【登場人物】
提督(93)
えー、が多い、事前にカンペを熟読しない派
「えー…皆さん、寒い日が続いておりますが、今日、私は皆さんの元気な顔が見れてなによりです、えー…今日とか明日とかそんな感じで冬の作戦海域が始まりますが、皆さんが日々積み重ねてきた練習の成果を、えー…出し切る、えー…出し切って!作戦終了後に、また、皆さんの元気な顔が見れる事を信じております」
糞寒い日の続く冬の体育館、俺は壇上から所属する全員に向けての激励と共に挨拶を終わる
「はい、提督のお話でした………続きまして、雪の彫刻大賞の表彰を行いますので、名前を呼ばれた方は元気良く挨拶して下さい」
マイクを握る姿もエレガント、絶妙な声量で喋る声もエレガンス、今日も眼鏡が素敵なエレガンテ、熱血ティーチャー、香取先生…
「銅賞、夕雲型駆逐艦、代表、清霜」
「ハイ元気です!」
インフルエンザから無事回復したアホガキ、清霜は元気良く立ち上がり壇上へと向かう、その堂々たる姿は夕雲姉さんが“写ル●です”で激写してしまう程の堂々たる姿だ、おそらく何度となく壇上へ上がる練習をしたのだろう
「えー…表彰状!夕雲型駆逐艦殿、貴艦らは雪の彫刻大会にて優秀な成績を収められたので、えー…ここに表彰します!」
俺はカンペを読みながら清霜に賞状を渡してやった
「キヨシー!カッコイイぞー!」
「キヨシマジカッケー!」
「清霜があんな立派に…」
「夕雲姉さん!ほら拍手!拍手してやんないと!」
温かい拍手に包まれ、清霜はヘコヘコと頭を下げながら壇上をスキップしながら降りてゆく、きっと今日は夕雲型でお祝いでもするのだろう
「続きまして銀賞、メイジン・カワウ……」
◆◆◆
「お疲れ様です、珈琲を淹れましたので、良ければ…」
「やや!これはありがとうございます」
全艦集会も終わり、執務室に戻った俺は自分の執務机で作戦について書かれた書類を手にしていると、全ての所作が優雅、香取先生が珈琲を机の上に置いてくれた
「五月雨さんもどうぞ」
「…はぁ、ありがとうございます、頂きます」
物凄く面白くなさそうなツラした五月雨は香取先生の珈琲を啜る
「上品であり味わい深い濃厚なコク…実に香取先生らしい味ですなぁ」
「あらあら、お上手で…」
「チッ…」
なんか五月雨の野郎が露骨に舌打ちした気がするが、まぁいつもの事なのでは気にしていけない
「とりあえず資材も練度もそれなりに整ったが…」
なんか事前に彩雲用意しとけって事らしいので誰が倉庫に返さず借りパクしてるのか確認しとかねぇとな
「まずは情報か、オイ五月雨、作戦の名前なんて言ったか?」
「光作戦と聞いてますが?」
「…インターネット開設キャンペーンみてーな名前だな」
「とりあえず軍の偉い人に謝っといた方がいいですよ」
たしかに、本部から届いたFAXには光作戦と書いてあるな、俺は机から画鋲を取り出し“オイ!高波”と書かれた手配書の横に本部から送られて来た書類を貼り付けた
◆◆◆
「長期休暇ーッ!」
「ヘイ!168!ヘイ!」
「ウェーイ!ヘイ!ヘイ!」
サムソナ●トのトランクに、ありったけの希望とオシャレな服を詰め込んで、実力派エリート集団である潜水艦のバカどもがハイタッチしながら楽しい旅行の準備をしていた
「あ、テイトクだ!」
「ろーちゃん達、湯●院行くんですって!バスで!」
「ふ~ん」
今回は国内か、前回は作戦開始と共に潜水艦が有効とかなんとかでやや焦ったが、まぁ今回はそんな事はないだろう
「オマエらぁ、必要になったら即呼び戻すからな、それだけはアタマに入れとけよ」
「ウェーイ!」
「ウェーイ!」