【登場人物】
提督(117)
幽霊とかフワフワしたものは信じないけど妖怪は信じる
香取先生(12)
アツかりし熱血指導を行う真の教育者
「てぇへんだてぇへんだー」
うららかな春の日、香取先生と新年度のアツい教育カツドウについて話しながら歩いていると、夕雲型のコスプレをした陽炎型、秋雲が手ヘんがどうのこうの騒ぎながら廊下を走っていた
「よぉ、ナニが手へんなんだ?」
「あ、テイトク……と香取先…」
ビタンッ!(ビンタ)
「じゃぶろ!!」
「廊下を走るな、廊下を…あ゛?」
香取先生のアツい熱血指導が秋雲の頬に炸裂し、なんて言いますかね…こう回ったんですよ、ぐるんぐるんって、いや、1回転2回転とかじゃなく何回も…えぇ、その時思いました、人って回るんだなって…
「ぁ…ありがとうございます、香取先生ェのご指導…ありがとうございます!」
香取先生の廊下を走ってはいけないと言う熱血指導を受けた秋雲はよろよろと立ち上がって香取先生に感謝の礼を示す、香取先生のアツい熱血指導が生徒達の心にガッチリ伝わっているようでなによりだ
「で?何がてぇへんなんだ?まさかフ●ーザがパパと一緒に地球に来たのか?」
「や、なんか川に変なのがいるんすよ!」
「はぁ…?」
秋雲曰く、そろそろ花見の季節だし桜並木のベストプレイスをみんなで抑えよーぜという話になり、基地の外れを流れている川になかなかいい場所があると情報を得たバカどもが現場に行くと、なんか変なのがそこを占有していたそうだ…
「だいたい…その変なのってのはなんだ?変なのってのは」
「や、よくわかんねーんすけど、なんか緑色で甲羅があってスゲー汚い声なんすけど…」
「亀だろ」
「や、それが亀じゃねーんすよ!二足歩行するんすよ」
「カワウソだろ」
「アレ絶対カッパすよ!だって頭に皿乗せてたし!」
ナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?
「バカバカしい、カッパなんかいるワケなかろう」
「ホントなんすよ!今もいるんすから!なんだったら今から見に来てくださいよ!」
秋雲の話は些か信憑性に欠けるが、一応、軍の施設内の話だしな、もしかして侵入者的な何かだと後々に問題になるのもアレなので、俺は香取先生と共に問題の現場へと行ってみる事にした
‐‐‐
「コイツめ!キュウリを喰らうのです!」
「おんどれぇ!うちのリンゴを受けてみぃ!」
「出た!浦風のフォーク、すげぇ落差だ!」
問題の現場へと着いてみると、大小様々な駆逐艦のアホどもがナニかに向かって近くのアカシファームから穫ってきたらしい野菜などを投げていた…
「オイ、変な生物ってのはどれだ?」
「あ、テイトク」
「ハラショー、UMAなら川の側にいるよ」
何がUMAだ、カッコつけやがって、どうせUMAじゃないでUMRさんかなんかだ……
『ゲギョ……』
「…」
子供ぐらいの体躯に緑色の体色、背中に背負った甲羅らしきナニかと頭には皿っぽいナニか…
「…」
「提督?」
「香取先生」
「はい」
「アレはもしかしなくてもアレですかね?」
「えぇ…おそらく」
河童だァァァァァァ!!どう見ても河童だよ!UMRじゃないUMAだよ!モノホンの妖怪みたいな生物だよアレ!たしか…こうアレだ、尻の玉を抜くとかなんとか過激な尻プレイに定評があるヤバいヤツだよ
「アイツがいるせいで花見の場所が取れないじゃない!」
「なんとかして追い払って欲しいんだよ」
『ゲギョギョ…』
…いや、冷静に考えれば、世の中には深海棲艦とかワケわからん生命体もいるし、河童ぐらい存在してても不思議ではないか
「しかし、河童を追い払うと言ってもなぁ…」
「さっきから野菜を投げつけてるけど効かないのよ!」
「うちのフォークも通じんかったしのぉ」
なんで野菜で河童を倒せると思ってんだコイツら、どこの迷信だよそれ
「河童を追い払う方法か………やはり一番効くのは環境破壊か」
「それガチのヤツじゃあ!」
「大人はそうやってすぐ地球を汚すのです!」
「ハラショー、地球がもたん時が来ているんだよ」
俺のナイスなアイデアは駆逐艦のアホどもから痛烈な批判を受けて却下された、バカバカしい、大人はただ地球を汚すのではない、地球を汚した事は認め、次の糧にすればいいのだ
「あ、そうそう」
「なんでしょう?香取先生」
「以前、河童は相撲が大好きと何かの本で読んだ事がありまして…」
「ほぉ…相撲ですか」
なるほど、相撲と言う力と力のぶつかり合いで力を示せばヤツを追い払う事もできるかもしれないな
「よし、オマエら誰かアイツと相撲して来い」
「イヤなのです」
「イヤじゃあ」
「ハラショー、なんかヌメってそうだからイヤなんだよ」
「バカ野郎、オマエらの場所をオマエらで勝ち取ってこそだぞ!」
駆逐艦どもは仕方ないので誰が河童とヌメヌメ相撲をとるか、平和的にジャンケンで決める事にしたらしく、そこらでジャンケンを始めた
「…負けてしまいましたね」
「もう後がないズラ」
熾烈なジャンケンサバイバルに残ったのはズラ型……ではなく世界を変える機体、吹雪型の長女、吹雪と………浜風ちゃん
「絶対勝つズラー!」
「クッ!もう負けませんよ!」
よし!勝て吹雪!オマエなら勝てる!世界を震撼させた特型駆逐艦、その一番艦の力を見せつけてやれ!だが誤解してはいけない、俺は決して浜風ちゃんのヌメヌメ相撲が見たいワケじゃあない、ヌメヌメ相撲が見たいワケじゃあない!!
「ぽーん!」グー
「ぽん!」パー
「あー…負けたズラー」
空気読めッ!!吹雪ッ!空気を読めッ!ったく、使えねーズラ型だなあのヤロー
「まぁ仕方ないズラ、みんなにオラの力を見せて…」
「フッ、その取り組み、待って貰おうか…」
「駆逐艦達を困らせるMonsterが居ると聞いてな、そのMonsterVernichtung、我々に任せて貰おうか」
河童の待ち受ける川へ向かおうとした吹雪を制止し、駆逐艦達の中から恥ずかしい大人達が颯爽と現れた
「ゲェーッ!お、オマエらはーッ!長門!グラペン!」
「フッ、遅くなったな、同志提督」
「グラーフ・ツェッペリンだ」
幼女大好き一級ロリコンの長門、そして、見た目で避けられる新鮮な血液を吸ってそうな魔界貴族、グラーフ・ツェッペリン
「フッ、あの程度のチビ、この長門がグチャグチャに粉砕してやろう」
長門は足で描いた雑な土俵に上がると河童も戦いの空気に応じたのか、土俵へと上がった
「貴様程度の体格ではこの長門には勝てん!相撲とは体格がモノを言うのだ!チビは引っ込んでいるがいいー!」
『ゲギョギョ…ッ!』
とりあえずひとしきり少年漫画によくあるフラグを積み終えた長門が勢い良く河童にぶちかまし、その直後に長門の身体が土俵へと叩きつけられ、尻●玉を抜かれた
「ぐへぁ!!」
「同志ナガトー!!」
百千夜●堕ッ!あの河童…強いぞッ!!
「クッ、同志ナガトを倒したぐらいでいい気になるなよ……クク、今ので貴様の弱点は見えた、致命的な弱点がな、私の勝つ確率は100%だ」
新たなフラグを着実に積み、土俵に上がったグラーフが河童へと激しくぶちかました直後、河童の鬼炎万丈百千夜●堕の前に土俵へと叩きつけられ、尻●玉を抜かれた
「グハァ!!で…データ以上だと…」
何しに来たんだコイツらは…?尻●玉抜かれに来ただけじゃねーか、っーか河童、コイツマジ強いな、これがカッパーの真の性能だってのかい
「しかし、まさか長門とグラペンがヤられるとは…」
アイツらはバカだがその戦闘力だけは本物だった、それを軽く倒してのけるとは……まさに無敵ッ!実は河童こそ究極の生命体なのではないだろうか?ダメだ、勝てる気がしねぇ…人類はもう終わりだ、この究極生物の前に人類は蹂躙されるしかないんだ…
「クッ!俺達はなんて無力なんだ…ッ!」
「あの…提督」
「なんでしょう?香取先生」
「私に一つ考えがありまして…」
そう言って香取先生は地面に落ちていた手ごろなサイズの石を拾った
「えいっ!」
パカーン!
『ギャアアアアアアアアアス!!』
香取先生の投げた手ごろなサイズの石は河童の頭の皿を割り、河童は断末魔の叫び声をあげてその場に崩れ落ちた
「………弱っ!!」
「河童は頭の皿が弱点と以前読んだ本にありまして…」
…言われてみるとそうだった気がする、よく考えたらコイツ、弱点無防備に丸出しとかただのバカだったのでは?
「香取ーヌ先生が河童を退治したぞぉー!」
「スゲェ!さすが香取ーヌ先生だ!」
「へへっ、やっぱオレ達のセンセイだ、頼りになるぜ!」
「よしみんな!香取ーヌ先生を胴上げじゃあ!」
駆逐艦達のアツい香取ーヌ!香取ーヌ!コールと共に香取先生は胴上げされ、皆と共に喜びを分かち合った、これもきっと香取先生のアツい熱血指導のたまものだろう…実に感動的なシーンだ
「う…ぅぅ…ア●ルが、クッ!」
「あ…Admiral、尻が…尻が痛いのだが」
…とりあえずコイツらには後でピンポン球でも挿入れてみよう
次回
真の絶望が始まる!新たな力を身につけた航空巡洋艦が地獄より帰って来る、予定、たぶん
90以上あるし、設計図もあるし、たぶん大丈夫