不健全鎮守府   作:犬魚

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季節グラになってましたが季節グラ要素はゼロ

【登場人物】

提督(101)
大人は言い訳ばかりする、それが大人の特権だよ

山風(8)
改白露型の緑のやつ、ムラムラしない

明石(8)
ゴキゲンな工作艦、提督とは性的ではない大人の関係


提督と山風とやっぱり奇妙なダンボール

速吸クンとのキャッチボールを終え、近所のコンビニで缶コーヒーとカレーパンを買って喫煙所へと向かっていると、改白露型の緑頭が台車を押しながら歩いていた

 

「ナニやってんだ?チビスケェ…」

 

「チビスケゆーな、山風…明石さんにお使い頼まれた、550円で」

 

あの野郎、まったく反省の色が見られんな、しかも駄賃が50円も値上がりしてやがる

 

「ナニ取りに行くんだ?」

 

「…人形?人形が入った、箱」

 

「人形?」

 

「…ひな祭りだから…お店に飾るとか、なんとか…だから、倉庫に取りに行って欲しい、って…」

 

「ふ~ん」

 

今回は意外と普通だな、しかし雛人形か、そんなモンが倉庫にあったんだな…初めて知った

 

「そうか、ガンバレよ」

 

「…暇なら…テイトクも、一緒に…」

 

「お断る」

 

「おことッ!?」

 

「何故なら俺は暇人ではないからな」

 

「…そう」

 

なんか露骨にがっくりしている気がするが、俺は本来子供には厳しい男だ、目が合ったらパンチ、痛いと言ったらパンチ、やめてと言ったらパンチ、終わりなき暴力と恐怖こそが真にあるべき調教なのだ

 

「…じゃあね」

 

チビスケは台車をゴロゴロと押しながら倉庫の方へ歩き出した

 

「……そう言えば、俺も倉庫に用事があったんだったな」

 

「?」

 

「まぁ、別に急ぎの用事でもないんだが、まぁ…後回しにするのもアレだ、俺も倉庫に行くとしよう」

 

「…うん、行こう!」

 

‐‐‐

 

そんなワケで倉庫へとやって来た俺と山風、相変わらずテキトーに積まれたダンボールだな、なんだコレ?弾薬か?

 

「…本がいっぱい入ってる」

 

「その本は君にはまだ早い」

 

「?」

 

「まだ早い」

 

いつの日か、この子も足を踏み外す日が来るのだろうが今はまだ早い、願わくば、あの笑顔がかわいい弥生タンみたく光る棒を六爪みたいに装備してプリズムボーイにキャーキャーしない事を祈るだけだ

 

「提督的にはこっちの本がオススメだぞ、百万回死んだ猫」

 

「…百万回?」

 

「ちなみに俺は猫が嫌いだ」

 

「…嫌いなんだ」

 

そういやコイツ、なんかキモい猫飼ってたな…同室の海風姉ちゃん曰わく、ちゃんと世話をしているらしく、江風がヨーダと呼んでは、江風をフルスイングで殴りつける過激な面もあるらしい

 

「で?どれが雛人形なんだ?」

 

「…さぁ?明石さん、が言ってたのは……ちゃんと、箱に、雛人形って書いてる…って」

 

「ふ~ん」

 

たしかに、いくつかの箱には太いマジックで書いたであろう文字が書かれている、ただ、R18と18禁の文字がやたら多いな

 

「あ、あれ…!」

 

「あ?」

 

「…あれかな?」

 

山風の指差した先、少々高い場所に、たしかにヒナニンギョーと書かれたダンボール箱があった、ただ…ヒナニンギョーの文字の横にR元服と書いてあるのはなんなのだろう?

とりあえず、チビスケでは届かないその箱を手に取り、床へと置いてみた

 

「コレか」

 

「…たぶん」

 

「とりあえず中を確認してみるか」

 

ガムテープを剥がし、中を開けてみると、別段、普通っぽい雛人形セットみたいなのが入っていた

ただ、このお内裏サマだっけか?どことなくなく武蔵に似てる気もするが…

 

「普通だな」

 

「…うん」

 

『オ…オオオォォォ』

 

今、なんか声が聞こえた気がするが…

 

「チビスケ、今、なんか言ったか?」

 

「チビスケゆーな、山風…何も言ってない」

 

『タスケテ…タスケテ…』

 

「いや、やっぱなんか言ったろ?なんかタスケテーとか言ったろ?」

 

「…言ってない」

 

『コッチダヨォ…コッチダヨォ…』

 

よし!まずは落ち着こう、深呼吸だ、そう深呼吸…スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ!クンクン!んはぁ!………よし、落ち着いた!

 

「チビスケェ…」

 

「チビスケゆーな、山風、なに?」

 

「最近の人形は喋るよな、普通、だってほら、ペ●パーくんだって喋るしな」

 

「…たぶん」

 

『オオオォォォ…タスケテ…タスケテ…』

 

ズズズズズズ…ズズズズズズ…

 

なんか人形がひとりでに動いている気がするが、たぶん電池が入っているのだろう

 

「山風」

 

「山風ゆーな、チビスケ……ん?」

 

「逃げるんだよォォォ!!」

 

俺は速やかに山風を抱えて台車に乗せ、初速から最高速でダッシュした

なんなのアレ?なんなのアレ!?超ホラーなんですけどォ!明石の野郎!なんであんなホラー商品扱ってんだァ!

 

『マッテー…マッテー…』

 

『イカナイデ…イカナイデ…』

 

『ツレテイッテ…ツレテイッテ…』

 

「あ゛あああああああ!!!見えない聞こえない見えない聞こえない見えない聞こえないーッ!」

 

ス●ンド!そう!きっと新手のスタ●ド攻撃だ!断じて霊的なモノではない!パワーあるヴィジョン!側に立つ事から俺は幽●紋と名付けたね!

 

「…テイトク!テイトク!前!前!ぶつかるっ!」

 

「うるあぁぁぁぁぁ!!!」

 

◆◆◆

 

みんなの店、アカシメイト…

 

「ありがとーございましたー」

 

入荷したてのDVDを手に、古鷹さんがゴキゲンな様子で去って行く、最近はコレと言ったキラータイトルもないが、やはりイベント先行チケット入りはよく売れる、ゴキゲンな売上だ…

 

「しかし、お使いに出した山風ちゃん遅いなぁ」

 

やはり甘いモンばっか食ってるチビっ子はダメだな、すぐに寄り道する

毎回ではないにしろ、今日はお姉さんもガツンと言ってやらねば…

 

「…ただいま」

 

「あ、山風ちゃんおかえり~遅かったじゃない?お姉さん心配しちゃったよ、ミルクココアでも飲む?」

 

保温器からミルクココアの缶を取り出し、山風ちゃんに渡そうとしたその時…

 

「アアアアカシィィィィィ!!!」

 

「ゲェーッ!提督ーッ!!な、なんですか!?」

 

「なんだオマエアレ!なんだオマエアレ!なんだオマエアレ!」

 

提督は私の両肩を掴んでブンブンと身体を揺らした

 

「ちょ…ちょ!やめて!やめてくださいよ!なんですか一体!?ヤる気ですか!?」

 

「ハー…ハー…」

 

「…明石さん、コレ、頼まれてた人形」

 

「あ、ご苦労様……って!?壊れてるし!ちょ!なんでェ!?」

 

山風ちゃん曰わく、人形に追い回され、逃げ回っていたところ、香取先生に出くわし、香取先生が私の生徒に手を出すなーと言って叩いたら壊れたそうだ

 

「…ごめん、何一つ理解できないんだけど、え?なんで人形が追い回すの?」

 

「知るかァ!!オマエんトコの商品だろーが!」

 

「とりあえず…弁償してくださいよ、ベンショー、高いんですよコレ!」

 

「いくらだ?」

 

「そうですね、まぁ提督とは知らない仲ではありませんし…これからも持ちつ持たれつの良い関係でいたいので、まぁ、コレぐらいで」

 

私は電卓を弾いて提督に数字を見せた

 

「高い」

 

「雛人形舐めないでください」

 

「呪われてた分をサービスしろよ、呪われてた分を」

 

「何が呪いですか、私は呪いとかそーゆーフワフワした類は信じないんです」

 

何が呪いですかバカバカしい、中二病も大概にしとけって言うんですよこのオッサンは…

 

「ほら、こんなにかわいいのに!職人の魂を感じる素晴らしい造形ですよ!」

 

『オオオォォォ…オオオォォォ…』

 

「ん?」

 

今、何か聞こえたような…

 

「アアアアカシィィィィィ!!」ガクガク

 

「なんですか!?ヤる気ですか!先に言っておきますけど、この明石!ケンカつえーですよ!5対1でも勝ったコトあるんですからね!」プンスカ

 

『オオオォォォ…タスケテ…タスケテ…』

 

「ギャアアアアアアアアア!!」ガクガク

 

お、コレ、提督ったらもしかして私にビビってる?ビビってるよねコレ?えへへ~言ってみるもんだなぁ、よ~し!

 

「ヤる気かァー!テメェー!」

 

「ギャアアアアアアアアア!!明石!後ろ!後ろォォォ!!」

 

「…後ろ?」

 

 

←To be continued


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