偽造カードがバレる筈が無いッ!炭素14でもバレない究極の贋作よ!

 

「このカードは偽造カードだな」

 

「チガイマス」

 

「今吐いたら腹パンで許してやるぞ」

 

「贋作ぅ?ハハハ、言いがかりはやめて下さいよぉ~、ウチは真作しか扱ってませんよぉ~、なんなら炭素測定でもしてみますかぁ?」

 

「よし、わかった、山風、アレを出せ」

 

「…これ?」

 

山風ちゃんは腕に装着出来そうなゴツい機械みたいものを取り出し、それを私の腕に取り付けた

 

「なんですか?コレ?」

 

「決闘盤だ」

 

「…ハァ?決闘盤?」

 

腕超重いんですけど、ナニコレ?筋トレ?

 

「ちょっとそれでこのカード召喚してみろ」

 

「はぁ?」

 

「いいからやれ」

 

「はいはい、って…私、ぶっちゃけルール知らないんですけど?コレ、すぐ出しちゃっていいんですか?」

 

「たしか生贄が必要だった気がするが……まぁいいや、俺も曖昧だしな、とりあえず出してみろ」

 

「へいへい………立ち上がれ僕の分身っ!」

 

ゴゴゴゴゴ!と、よくわからない轟音と、室内なのに何故か暗雲がどこからとなく私の上に現れ、決闘盤から立体映像が飛び出した!

 

『ギャアアアアアアアス!』

 

おぉ!!なんかトリ頭みたいなモンスターが出たっ!!すげーよソリッドビジョン!!今度ウチでも入荷しよ!

 

「すごいぞー!カッコいいぞー!」

 

よしよし、よくわかんないけど腕の決闘盤がちゃんと作動したし、コレで真作と証明され……

 

「…ん?ギャアアアアアアアアア!!!」

 

ゴロゴロ……バンッ!!!!

 

「…ヒッ!?」ビクッ!

 

「やはりコピーカード…神の怒りに触れたか」

 

「て、提督!カミナリ!カミナリが落ちた!」ビクビク

 

「ギャアアアアアアアアア!!死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬーッ!!カミナリイヤァァァァ!!なにコレ!?痛い!マジ痛い!ホント痛い!やめて!ホントやめてーッ!」

 

 

この後、明石の販売したシングルレアカードは全て回収され、代金もキチンと返金され明石の贋作工房は徹底的に破壊され、無事、グー●ズは壊滅させた


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