【登場人物】
提督(67)
だいたいモクモクしてるモクモク人間、キッズには比較的優しい
五月雨(29)
めざとく、は●た地鶏の串を穫ってきた
明石(5)
艤装を修復できる艤装職人
「さて諸君、まだ期間は残ってはいるが今回の本部作戦は終了だ、特に危なげな場面もなく安定したプレーで安心して見ていられた」
と、まぁ、いつものクソの役にも立たない挨拶はここまでにしてだ…
「こっから楽しいお給料の時間だァ!」
『『『ウェーイ!!』』』
五月雨は台車に乗せてあったジュラルミンケースを開き、欲望の魔王が解放される、唸り上げる現金ッ!キャッシュ!マネー!
「え~…今回のMVPチケットランキング第1位は~…長門ク~ン、はいみんな拍手ぅ~」
パチ…パチ…
いつもの渇いた拍手の中、ありがとうありがとうと手を振りながら壇上に上がって来た長門にジュラルミンケースから取り出した現金を渡す
「ちゃんと額数えとけよ」
本来ならば栄えある第1位は陛下にこそ相応しいと俺は考えていたが、陛下は自分はあらゆる賞を辞退すると事前に申されており、自分に支払われる給与の40%を福利厚生や作戦終了時の遊興費に使って欲しいと高貴な頭を下げられた……どこまでも尊い御方だ
「ビッグセブン!ビッグセブン!」
「まぁ長門サンなら仕方ねぇよ」
「やっぱ長門サンメチャシブいッス」
「ハッハッハ、ありがとう!ありがとう!」
アホな駆逐艦達のビッグセブンコールを受け、長門は感涙しながら陸奥に引きずられて壇上を去った
「えー…次、同率2位、高雄愛宕組、前に出ろ」
「ウィース」
「ぱんぱかぱかぱかぱんぱかぱーん」
ジュラルミンケースから取り出した現金を手渡す
「ヒュー!たまんねーぜ!オイ愛宕、バー●リーの財布買おーぜ」
「たまにはシャレオツなスカイタワーでディナーに行こーぜ!」
「ちゃんと額数えとけよ、はい次、名前呼ばれたらはい元気ですって言ってさっさと上がれよ~」
そして、淡々と給料が手渡されてゆき、最後の1人に小銭を手渡した
「最下位、初雪」
「…500円」
「以上、あと、ささやかではあるが忘年会も兼ねてパーリーの準備をしてある、節度とマナーを守って楽しく飲み食いするよーに」
「ヒャッハァー!水だー!」
「オイ誰だ!オレのからあげパクったヤツはァ!殺すぞォ!」
「クソッ!ありがてぇ!ありがてぇ!」
「…コレ、マカロフっーんすかね?うん、フツーに美味いっすね」
「ポーラァァァァァ!!」
…とりあえず、これで作戦終了だな、俺は既に魔界ゾーンへと化した体育館を出て煙草に火を点けた
「フーッ~…」
「お疲れ様です」
いつものように薄い気配と無駄に長い髪、五月雨は適当に取ってきたらしい焼き鳥を皿に載せていた
「おひとつどうですか?」
「貰おう」
「まぁ、レバーしかないですけど」
「オレ、レバー苦手なんだけど、っーかお前、手に持ってるヤツはレバーじゃねぇだろ?それよこせ」
「え?イヤですよ」
相変わらずイラッとくるなコノヤロウ…
「あぁそうそう、明日は新人さんの面接ありますから、最初ぐらいビシッとした格好でお願いします」
「あ゛?なんだそれは、いつもビシッとしてねぇってのか?」
「してないじゃないですか」
「わかったわかった、明日は新品のパンツ穿いて行くわ」
「パンツはいいですから服ッ!クリーニングしたのがあるでしょ!」
「はいはい」
まったく、うるせぇヤロウだな、オカーサンかっーの………ん?
「…ん?」
「なんですか?」
「オマエ、なんか変な音しないか?」
「なんですか変な音って、失礼な」
なんだろうな、たしかに五月雨から微妙に耳に突くイラッとくる音が聞こえてくるような
「あ、もしかしてコレじゃないですか?」
五月雨はポケットから金属片みたいなモノを取り出した
「なんだそれ?」
「私の艤装の一部ですけど?」
「ふ~ん」
最近使ってないからいよいよ壊れたのか?
「その疑問については私がお答えしましょう!」
「げ、ゲェーッ!お、オマエはーッ!」
「明石さんじゃないですか」
振り返った先に立っていたのは大して働きもしてないのに汚く盛り付けした皿を持った工作艦、明石ッ!!
「それは、共鳴です!」
「共鳴、だと?」
「えぇ、白露型艤装が他の白露型艤装と呼び合うような共鳴、これは間違いなく同じ場所に全ての白露型艤装が揃った証拠です!」
「バ…バカなッ!最後の艤装がこのサンクチュアリに戻ってきたと言うのか!?」
幾星霜をこえて、今この時、この基地に全ての白露型艤装十体が結集したというのか!!
次回、サンクチュアリ激震!新艦面接!