帰ってきたワイルド足淀回
【登場人物】
足柄(3)
通称、ワイルドウルフ
妙高姉さんから子持ち処●とディスられている
大淀(3)
通称、デスマシーン
愛車はス●イラインR30
「うっお―っ!! くっあ―っ!! ざけんな―っ!」
「オイ!足柄サンがまた荒れてんべ!」
「超怖えー」
妙高型重巡の三番艦、足柄、通称ワイルドウルフ、かつて裏社会一帯を牛耳る暗黒の帝王をシュトロハイム城ごと倒した事もあり駆逐艦のキッズ達から憧れの対象とされている
「どうしたァ?足柄ァ…」
荒れて椅子とテーブルに当たり散らす、そんな近寄り難い足柄に平然と近寄るインテリ眼鏡系軽巡、大淀
足柄とはベストなフレンド、略してベストフレンドの関係らしく、昨年末も二人でおせち料理の買い出しに市場へ行き、お気に入りの服の袖をギザギザにして帰ってきた
「まぁそうクサクサすんなよフレンドォ~…見ろ、キッズどもがビビって楽しいビンゴができねぇじゃねーか?」
大淀は右手の親指を震えながらパンツに黄色い染みを作る駆逐艦のキッズ達に向ける
「そうね、フッ、私としたコトが…」
足柄はポール・ス●スの財布から数枚の紙幣を取り出し、一番近くに居た満潮にスタイリッシュに投げ渡した
「オマエらァー!コイツでバーガーでも買いなァー!」
「ヒュー!足柄サンオトコマエーッ!」
「さすが足柄姉サン!愛すべき永遠の餓狼ーッ!」
キッズ達は足柄に頭を下げてキャッキャとハシャぎながらファーストフード店へと走って行った
「…で?ナンで荒れてたんだオメー?また合コンでも行ったのか?」
「あ゛?行ってねーし」
大淀は手近な椅子に腰を下ろし、机の上に置いてあったピーナッツを指で弾き、口を開けてダイレクトに口に放り込んだ
「昼間、キヨシとアサシとカスミとデパートに福袋買いに行ってよぉ~」
「は?なにそれ?聞いてねーんですけど?」
「は?」
「は?じゃねーよ、なんで誘わねーの?足柄オマエコラ、ちょっと舐めてね?この大淀サンを軽く見てね?」
大淀と足柄のメンチ合戦は思わずイタズラなKISSをしてしまいそうな距離まで迫り、お互い気持ち悪くなってやめた
「で?デパート行って福袋買ったんか?」
「買ったよ、福袋、C●ACH入ってた、C●ACH」
「ヒュー、いいじゃん」
「で、キヨシとアサシが上でメロンソーダにアイス乗ったなんかほら、アレだよ、アレが食いたいって駄々こねるから上に連れてったワケよ」
「フロートなフロート」
「それな!それ、フロート!まぁ、私も目当てのヤツ買ったしちょいゴキゲンな気分だったワケよ」
足柄はお気に入りのマイ●ンのカップにミルクを2つ入れてグルグルとかき混ぜる
「で、エレベーターで上に昇ってたら屋上でなんか豪華景品が当たる抽選会があるよーとかなんとかアナウンスが言ってんのな」
「あー」
「それ聞いたキヨシとアサシのテンション上がりまくり、クジ引きたいクジ引きたいうるさいワケよ」
「まぁそうなるわな」
大淀はお気に入りのティフ●ニーのカップにコーヒーを注ぎ、角砂糖を3つ入れてグルグルとかき混ぜる
「で、あんまうるせぇから屋上行ったワケよ」
「ふ~ん」
「まぁ豪華景品とか言ってもギフト券とか宿泊券みてーな景品だったからアサシとキヨシ超ガッカリ」
「まぁ、キッズには興味ねぇわな」
「ただ、4等のなんかキッショイ鳥のヌイグルミ見たカスミがめっちゃソワソワしてんの」
「キッショイとかゆーなよ」
「それ見たキヨシとアサシのバカどもがカスミあれ欲しいんかーとか煽る煽る、マジ煽ってカスミ半ギレ、あんな鳥欲しくないわーって目ウルウルさせてガチ泣き」
「あー…あるある、あったわー、私もまだ近所で評判の美少女だった頃にガッコでそんな感じの煽りあったわー」
「は?」
「は?じゃねーよ、なんだその顔、オモテ出ろ、タイマン張ろーや」
大淀と足柄はアンアン言いながらメンチを切り合い、5秒程して途中で面倒くさくなったのか、互いにコーヒーを豪快に飲み干してひと息ついた
「で、とりあえずキヨシとアサシにゲンコ入れてカスミに頭下げさせて握手させた後にクジ引いたワケよ」
「ま、キョーイクは必要だわな、で?引いたの鳥?」
「あ?4人ともティッシュでしたけどォー?」
「引いとけよ!そこは引くトコだろ、ガッカリだぜーッ!足柄ガッカリだぜーッ!そこはオマエがママになるトコだろォ?空気読めよォ~」
「まぁ落ち着けって、この話には続きがあんだよ、っーか誰がママだ、ブッ殺すぞ任務眼鏡」
「あ゛?」
「あ゛?じゃねーよ、ヤんのかコラ?立てよ、ほら、処●捨てる前に眼鏡なんか捨ててかかってこい、ほら!」
「●女じゃねーし、処●とか入隊前に捨てたし」
「…は?マジで…?」
「マジ」
「え?ナニ?バ●ヴで?え?バ●ヴだろ?あのベッドの下にあった太っといヤツ」
「なんで知ってんだよッ!」
「ほら!あんトキ!夏休み夏休み!オマエんち行った時にオマエがウ●コしに部屋出た時にエロ本ねーかなと思ってベッドの下漁ったら出てきた、アレはマジ引いたわー、あの極悪サイズはマジ引いたわー、羽黒でもあの凶悪サイズはないわー」
「使ってねーから!未使用だから!アレちょっと興味で買っちゃった感じのヤツだから!ほら!通販ってまとめたら送料お得やん?」
「あーはいはい、お得お得」
「ってか!そのハナシはいいから、クジ引きの続きは?」
大淀は再び注いだコーヒーにドボドボと角砂糖を入れガチャガチャとかき混ぜた
「あー…クジね、まぁ結局4等当たらなかったからカスミマジガッカリ、キヨシとアサシが元気だせよーって励ましてんの」
「仲良いなアイツら」
「で、帰ろうとしたら丁度キッショイ鳥のヌイグルミ持ったガキ肩車した提督とバッタリ遭ってよォ~」
「そういや昼間見ねぇなと思ったらナニやってんだよあのオッサン、っーかなんでガキ肩車してんだよ?隠し子か?」
「いや、なんかほら、ウチにいるヤツ、なんかほら、緑のアタマしたヤツ」
「あのパンツ見せるのが仕事のJKみてーなヤツ?」
「違う違う、ほら、なんか最近配属された目ツキ悪いガキ」
「あー…いたいた、いたわ、そんなの、ナニ?あのオッサンやっぱロリコンなの?」
「なんか改白露型?改白露型の白いのに頼まれて一緒に福袋買いに来てたらしーのな」
「あー…あのラノベヒロインみてーな美少女、海ナントカ」
「それそれ、その海ナントカはもう1人の妹連れて下で服買ってるらしーで、提督はその間に緑のヤツと屋上でゲームやってたんだと」
「マイホームパパか」
「で、なんかクジ引き始まったから引いたらキッショイ鳥のヌイグルミ当たったらしいのな」
「ふ~ん」
「で、ウチのカスミがそれマジ欲しがっててこのままだとこのデパートが戦場に変わるって頼んだらくれたワケよ」
「脅してんじゃねーよ」
「大丈夫だって、緑のガキも普通にキッショイからいらないって言ってたし、あ、ちなみにコレ写真な」
足柄はスマホで撮影したヌイグルミの画像を大淀に見せた
「…キッショイな」
「キッショイだろ?で、その後、フードコート行ってキヨシとアサシにここぞとばかりに注文させて提督に全額負担させて帰ってきた」
「オマエ、マジワイルドウルフ」
「やっぱガキども連れてデパート行くモンじゃねぇわ、大淀、次ゼッテーオマエ連れてけよ、マジで」
「は?私の鉄仮面ガキは出禁だし」
「は?じゃねーよ」
「ふ〜ん、あ、そうそう来週イケメン将校と合コンあんだけど…」
「マジ?行けるっしょ!っーか行くっしょ!」