不健全鎮守府   作:犬魚

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ヒロ引力に魂を引かれた俗物の為の回

【登場人物】

鈴谷(32)
金と権力とカレーが好き、金さえあればカレーばっか食っている

提督(91)
カレーは最終的にはご家庭のカレーが普通に美味いなに行き着く

山風(6)
激甘


提督と鈴谷と表裏一体

「ヒロインとは何か!?」

 

週末から新たな作戦が開始されるとの話を聞いたので執務室で真面目に仕事をしていると、重厚な扉を勢い良く開き、遊ぶ金が欲しそうなJKみたいなのがワケわからん事を叫びながらズカズカと入って来た

 

「お久しぶりです!鈴谷だよ!」

 

「ノックしたまえ、ノックを」

 

「鈴谷が遊びに来ましたよ!」

 

「近い、距離が近い、なんなんだテメーは」

 

なんだコイツ、今日はやたらとグイグイくるな、誘ってんのか?

 

「約二週間ぶりのご無沙汰ヒロイン鈴谷が遊びに来たんですけど!!」

 

「うるせぇよ!なんなんだテメーは、何がご無沙汰ヒロインだ」

 

そう言えばここ最近コイツのツラ見てなかった気がするな、まさかシリアスパート中ずっとスタンバっていたのだろうか?

 

「スタンバってましたけど!鈴谷の出番を今か今かと待ってましたけど!気合入れて新品のパンツ穿いてましたけど!」

 

「そ…そうか」

 

「いつ出番が来てもいいように熊野とブルペンで投げ込みしてましたけど!」

 

「それは御苦労だったな、まぁ無駄だったがその頑張りは評価しよう」

 

俺は机の引き出しから板チョコを取り出し鈴谷に渡してやった

 

「あざーっす!あと、鈴谷新しいゲーム買いたいんでお小遣いとか頂けると嬉し…」

 

「調子に乗るな、ビッチが」

 

「ビッチじゃねーし」

 

鈴谷は板チョコの銀紙を剥がしてワイルドに板チョコをパキった

 

「そういやサミーは?」

 

「休みだ」

 

「ふ~ん」

 

アイツも最近忙しかったからな、たまには部屋でダラダラして飯食ってテレビ見てオ●ニーして寝たい日だってあるのだろう

 

「テイトク!カレー食いに行こーぜ!カレー!鈴谷カレーがめちゃ食べたい気分なんだけど!」

 

「カレーか……そうだな、そういや最近食ってねぇな」

 

「だっしょ?ね?カレー!カレー食べに行こ!鈴谷マジ今すぐカレーをかきこみたくてウズウズしてるじゃん!」

 

「なんでそこまでカレー食いてぇんだよ」

 

普段からシャブ入りカレーでも食っているのだろうか、コイツは…

 

「まぁいい、久々にカレーも悪くない、よし…行くか」

 

「よし行こう!すぐ行こう!鈴谷マジ美味い店知ってるし!」

 

「は?」

 

「は?………え?カレー食べに、行くんですよね?」

 

「行くけど?」

 

「あの…鈴谷もカレー食べたいかなって…」

 

ナニ言ってんだコイツ、イカレているのか?

 

「食べれば?」

 

「いや、食べますけど…え?提督、コレ、提督鈴谷に奢ってくれる流れとかじゃ…」

 

「ないけど?」

 

「ない……ッ!?」

 

「奢りませんが?」

 

「奢ってくださいッ!」

 

鈴谷はナイスガッツ体育会系部員のように気合を込めて頭を下げた

 

「鈴谷お金無いんです!でもカレーがめちゃ食べたいんですッ!もう食べたくて食べたくてたまんないですッ!」

 

「そうか」

 

「そうです!」

 

「お前のそのアツい熱意はたしかに伝わった!」

 

「じゃあ…」

 

「…調子に乗るな、ビッチが」

 

「ビッチじゃねーし!!熱意伝わったんじゃねーの!?」

 

「伝わったよ、だがそれとこれとは別だ、俺はBitchには厳しい男でな」

 

「発音ッ!発音が流暢ッ!?」

 

俺はカレーを食いに行くべく席を立ち上がり、壁に掛けていた上着を手に取った

 

「ちょ!待てよ!」

 

「待たない、俺は腹減ってんだよ」

 

「勝負ッ!なんか勝負しよ!勝負!鈴谷が勝ったらカレーを奢るで!」

 

「じゃオマエが負けたら俺に奢れよ」

 

「う゛っ!?」

 

「言っておくが俺はメチャ腹減ってるからここぞとばかりに食うからな、大盛を」

 

「………パンツ脱ぐとかじゃダメですか?」

 

俺はゆっくり首を横に振り静かに言った

 

「駄目」

 

「そこをなんとかッ!!何卒ッ!何卒お願い致しますッ!あ、そーだ!足を舐める!足を舐めます!どーよ?」

 

コイツプライドとか無いのか…一体何がコイツをそこまで追い詰めているのだろう

 

「だいたい、お前が勝てば問題無いだろう?」

 

「…たしかに」

 

「じゃ、俺も暇じゃねぇしジャンケンでもすっか?」

 

「ジャンケンか……ちょっと待って、鈴谷ジャンケンはワリと得意だけど提督はどうなの?」

 

「まぁ…普通じゃね?勝ったり負けたり」

 

「………乗った、いいよ、ジャンケンで!」

 

「じゃいくぞ、最初…」

 

「ちょい待ち!」

 

「なんだよ?」

 

「最初はグーで?最初から!っとかナシで」

 

チッ…勘の良いヤツだ

 

「最初はグーで一回勝負な、コレでいいか?」

 

「あと、イカサマは無し!コレ大事じゃん」

 

「ジャンケンでどうやってイカサマすんだよ」

 

「あと、邪眼禁止」

 

「疑り深いヤツだな、もう邪眼かもよ?」

 

「今邪眼中なら鈴谷の勝ちだからね!いい?」

 

「わかったわかった、俺は腹減ってムシャクシャしてんだよ、いいからヤるぞ」

 

鈴谷は右手を引いて、ありったけを込める…コイツ、この勝負で終わってもいいと言うのか!?そこまでの“誓約”と“制約”を賭けるのか!

 

「最初は…」

 

「グー…」

 

「ジャンケン、ポン」パー

 

「ポン」グー

 

「はい俺の勝ちな」

 

「あ…?あ…?」ぐにゃあ~

 

コイツ………よわっ

 

「あ…あ…あああああああああ」ポロポロ

 

鈴谷は床に手を付き、その慟哭に執務室が震える

 

ゴン!ゴン!

 

「入ってます」

 

「…提督…あ、居た」

 

「何の用だ?」

 

お気に入りのキモい生命体を抱えた改白露型の小さなグリーンジャイアント山風

 

「…なにしてんの?なんで…そのおねえさん泣いてんの?」

 

「腹痛いんじゃねぇの?カレー食いに行くがお前も来るか?」

 

「…行く」

 

「ちょ!!ま!待て!ちょ!待てよオイ!オイコラァ!なんで鈴谷に奢らないでそいつはフツーに奢るの!?」

 

慟哭タイムから再起動した鈴谷がなんかよくわからん事にキレて俺の胸倉を掴む、っーか近い、顔が近い

 

「奢るとは一言も言ってないぞ」

 

「でも出すんでしょ?」

 

「そりゃオマエ、子供に払わせるのもなぁ~」

 

「ちょっとチビスケ!この鬼畜眼鏡に鈴谷にも奢ってやれって頼んでよ!このロリコンヤローに!」

 

「わかった、お前にだけは絶対に奢らん、そのまま飢えて死ね」

 

「じょ…冗談です、ヘヘ…冗談ですよテイトクぅ、あ、パンツ見ますか?鈴谷のパンツ」

 

「…おねえさん、カレー食べたいの?」

 

「そうですが?」

 

「…提督、おねえさんも食べたい、って」

 

「そうらしいな、まぁいい、3人で食いに行くか」

 

「激甘かッ!?」

 

「なんか言ったか?」ギロッ

 

「…いえ、何にも言ってないです、はい」


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