不健全鎮守府   作:犬魚

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今年最後の先生回
伏せ字の多い熱血指導

【登場人物】

鹿島先生(10)
一見まともなものの、完全にあちら側に両足突っ込んだ素敵な先生、陸奥とは世代が違う

香取先生(11)
眼鏡がステキなエレガント教師、なんやかんやあるものの、キッズ達からの信頼はアツい


鹿島先生と熱血指導と余計なお世話

皆さんこんにちは、鹿島です、皆さんはステキなクリスマスをお過ごしになられましたか?私は適度にお酒と料理を頂いて部屋でハイ●ュー!!見てました

 

「おはよう、鹿島」

 

やや寝不足気味の眼を拭い、欠伸をしていると香取姉さんは既に起きてビシッとした格好をしていた…香取姉さんの朝は早い、毎朝のランニングとストレッチをこなし、私にアツい珈琲と焼きたてのトーストを毎朝用意してくれる、色々差し引きするものはあるがそれを引いても自慢の姉だ

 

「…今日から冬期講座だっけ?」

 

「そうよ、姉さんは先に行ってるから鹿島は後からいらっしゃい」

 

「…うん、わかった」

 

トーストを珈琲で流し込み、イマイチまだ覚醒しきれない頭で返事をすると香取姉さんは愛用の鞄を持って立ち上がった

 

「あ、冷蔵庫にヨーグルトが入っているから、後で食べなさい」

 

そう言い残し、香取姉さんは部屋を出て、颯爽と職場へと向かった…

正直、姉がここまで完璧だと尊敬と同時に自分に対してそれなりにヘコむものがある、ただ…姉さん、男の趣味悪いんだよなぁ~…なんでだろ?

 

◆◆◆

 

「いいかクソ虫ども!私の楽しみは貴様らの苦しむ顔を見ることだ!ジジイの●●●●みたいにヒイヒイ言いおって!みっともないと思わんのか!この●●めッ!」

 

講義の準備を済まし、冬期集中講座というのが行われてる基地内にある特別訓練棟、通称“夢島”なる場所に行くと、駆逐艦の子達が丸太を持ってヒーヒー言いながら走っていた

 

「このグズどもが!トロトロ走るんじゃない!●●●か!この●●●●●がッ!」

 

…未だに思うのだが、オンの姉さんとオフの姉さんがとても同じ人物だとは思えない…

 

「…重いっぽい、重いっぽい」

 

「クッ!香取ーヌのヤロー、ワシらをなんじゃと思っちょるじゃあ」

 

「ミカのヤツ、ただでさえ重い丸太を持ってるって言うのにあのスピード、やっぱすげぇよミカは、ハンパじゃねぇ…」

 

うわ、なんか1人だけスゴい子がいる、なんでアホの祭典とまで呼ばれる冬期集中講座に来てるんだろ…?あぁ、そっか、アホなんだ

あ、誰かコケた!姉さん!1人コケちゃったよ!

 

「ぅぅ…」

 

「フン…所詮は貴様の根性などその程度、部屋に帰ってお前が大好きな速水●ロとやらの抱き枕でも抱いて寝るがいい……ま!もっとも!貴様のような腰抜けが惚れているプリ●ムボーイだ!さぞや救いようのないヤンホモなのだろうなァ!」

 

「なん…だとッ!」ギロッ!

 

「ヒィ!!弥生がキレたびょん!!」

 

「何度でも言ってやる!速●ヒロはヤンホモだ!違うと言うのならガッツを見せろォ!!」

 

「クソッ!クソッ!クソォォォ!!」

 

弥生ちゃんは丸太を抱え、再び走り出す…うん、まぁ、ヤンホモだけどね、速水ヒ●は、ごめんね弥生ちゃん、私、カ●キ派なんで擁護できない

 

「…ほぉ、さすがは香取先生、素晴らしい熱血指導ぶりだ」

 

「あ、提督…」

 

手に持ったファイルを見たところ、基地内の設備点検でもしていたのであろう提督がこっちに歩いて来た

 

「お疲れ様です、香取先生」

 

「あら、提督、こんなところまでご足労頂くなんて…」

 

「いやぁ、たまには先生の熱意溢れる指導ぶりを拝見したくなりましてなぁ」

 

「あらあら…」

 

香取姉さんはアラアラウフフといつものエレガントモードに切り替わっていた

 

「あ、そう言えばコレ、昨日の残りのシュトレンなんですが…」

 

「あらあら、もう!お気遣いまでさせてしまって」

 

「鹿島先生もどうぞ」

 

「あ、はい、ありがとうございます」

 

「オイゲンのダボが無駄に大量に作ったらしく、いっぱいあるんで、休憩時間にクソガキどもにも…」

 

「まぁまぁまぁ…」

 

所謂、恍惚のヤンデレポーズに近いポーズで香取姉さんは余り物のシュトレンの差し入れに感動している……いや、ホント、何がいいんだろう?香取姉さんの男の趣味だけは理解できない

 

「では………喜べクズどもーッ!提督からシュトレンの差し入れがあった!終わった者から休憩時間に入って食ってよしッ!」

 

たぶん、朝から何も食べていないであろう駆逐艦の子供達は今の香取姉さんの声に反応し、文字通り、目の色変えて走り出した

 

「それでは提督、ここではなんですから、どうぞあちらへ…あ、珈琲もお淹れしますね」

 

「いやぁ、恐縮です」

 

…いや、ホントわかんない

 

‐‐‐

 

そして…

 

『私はお前らを憎み軽蔑している!私の仕事は…貴様らの中から●●●●●野郎を見つけ出し切り捨てる事だ!』

 

『貴様らは人間ではない!兵器だ!殺戮の為のマシーンだ!』

 

『なんだその●●●はァ!!立て!それともそのまま●●●野郎になりたいか!この●●●がッ!』

 

後日、香取姉さんの熱血指導の甲斐あり、あの、可愛かった駆逐……いや、元々そうでもないけど、とにかく駆逐艦の子達は誰も彼も一人前の面構えを見せるようになった…

 

「ただいまぁ~」

 

「お帰り、香取姉さん」

 

「あら?今日はカレー…?鹿島が作ってくれたの?」

 

「まぁね」

 

まぁ、香取姉さんが作るのと違って普通に市販のルーの普通のカレーですけど、女子力なんて言葉が世の中にはあるけど、正直、コレぐらい作れれば問題無いと私は思っている、市販品ならカレーは不味く作る方がよっぽど難しい

 

「…ところで香取姉さん」

 

特に気兼ねない姉妹の食卓、仕事の話やらSM●P解散の話やらしていたが、私は前々から不思議…いや、不審に思っていた事を香取姉さんに聞いてみる事にした

 

「なに?」

 

「香取姉さんは、その……提督の事をどう思ってる?」

 

「…そうねぇ」

 

ここでケッコンしたいだのまぐわいたいだの言われたらどうしよう…?

これは賛成していいのだろうか?

 

「とても尊敬していますよ?」ニコッ

 

「そ…尊敬?」

 

予想外の回答ッ!!尊敬?尊敬って……え?好意?好意的ではあるけどアレ?LikeであってLoveではない的な?う~ん、そうなのかなぁ、Likeであの表情は…?

 

「へ…へぇ~、尊敬かぁ~、その…どんなトコが?」

 

「そうねぇ…その話、幕末ぐらいから始まるから長くなるけど、いい?」

 

「なんで幕末ッ!?」

 

結局、香取姉さんからは何も聞けず、その日の話は終わり、逆に、香取姉さんからは休日にゴロゴロしてワ●トシくんワカ●シくん言ってないで合コンにでも行って来いと返された、余計なお世話だよ!


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