悪魔のエギゾーストがスピードの向こう側へ誘う回
【登場人物】
山城(5)
姉様以外は全てゴミ
神風(3)
神風型の長女、実は今回がデビュー戦
「また輸送か、しかも連合艦隊」
「連合艦隊ですね」
机に並べた書類には資源輸送と連合艦隊編成、あと出来れば高速艦の起用を推奨する情報が書かれている、五月雨のアホンダラと共に、縦なり横なりから色々と海域を攻める為に関係各所から情報を都合して頂いた結果がここに在る
「灰皿」
「はい」
「フーッ~……アレ、使ってみるか?」
「アレ?」
「なんか前にお知らせ来てたろ?タービンと強化缶であら不思議、鈍足なノロマがみるみる一等賞になるとか、なんか胡散臭い広告が」
「あ~…ありましたね、そんな感じのが」
一応、軍の公式な書類だった気がするが、どう見ても胡散臭いので今まで試した事もなかったが、仮に、本当に低速艦が高速艦にモデルチェンジ出来るのならそれは素晴らしい事だろう
「フーッ~…とりあえず実験体が必要だな、山城を呼べ、山城」
「山城さんですか?あの人、そんな胡散臭い実験に付き合ってくれますかね?」
「大丈夫だ、嫌なら姉様の白く美しく肢体を実験体にするって言えば喜んでその身を差し出すだろ」
「もう発言が鬼畜以外の何物でもないですね」
◆◆◆
第二作戦海域、小笠原諸島哨戒線…
栄えある連合艦隊旗艦に就いた山城は思わず鼻歌を歌ってしまいそうになるぐらいゴキゲンだった…
提督から胡散臭い実験の話を聞いた時は殴り合いになったが、姉様が“まさか山城が高速艦になれるなんて…山城は本当に自慢の妹ね”と言ってくれたのでついテンション上がって承諾してしまい、胡散臭い実験に付き合ったがどうやら実験は成功らしく、高回転でゴキゲンなサウンドを奏でる艤装のエギゾーストは山城をスピードの世界へと導いてくれていた
「良い感じですね!山城サン!」
山城に声をかけるドラム缶を背負った幕末の人斬りみたいなチビスケ、神風型一番艦、神風
「コイツはかなりゴキゲンね、ところでアナタ………誰?敵?」
「神風です!神風!味方ですよっ!」
「そう、私、姉様以外はだいたいゴミにしか見えないのよ」
山城率いる第一艦隊と鬼怒率いる第二艦隊、今のところ輸送任務は順調、頭にデカい口のついた空母がやや鬱陶しいと感じるが、まぁ順調と言っていい感じだ
「さっさと終わらせて姉様にご報告しないと…」
「報告って……提督にじゃないんですか?」
「どうせカメラかなんかで見てるんでしょ?必要ないわ………で?アナタ、誰?敵?」
「神風ですって!味方!味方ですから!」
「山城サン!なんかさっきから潮の流れ変わってねーっすか?」
「あ゛?」
山城に進言する大発を牽いたチビスケ、睦月型の3Pシューター、皐月は何やらさっきとは潮流が変わっている事に気付いた
「そうかしら?ってかアナタ誰?敵?」
「皐月です!」
「皆々様、どうやら今までのコースを逸れているみたいですよ?」
雅な唐傘を差し、先日購入した洋菓子っぽいものを口に入れる神風型の三番艦春風は怪訝な表情を浮かべていた
『ヨウコソー!ココヘー!』
『遊ボーゼ!パラダイース!!』
「待ち伏せっ!?」
潮流の先に待ち構えていたのは下を穿かないパンツ見せ健康法を実践する深海スタイリッシュパンモロリスト、戦艦タ級率いる一団…
『ヨォ~…“ココ”デ“”遊ンデ”行ケヨォ~』
「上等ォ…ブチ殺してそのパンツ剥いでキン●バスターして写メ撮ってSNSで拡散してやんよォ…」
◆◆◆
「…ただいま」
「よくそのツラ俺の前に出せたなクソが」
まさか潮流が変わるとは思っていなかったが、それにしてもなかなかの強敵らしいな、あのタ級
「次、大破して帰ったら晴嵐取り上げるからな」
「…チッ」
「チッ、じゃねーよ、反省しろよ、反省」
コイツ、姉様以外にはマジで反抗的だな、姉様以外には反抗期かよ
「…高速艦実験は成功したし、日向のヤツを姉様に替えてよ、やる気が出ないわ」
「ダメだ、この先、もしかしたら姉様が必要になる場面があるかもしれん、日向と行け、あと、仲良くしろ」
「チッ…」
「だから!露骨に舌打ちすんな」
次回は②!
戦艦タ級の脅威!
ゴールデンドラゴンフライが火を噴く!