【登場人物】
扶桑(4)
菩薩、菩薩オブ菩薩
山城(4)
妹、筑摩とは違うベクトルの妹、この世には姉様と自分とその他しか存在しない
提督(76)
連続登板の連続ビンタの敗戦提督
コマンダン・テスト(2)
名前だけ登場、サンタコスをしているらしくキッズ達の人気も高い国際派エリート
「…山城、実は昨日、サンタさんにお会いしたのよ」
「なんと!?サンタさんは清い心の持ち主の前にしか現れない存在と聞きます、さすが姉様、この世で最も清い心をお持ちでいらっしゃる」
「…せっかくお会いできたのでくりすますには妹が前々から欲しがっていた物を是非にとお願いしたの」
「尊いッ!!さすが姉様……この世で最も尊い御方でいらっしゃる!」
◆◆◆
「っーワケよ、クソ虫」
「誰がクソ虫だ」
暖かさの欠片も感じない匠の造ったコンクリート執務室、やって来た扶桑姉妹の妹の方は今にも反吐が出そうと言った感じの態度の悪さでコトの次第を淡々と説明した
「サンタとかいるワケねぇだろ?バカじゃねぇの」
「いるのよ、少なくとも姉様が見たサンタが」
「サンタねぇ」
まぁ、最近サンタのコスプレしたヤツがやたらとうろついているからそいつらだろ
「姉様が言うには日本語が通じなくて困ったけど一生懸命お願いしたらD'accordと了解してくれたらしいわ」
「何語だよ!っーか発音いいなオマエ!」
「フランス語よ、それぐらいわかりなさいよクソカス」
「わかるかボケ、俺は英語少々なんだよ」
しかしフランス語か…なんか最近フランス語について困った事があったような気がするな
「それ、コマンダン・テストさんじゃないですか?」
「なに?」
「知ってるの?さみ……さみ、アナタなんだっけ?」
「五月雨です」
五月雨はクロスワードパズルを解くペンを置き、微妙に背中を伸ばして椅子に座り直す
「たしかコマンダン・テストさんもサンタっぽい格好してましたよ」
「そうなのか?」
「さぁ?私、姉様以外の存在は便所に吐かれたタンカスより興味無いから」
とんでもない妹だよコイツ、どんだけ姉様以外のその他に興味無いんだよ
「とりあえず、そのコマンドラカマンドラが犯人なのね」
「違うぞ山城、コマンダーテントだ」
「馴れ馴れしく私の名前を口にするな、ゴミが」
「どちらも違います、コマンダン・テストさんです」
五月雨曰わく、そのコマンダン・テストさんが最近サンタルックでブラブラしており、キッズ達のハートを鷲掴みにしているらしい
「なるほど…つまり姉様は低俗なコスプレとは違うモノホンの外国人のサンタだから本物と思い込まれてしまった可能性が高いと」
「まぁ、ありそうだな」
「さすがは姉様、見る目が違っていらっしゃる」
まぁ、そのコマなんちゃらサンタも低俗なサンタコスなんだろうが…
「で?どうすんだ?そのコマさんを実はコマさんでしたと説明すんのか?」
「は?死ねよオマエ」
「ツッコミが厳しいッ!!なんなんだオマエは!?」
「姉様がサンタを信じる以上、私もまた、サンタを信じる姉様を信じるのが必然…」
「なんだそのオマエの信じるオレを信じろ的な解釈は…」
「クソ虫、そのコマンちゃらなんちゃらにプレゼントを持って来させるのよ!」
「アホか、自分で頼めよ」
ビタンッ!(ビンタ)
「パウッ!!」
「いいから、金なら出すわ、そのサンタデリバリー料金とプレゼント代、現金でいいの?」
コイツ…自分のプレゼントを自分でッ!コイツの覚悟はホンモノだ!自分の為じゃあない、全てが姉の為、オールフォー姉!ワンフォー姉の違法建築艦橋のような揺るぎ無き気高き精神ッ!
「山城ォ!オマエの命賭けの行動ッ!僕は敬意を表するッ!」
「馴れ馴れしく呼ぶな、ゴミ」
そして、相変わらずコイツの俺を見る目と生ゴミを見る目は変わらない
「コマサンタについては俺から伝えておこう」
「頼んだわよ、あ、あとそのコマなんたらに日本語喋ったら“殺す”って言っておいて、姉様はモノホンのサンタと信じておられるから少しでも疑われる行動をしたら八つ裂きにしてケツの穴から角松ブッ刺して正月の愉快なオブジェにするわ」
「狂気かッ!!」
国際問題になるわッ!!陛下じゃないにせよ他国の預かり艦がそんなホラーな死に方してたら間違いなく俺のクビが飛ぶわ!
「あと、この話を聞いてしまったアンタと、え~サ、まぁいいわ、アンタ」
「五月雨です」
「この話を少しでも漏らしたら殺すわよ、知ってる?獅子舞って命を刈り取る形してるのよ?」
そう言い残し、山城は狂気と狂喜の入り交じったスキップをしながら去って行った…
「五月雨」
「はい」
「コマサンタを呼べ、今すぐ、難易度Aのミッションだ」
「最高難易度ですね…」