【登場人物】
提督(96)
自称、空気が読める大人
海風(8)
改白露型のラノベヒロインみたいな美少女、膝が弱い
山風(7)
改白露型の小柄で目ツキの悪いやつ、炭酸は苦手
江風(8)
改白露型のキセキと同種のエース、最近読んだ漫画はキン●ダム
涼風(2)
通称、凶暴な方の五月雨
不良は動物に優しい傾向がある
寒い日と暖かい日がなにやらごっちゃになっている冬の日が続く今日この頃、最終決戦が間近に迫った当基地…
そんな緊迫化した状況の中、俺は動物園のベンチで煙草の煙を吐き出すマシーンと化していた
「うわっ!このゴリラ!ウ●コ投げてきやがった!?」
「江風、檻から離れて!檻から!」
最終決戦を控え、とりあえず喫煙所で編成やらなんやらを考えていると、改白露型の美少女みたいな姉と赤いのと緑のと五月雨Bがなにやらお出かけ準備万端で歩いていたので何事かと声をかけたら、なんでも懸賞で動物園の入園券が当たったらしく、4枚あるのでそれなら改白露型の姉妹で行こうとの話になったそうで、良ければ一緒にどうですかと誘われたワケだ
最終決戦を前に、はよ戦えや!とツッコミ入れたくなる徹底した引き延ばしはその昔、水曜の夜にやってた大人気アニメでやっていたので何も問題無いだろう、たしか次回予告は最終海域突入ぅ!みたいな事を書いてた気がするが、念の為に“たぶん!”と入れてたのでこれも問題無い
「フーッ~…」
さて、前置きは長くなったが、とにかく俺は改白露型の4人と動物園に来ているのだ、美少女姉ちゃんは世話好きだからいいとして、江風とチビスケは動物に興味がある多感な年頃なのはわかる、ただ、あの凶暴な五月雨Bも来ているのは意外だったが…
「誰が凶暴な方だ、殺すぞ」
「…ん?」
俺の居るベンチに、いつの間にやらジューシィな匂いのする紙袋を持った五月雨Bが来ていた
「独り言がうるせぇよ、あと、五月雨Bじゃねぇ、アタイは涼風だ」
「悪い悪い」
改白露型のラストナンバー、涼風、他の改白露型姉妹には似ておらず、見た目は五月雨によく似ているが、非常に凶暴な性格をしている
「アイツと間違われるのだけは我慢ならねぇんだよ」
そしてこの涼風、五月雨とは絶望的に仲が悪く、見た目が良く似ているので一部の艦からは秘書艦の命を狙うドッペルゲンガーか何かと勘違いされているらしい
「それ美味そうだな、一口くれよ」
「あ゛?自分で買って来いよヤボスケ」
「一個食いたくねぇんだよ、一口食いたいだけだ」
「ゼッテーやらねぇ」
ケチくさい奴だな…
「他のヤツらは?」
「江風はゴリラにウ●コ投げられてた、海風は江風のTシャツ買いに売店行った、山風はクジャク見てた」
「ふ~ん」
「っーか動物園来たんだから動物見ろよおっさん」
「おっさんじゃない、提督だ」
「さっきから見てりゃベンチに座ってモクモク、モクモク煙ばっか出しやがってスチームボーイか、テメーは」
「スチームボーイじゃない、提督だ」
「立てコラ、プレーリードッグ見に行くぞ」
「なんで俺があんなカワウソの出来損ないみたいなヤツを見なけりゃいかんのだ」
「プレーリードッグはリスの仲間でカワウソはイタチの仲間だろーが!全然違げーよ」
コイツ詳しいな、もしかして、可愛いらしい動物が好きな趣味でもあるのだろうか?
「いいから来いよ」
「へいへい」
‐‐‐
プレーリードッグ、ネズミ目、リス科の動物だよ、だいたい北米に居て穴を掘るのが得意だよ
「ふ~ん」
「お、穴から顔出した!」
穴から顔を出したプレーリードッグを激写する涼風、そしてさっき合流した海風らと俺はプレーリードッグを眺めていた
「このホットドッグ美味めぇな」
「マジで?テイトク!江風にも一口くれよ!」
「コラ!江風!自分のがあるでしょ!それに、くれ!だなんて…提督になんて口の利き方を…ッ!」
「ご、ごめン!ネーちゃン!」
相変わらずコイツらも平常運転だな、しかし、ゴリラにウ●コ投げられて着替えた江風のTシャツ、海風が売店で買ってきたらしいが、背中に鐘を持った侠客のプリントには海風のセンスが感じられるな…
「…よく見えない」
そして、姉妹の中で最も低身の山風はプレーリードッグがよく見えずにヒョコヒョコと跳ねていた
「お、山風のアネキ!江風が肩車してやろーか?」
「…いい、江風の頭トゲトゲしいから痛いし」
「トゲトゲしくねーよ!ちゃンとコンディショナーしたよ!」ガーン!
「江風、山風にもプライドがあるのよ、妹に肩車させるとか姉のプライドが許さないのよ………さぁ!山風!私の肩に乗って!」
「…いい、海風姉はすぐヘバるし、前もすぐ膝にキてたし」
「ヘバらないよ!」ガーン!
バカな江風に続き、優秀なハズの姉も撃沈した
仕方ない、ならここは俺が大人として最適なアドバイスを贈ってやろう
「あっちのベンチの上に立ったらどうだ?」
「…いい」
なんか露骨に残念そうにしてるぅ!?おかしいな、俺は最適解を示したハズだが……まさか、計算以上!この僅かな期間でデータを超えたとでも言うのか!?
データに無い事態に狼狽える俺に、江風が首に手を回して顔を近づけてきた
「バカ!テイトクバカじゃねーの?空気読めよ!」ヒソヒソ
「あ?読んでるよ?俺は空気読める大人だよ?」ヒソヒソ
「江風!提督になんて言葉遣いしてるの!」ヒソヒソ
海風も前屈みになって良い香りのする美少女顔を近づけてきた、顔が近い!顔が!
「ごめン!ネーちゃン……ってか、今はそれいいから!」ヒソヒソ
「そうね、まぁその件は後にして……提督、今のは海風もダメだと思います」ヒソヒソ
「何が?」ヒソヒソ
「山風は提督に肩車して貰いたかったんですよ」ヒソヒソ
「え?マジで?」ヒソヒソ
「マジで?じゃねーよ、空気読めてねーじゃン、乙女心ワカってねーよ」ヒソヒソ
「ナニが乙女心だ、ワカってるよ?乙女心ぐらい、だって俺、ママ●ードボーイ全巻読んだし」ヒソヒソ
「それダメなヤツぅ!?」ヒソヒソ
「とにかく!提督は山風を肩車してください、自然な流れですよ?いいですか?自然な流れでお願いしますよ?」ヒソヒソ
「わかったわかった」ヒソヒソ
俺達は作戦会議を終え、再び立ち上がった
「よし!山風ェ!今、俺は自然な流れで肩車したい気分になったァ!」
「不自然ッ!!テイトク!それ不自然以外の何物でもねェよ!?」
ごく自然な流れで山風を肩車しようとしたその時…
「うるせーよ、プレーリードッグがビビって穴蔵に引っ込むだろーが」
「…いい、涼風がしてくれてるし」
山風は普通に涼風の肩に乗っていた
「山風の姉、あっちのヤツ撮ってくれ」
「…あっちのヤツね」
海風と江風は嫌なのに涼風はいいんだな…コイツ
「…」
「…ネーちゃン」
「なに?」
「もしかしてアタシらは嫌われてるンじゃ…」
「そんなコトない!そんなコトないから!ね?提督!そうですよね!?」
「え?あ、あぁ…うん、そうじゃね?」
「だよなぁ~…よし!テイトク!肩空いてるなら江風を乗せてくれよ!」
「え?普通にイヤだが?」
次回から最終海域、光作戦!