不健全鎮守府   作:犬魚

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オレとオマエのラストゲーム

【登場人物】

提督(115)
マンモス哀れなやつ

五月雨(40)
今日は適度にツッコミ


提督と五月雨と最終回

遂に発見した深海棲艦のアジトへの一斉攻撃、その戦闘は苛烈を極め、多くの仲間達が一人、また一人と散っていく、とうとう姿を現した深海帝国皇帝シンカイエンペラーとの最後の決戦を制した我々は勝利の声を上げて帰還を果たしたのだった…

 

「と、まぁ…こんな感じで深海棲艦との戦いも終わり地上に愛と平和が戻ったワケだ」

 

「はぁ?」

 

季節は弥生タンからうーちゃんへと移り変わった四月の日、俺と五月雨は特にやる事もなく執務室でこれまでの激戦について振り返っていた

 

「サミダス、今までよく尽くしくれた」

 

「五月雨です、なんですか?今までって…」

 

「え?だって深海棲艦との戦いも終わったし、今日で最終回だよ」

 

「…はぁ?」

 

「今回は最終回らしく今までの戦いを振り返りつつ、希望の未来へレディゴーな感じでいくから」

 

「…はぁ?」

 

そう……思えばあの日、俺がコイツと会ったあの日から全ては始まっていた

 

‐‐‐

 

「出ろ、俺と帰るぞ」

 

「消えな」

 

鉄格子越しに対面した俺と五月雨、当時の五月雨はいわゆる不良のレッテルを貼られている札付きのワルだった

 

「およびじゃないですよ、私の力になる?冗談は眼鏡だけにしといてくださいよ」

 

‐‐‐

 

「と、まぁこんな感じだったな」

 

「何一つ合ってませんよ、なんですかその捏造」

 

「捏造じゃない、提督だ」

 

そして俺は五月雨と共に、この、ワクワクと冒険に満ちた海に出航だーと叫び海に出て、様々な出会いと戦いを経てきた…中でも思い出深いと言えばまず、凶羅大四●殺だろう

 

『ウオオオォォォ!舐めんじゃねー!これが白露型駆逐艦白露の男じゃあー!!』

 

『し、白露ーッ!』

 

『ヘヘッ、お前らと一緒に居るのも、悪くなかったぜ…勝てよ!この戦い!』

 

マグマの中に消えていく白露には全員がアツい涙を流したものだ

 

「や、なかったですよね、そんな戦い」

 

「あったよ、忘れっぽいなお前」

 

「忘れる以前に無いもの覚えてないです」

 

そして、次に思い出深いのはやはり十二宮の戦いだろう…

 

『ウオオオォォォ!!お前もオレと一緒に死ぬんだーッ!』

 

『バカな!よせ白露!死ぬ気かーッ!』

 

『老師!この白露、禁を破ります!ウオオオォォォ!喰らえ!廬山●龍覇ーッ!』

 

『し、白露ーッ!』

 

光の龍となって天に昇る白露には俺達の目からアツい涙を止まらなかったものだ

 

「また白露姉さん!?さっきマグマに消えましたよね!?」

 

「そうだったか?」

 

そして、全宇宙の存亡を賭けた宇宙の帝王との最終決戦、ついに改を超えた改二へと進化を果たした胸アツ展開もあったな…

 

『あの駆逐艦…?白露のことか?白露のことかァァァァァ!!』

 

『な、なんなのだキサマはー!』

 

『とっくにご存知なんだろう?穏やかな心で激しい怒りに目覚めた佐世保生まれの軽巡、スーパー北上様だーッ!』

 

全宇宙が絶望したあの宇宙の帝王を圧倒するスーパー北上さんには俺達も涙が止まらなかったな

 

「また死んでるッ!また白露姉さんが死んでるし!」

 

「でぇーじょーぶだ、白露は人気キャラだから何度でも甦るんだよ」

 

「ある意味ヒドい地獄ですよ、それ」

 

地獄か……そう言えばこんな事もあったな、そう、あの戦いもなかなかの激戦だった…

 

『カッカッカ、弱体チームには大会参加をご遠慮願おうか、ねぇ、白露姉さんに大鯨さん』

 

『な、なにィ!?弱体チームだと!その言葉を取り消せー!』

 

『カッカッカー!地獄のコンビネーション!』

 

『ぐわああああああ!!』

 

『し、白露ーッ!!』

 

あの戦いで披露された長門ドライバーと陸奥バスターの合体技ナガムツドッキングは当時キッズ達がこぞって真似をして大怪我したものだ…

 

「…なんか白露姉さんに恨みとかあるんですか?ってか大鯨さんが巻き込まれ事故してますけど」

 

「ないけど?」

 

「そうですか」

 

「かわいいよな、白露姉ちゃん」

 

「まぁ、可愛い…?えぇ、まぁ可愛いじゃないですか」

 

常に一番である事を義務付けられた帝王かと思いきや、すぐ下の妹がボクサカとか言い出す始末だが…

 

「さて、最終回らしく最後に俺から衝撃の事実を伝えたいと思うのだが……実は特に何もない」

 

「そうですか、あ、この書類にサイン頂けますか?」

 

「サインね、サイン…はいはいっと」

 

俺は五月雨が差し出した書類にスタイリッシュに名前を書き込んだ

 

「…ん?オイ五月雨、ここに入ってたデ●ノートの紙、破ったか?」

 

「えぇ、ちょうど紙がなかったんで、今サインして頂いた紙がそうですけど」

 

「なんだとォ!?」

 

「なんですか?突然?」

 

「死ぬのか!?僕は死ぬのか!?」

 

「…はぁ?」

 

「嫌だァァァァァ!!逝きたくない!逝くのは嫌だァァァァァ!!」

 

ドクンッ!!!

 

「う゛っ……!!!」死ーン

 

◆◆◆

 

突然の心臓麻痺で提督は死に、基地は衝撃に包まれました…

しかし、幸いな事に提督の仕事自体はさほど重要でもなく、日常的な業務も私が把握していたので基地運営には大きな影響を与えませんでした…

現在、新たな提督が着任するまでは私、五月雨が基地運営を任されています…

次はきっとイケメンで有能な提督が来てくれると信じて…

 

ゴン!ゴン!

 

「…どうぞ」

 

執務室の無駄に重い扉が叩かれ、新しく着任予定のイケメンが……

 

「げ、ゲェーッ!!お、お前はーッ!」

 

「フッ、甦ったのよ、冥王ハー●スに忠誠を誓う冥●士としてなッ!!」





次回以降も普通にありますのでよければお付き合い頂ければ幸いです、はい

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