不健全鎮守府   作:犬魚

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今年最初の夕張のハッキリ言って自信作回

【登場人物】

夕張(13)
好感度0、調教度MAXの超ド級M、ある意味ではまごうこと無き天才

五月雨(33)
誇り高き殺人バリスタ、その高い尊厳を生かす方向が致命的に間違っている


提督と夕張とサイボーグ怪獣

「新しい装備を開発しました、ハッキリ言って自信作です」

 

食堂で五月雨と七草粥を食い、今年の健康についてアツい議論を交わしつつ執務室に戻るとカルマ値がヤバい感じで高いマイナス数値を記録する軽巡夕張がやって来た

 

「見せてみろ、使えねーモンだったらテメーのケツ………いや、アツいシェイクハンドをしてやろう」

 

「え゛?」

 

「え?じゃねーよ」

 

「そうですか…」

 

なんで残念そうなんだコイツ、やっぱとんでもねード変態だよ

 

「いいからとっととその自信作を見せろ、俺は忙しい」

 

「特にやる事なんて無いじゃないですか、NARUT●の続き読むとか言ってませんでした?」

 

「サミダンバインくんは黙ってろ、暇なら夕張にコーヒーでも淹れてやれ」

 

「五月雨です、そうですね、では…」

 

「あ、結構です、五月雨ちゃんのコーヒーマズいんで」

 

ガチャン!!

 

甲高い陶器が割れる音が鳴り、いつぞやにデパートに行った際に奮発して買ったらしいお気に入りのウェ●ジウッドのティーカップが砕け散った…

 

「今……なんと?」ブルブル

 

あまりの衝撃に、五月雨の肩が小刻みに震えている、まさかここまでハッキリ言うヤツはそうは居ない…

 

「まぁそんなコトより今回の自信作はスンゴイですよォー!」

 

「いいからモタモタしてねーで早くしろよクソが」

 

「では今回の自信作はこちら!ガイ●ーンッッッ!!起動ゥゥゥ!」

 

どーん!!

 

破壊音と共に窓の外にそびえ立つ強大な影!力強さを感じる濃紺っぽい外皮、必ず殺っちゃうぞと決意を秘めたカマみてーな両腕、ゴーグルのような単眼、見るからに悪役の雰囲気を持つ巨大怪獣ッッ!!

 

「…足があるな」

 

「足なんか飾りです」

 

「ハッキリ言う、気に入らんな」

 

バカだバカだと思っていたが、そういやコイツ、前にウチの資材でモ●ラ作った事もある本物のプッツンヤローだったな、その才能をより良い方向に使えば地球だって救えたかもしれんのにな…

 

「名付けてェ!サイボォーーーグ怪獣ッ!ガ●ガンですーっ!」

 

「知ってるよ、昭和の頃からな、っーかテンション高けぇなオイ!」

 

「こちらのガイ●ン、まぁ上手に使えばメッチャ強いです、空母ヲ級ぐらいなら鼻息1つでフランスまで飛ばせます」

 

「すげーな鼻息」

 

「さらに!両腕のカマはより凶悪なチェーンソーに換装できます」

 

ジャキィーン!!

 

「そして!胸から丸ノコみたいなの鋭利なヤツが飛ばせます!」

 

ギュウウウウン!!

 

「…昭和の面影を残す素晴らしい造形だ、誉めてつかわす」

 

「恐悦至極」

 

「…で?コイツの欠点はなんだ?」

 

「そうですね、バカなトコでしょうか?」

 

やっぱあるんだな、欠点

まぁコイツの作るアホ兵器なんだからあるに決まってるよな

 

「自分の武器で自分の首を落としてしまうぐらいバカです、ってか、コレX星人じゃないとまともに言うコト聞かない感じなんですよね」

 

「なんだよX星人って…コレ、オマエが作ったんじゃねーのかよ。」

 

「まぁだいたい一万二千年ぐらい前にX星人が地球に侵略してきた時に蛾みたいヤツにやられて海に沈んでたのを私が回収して修理しました」

 

「つまりなんだ?今のコイツは手のつけられないモンスターってコトか」

 

「あ、その辺は大丈夫です、自爆スイッチつけましたから、コレ押したら自爆します、半径3キロの生物は確実に死滅します」

 

「今それ押したらマジ殺すからな」

 

コイツ…なんてモノを作りやがるッ!当然ガイ●ンの事じゃあない!ガ●ガンに取り付けているモノの方だッ!!

 

「これはもうアレですかね?もうオシオキ確定ですかね?確定ですよね?」

 

夕張は気持ちの悪さと邪悪さが絶妙に混じり合った笑みを浮かべてウヘウヘ言いながら不気味に口角を上げる

 

「…バカヤロウ、ドMのド変態のア●ルフェチだとは思っていたがまさか基地と引き換えにこの俺を脅すとは…」

 

当基地に迫る最大の危機、選択を間違えた瞬間ドカン確定のこの場面、俺は夕張をアツく抱き締めた

 

「な゛!?」

 

がばっ!!

 

「そんなバカを、それでも愛そう」

 

「な…な……?」

 

「基地ごと自爆しようなんざアホなコト考えやがって、だがなぁ夕張よ、オレ達は家族だぜ、家族を巻き込んで自爆なんかしちゃあならねぇ…」

 

「て……テイトクッ!!」ポロポロ

 

俺のアツい説得を聞いてくれたか、夕張はアツい涙を流してフラフラと歩きながらスイッチから手を離…………さない!

 

「テイトク……なんか手にスイッチあると無性に押してみたくないですか?なりますよね…?なりますよね?」ブルブル

 

「バカ!!やめろォォォ!!」

 

コイツ!!押しボタンを見ると連打するタイプかッ!!

 

「いいや限界だッ!押すねッ!!」

 

「やめろォォォ!!」

 

ドカッ!!

 

「あ」

 

突如として繰り出されたキックに、夕張の手からスイッチが蹴り飛ばされた

 

「…夕張さん、私の聞き間違いだと思うのですが、私のコーヒーが、不味いと…?」

 

五月雨ェ…まったく、やれやれだぜ、やはりオマエは頼りになるヤツだよ、ムカつく程に

 

「ちょっとお話があるんでいいですかね?」

 

「ちょ!ちょい待ち!ちょい待ち五月雨ちゃん!今ちょっと取り込み中…」

 

「提督、少し夕張さんとお話があるので席を外します」

 

「ちょ!痛い!ナニこのパワー!?五月雨ちゃん!肩!肩砕ける!肩砕けるゥゥゥ!!」

 

「あぁ、行ってこい、あと、夕張のクソはガイ●ン処分するまで帰ってこさせなくていいぞ」

 

五月雨はズルズルと不気味な音を立てて夕張を引きずりながら退出して行った………窓の外には唸りを上げてそびえ立つガイ●ン、海軍基地とは思えないシュールな光景だ

よし、NARUT●読むか!


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