不健全鎮守府   作:犬魚

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手綱を握る姉が居ないと手がつけられないモンスター回

【登場人物】

Pola(7)
ウヘヘヘ、オトモダチになりましょうよぉ

伊14(3)
ゲヘヘヘ、オトモダチになろうぜぇ

Warspite(7)
高貴な御方
高貴故に、お友達募集中



提督と花見とAモンスター

煙草でも吸おうと喫煙所へ向かって歩いていると、前方からアルコールランプの匂いがプンプンする重巡と、エタノール臭い息をハァハァ吐く潜水艦が歩いて来た

 

「あー、テイトクだ」

 

「テイトクー!ウェーイ!ウェーイ!」

 

「ナニやっとるんだキサマらは」

 

人体を構成する水分がアルコールで出来ている生粋のアルコールモンスター、ポーラ

そして、ポーラほどではないが、既にアルコールがないと手がブルブル震える領域に足を踏み入れてる潜水空母、14

 

「今日はお花見ですからぁ~もうジャブジャブ飲んでいいって話を聞いたんで~」

 

「14達今からお花見場所に行くんですよォ~」

 

「何が邪武邪武だ、舐めてんのか?」

 

今日は当基地の福利厚生イベント、春の花見祭り2017‐飛翔‐が行われており、今年のテーマである飛翔と言う漢字は矢矧ちゃんが書いてくれたそうだ

 

「テイトクも行きましょーよ、テイトクも」

 

「そうだぜテイトク!14のおっぱい揉み放題だよ!揉み放題!」

 

「やかましい」

 

コイツらなんで飲む前からもうラリってんだ?酒以前にシャブでもヤってんのか?

 

「だいたいキサマら、保護者の方はどうした?保護者の方は」

 

「保護者ぁ?あぁ…ザラ姉様なら死にました、ポーラが殺しました」

 

「ハァ?」

 

「なぁーんて!嘘でーす!小粋なポーラジョークでーす!ギャハハハハ!」

 

「ポーラさんマジウケルー!ギャハハハハ!」

 

腹立つなコイツら…マジ殴りたい、女を殴りたいと思ったのは生まれて初めてだ

 

「まぁ、無理だと思うが周りに迷惑をかけない程度にルールを守って楽しく飲めよ」

 

「ポーラ了解っ!」

 

「14も了解ですっ!」

 

「じゃあな」

 

「あー!待って待って!テイトク待って!」

 

「お花見場所まで連れて行ってくださいよぉ~、ちょっと歩くの面倒なんで軽トラかなんかでヒョイって」

 

「マジぶっ殺すぞオマエら」

 

たしかに、花見場所は先日河童が現れた基地の外れなので歩いて行くのは少々面倒だ、たしか間宮だかゲイ子だかが軽トラで料理を運ぶとかなんとか言ってたのでそれに同乗させて貰うか…

 

「料理運搬車にでも乗せて貰えよ」

 

「いやぁ~…それがさっきトイレに行ってる間に最終便が出てしまいましてぇ~」

 

「ポーラさん長グソ過ぎですよ」

 

「女の子が長グソとかゆーな」

 

「スィマセェーン」

 

しかし参ったな、じゃ、歩くしかないか…

 

「あ、ポーラいいコト思いつきましたー」

 

「なんだ?」

 

「なんか倉庫に夕張サンが作った●ンバインがあったのでアレに乗って行きましょー、アレに」

 

「遅過ぎるだろ、っーかなんでウチの倉庫に●ンバインがあるんだよ、農家か!」

 

「え~?遅くないですよ~?ヒューンとひとっ飛びですよぉ~」

 

「…ポーラ」

 

「なんですかぁ?」

 

「●ンバインだよな?」

 

「●ンバインですよぉ~」

 

‐‐‐

 

花見祭り2017会場…

 

「ヒャッハー!水だぁー!」

 

「コイツらまだこんなレアカード持ってやがる、こんなモン!ケツ拭く紙にもなりゃしねーよ!」

 

満開の桜の下、クズどもが酒と料理を存分に喰らっていた…

 

「もう始まってますねぇ 」

 

「出遅れたっ!14達、完全に出遅れたっ!致命的!この遅れ…致命傷!」

 

ブルーシートの上はどこの場所も満席状態だな、まぁ、そりゃそうなるわな、木曾なんて姉ちゃんに言われて昨日から孤独に場所取りしてたぐらいだし…

 

「あ、テイトクテイトクぅ!あそこ!あそこなんか人少ないですよぉ!あそこにしましょー」

 

「ホントだ!誰かいるけど…スィマセェーン!14達も一緒にいいですかぁ~?」

 

ポーラと14にズルズルと引きずられ、俺はなんか微妙に空いている場所へと座った

 

「すいませんね、このアホどもが」

 

「No problem、オハナミの席は大勢の方が盛り上がるのでしょう?」

 

「アハハハ……ですよねー……ハハハ?」

 

この聞く者全てをごく自然に人を従わせる優雅な御声…

 

「どうしました?Admiral?」ニコッ

 

陛下ァァァァァァ!!しまったァァァァ!!ここ陛下専用の高貴なスペースだったァァァァ!!

 

「す、スイマセンスイマセン!!す…すぐに場所を変えますッ!オイ、ポーラ!14!」

 

「え~?なんですかぁ?」脱衣ッ!

 

「なんでもう脱いでんだよッ!!」

 

「ビアー最高ーッ!」脱衣ッ!

 

「なんでオマエまで脱いでんだ!バカか!?バカなのか!?バカなんだな!?」

 

よ…よりよって陛下の御前でなんてコトをッ!ダメだ、早くコイツらを“始末”しないとッ!このままでは…

 

優雅な席に露出狂

陛下大激怒

国際問題、俺ギロチン

 

もしくは…

 

高貴な席でコイツらがデビルリバース

陛下大激怒

国際問題、俺guillotine

 

………死ぬ、間違いなく俺は死ぬ、俺の死と共に大英帝国を敵に回した第三次世界大戦が開始される

 

「へ…へへへ陛下、こ、ココ、コイツらはですね!アレ!そう!アレなんですよ!日本の伝統芸能!脱ぎ芸の芸人なんですよ!お花見の席を盛り上げる為の!」

 

「…I see is it so?」

 

「そうなんです!」

 

「なるほど…少し驚きましたが、なるほど…」

 

「テイトクテイトクぅ!みんなでスピリタスルーレットしましょ~よぉ~スピリタスルーレットぉ~」

 

「いいねー!ヘイ!そこのパッキン!え~っと…誰だっけ?まぁいいや、パッキンのお姉さんも!」

 

14ォォォォォ!!ナニ言ってんだオマエはッッッ!!陛下!それ陛下!オマエとは身分が違い過ぎる高貴な御方ァァァァァァ!!

 

「Spirytus roulette?なにかしら?面白そうね……是非」

 

「よぉーしキマりぃー!!」

 

ダメだッ!陛下のワクワク庶民文化を刺激しやがった!!よりにもよって陛下が一番興味持っちゃダメなヤツだよそれ!

 

「あ…あの、陛下…」

 

「No problem、どんなgameかわかりませんが、皆様と交流を深める良い機会です」ニコッ

 

バキッ!!(小指)

 

戦略級の破壊力を誇る陛下のロイヤルスマイルを小指一本を犠牲に陛下への忠誠に屈しかけた俺の心は耐えた…

ダメだ……止まらねぇ、陛下は、そうさ、止まらねぇんだ陛下は…王の前に道はない、王の後ろにこそ道ができるんだ、なら止まらねぇよ

 

「…オイ、ポーラ、14、ちょっと耳貸せ、耳」

 

「はいはぁ~い?」

 

「なになにぃ~?」

 

かつてこれほどまでに嬉しくない半裸達に耳打ちする状況はあっただろうか?頭はアレだが身体はむしゃぶりつきたいレベルのポーラ、頭と乳はアレだがどう見ても高水準の美少女の14、普通なら鼻血的状況だが今は違う、世界の命運がかかっている

 

「間違っても陛下にハズレ引かせるなよ、いいな?真っ先に飲めよ」

 

「ポーラ了解~」

 

「14も了解でェ~す」

 

ホントにわかってんのかコイツら?

 

「はい、準備できましたぁ~」

 

「スピリタス3、水1だよ~」

 

用意された4つのショットグラス、ナニもわかってねぇよコイツら!!なんでハズレ高確率なんだよ!バカかコイツら!?

 

「え~?ハズレって水じゃないんですかぁ~?」

 

「水はないよねぇ~、水は」

 

だ…ダメだコイツら、舐めていた、コイツらは生粋のアルコールモンスターだった…アルコールこそ当たり、水がハズレと考える純度100%のアルコール依存艦だった

 

「じゃ、ポーラこれ」

 

「14はこれ!」

 

おそらくコイツらは迷うことなくスピリタスに手をつけたハズ、ならば確率は2分の1…どっちだ?どっちが当たり……いや、ハズレだ?

 

「ハー……ハー…」

 

「Admiral?私が先に選びましょうか?」

 

「ちょ…ちょっとお待ちください陛下!すぐ決めます!」

 

この選択が第三次世界大戦の引き金になる…ッ!クソッ!震えが止まらねぇ…ッ!どっちだ?どっちを選べばいい?右か?左か?

 

「Admiral、顔色が優れないようですが…?」

 

左ッ!!よし!左だ!イケる、そう…強く死ぬ!強く死ぬんだ!俺は震えを抑えて左のグラスを手にした

 

「では、私は最後のこちらで…」

 

「じゃ、みんなでカンパーイ!」

 

「カンパーイ!」

 

俺達は乾杯を交わし、一斉にグラスの中身を一気に口に入れ………ッ!う゛っ!!

 

「あ~…カーッとキますねぇ~」

 

「うんめー!」

 

「………あら?私のは水だったようですね、Admiral?Admiral?」

 

アルコール度数96%のどう考えてもアレな酒、スピリタス、日本では500mlを超える場合、消防法の都合上、第4類危険物として扱われており、間違ってもイッキとかしていけない…

 

「Admiral?Admiral?……困りましたね、貴女達、誰か人を呼んで頂けますか?」

 

最後に見たのは陛下の柔らかさと高貴さを兼ね備えたロイヤルな膝…

 

やはり……私は……間違ってなかった…が……ま…

 


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