不健全鎮守府   作:犬魚

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勝つ事とは鬼になる事

【登場人物】

香取先生(2)
通称、香取ーヌ先生
わからない事もわかるまで徹底指導!
できない子もできるまで熱血指導!
熱意が違う指導法!
明確に提督への好意が高い珍しい人

鹿島(3)
大人気のフフ練巡
座学の講義にはだいぶ慣れた
最近、提督と話す時に視線が胸に集中している気がして悩んでいる
担当してるクラスでペアを作ってくださいと言ったらいつも1人だけ余る子がいるのも悩んでいる


香取先生と鹿島とチームワーク

午前と午後に行われる実戦訓練を兼ね備えた演習…

 

「相手が大和型だろーが正規空母だろーがビビってんじゃねーぞ、いいか?要は気合だ、必ず殺すっーカクゴ見せつけてやんだよォ~」

 

練習巡洋艦、香取先生の前に並ぶ駆逐艦達は皆、一様にドス暗い覚悟を秘めた瞳をしている

 

「か…香取姉さん、演習なんだからもうちょっと穏やかに……ほら、頑張ってね!とか、頑張りましょう!とか…」

 

鹿島にとって、今日は記念すべき初めての教導演習デビューとなる日

朝、提督から香取が担当する午前の部を参考にするといいと勧められ、鹿島は演習港へと来ていた

 

「鹿島ァ…」

 

「ヒッ!?」

 

「その通りね」ニコッ

 

鹿島の予想に反し、姉は素敵な笑顔で微笑んだ

 

「オマエらァー!頑張って殺すぞォー!」

 

「「「押忍ッ!!」」」

 

「頑張って!頑張って!コーロセ!」

 

「頑張って!頑張って!コーロセ!」

 

「違う!?なんか違う!頑張る方向が致命的に違う!?」

 

こうして始まった本日の演習…

 

「オイオイ、あの軽空ビビってんよォー!」

 

「撃ちごろ!撃ちごろ!シマっていこーぜェー!」

 

「ヘイヘイ!今の弾着!ボールとバットが5フィートは離れてたぜェー!」

 

この日の演習で鹿島が感じた印象は、第一に、口が悪い

とにかく相手を罵倒、挑発する

 

「オイコラ、テメーキヨシィ!今のキチッと殺しとけよ!寝ぼけてんのか?カス!」

 

「あ゛?守備ガバガバのテメーに言われたくねーよボケ、そのアホみてーな袖引きちぎってマニアに売るぞ」

 

「やってみろよ」

 

「やめぇや、ボンクラどもがァ」

 

第二に、とにかく仲が悪い

全員、とにかくMVPをとる事しか頭に無いらしい

 

「何がヤマトだボケ!退屈通り越してムカついたよ!」

 

「才能ねーカスはめでたくゲームオーバーだ」

 

そして第三に………でも強い

結果的に見れば5戦4勝、初戦こそ落としたものの、残り4戦は危なげなく勝利していた

 

「よォ~しクズども、よくやった」

 

「か、香取姉さん…クズとか言ったらダメだって…」

 

「鹿島ァ!」

 

「はぃ!?」

 

「アレ、持ってきて」

 

「あ…アレ?」

 

そう言って、香取が鞭差し先に置いてあったのは一般的なジュラルミンケース

鹿島は何のことやらよくわからないが持って来いと言うのなら必要なのだろうと納得してジュラルミンケースを香取に手渡した

 

「はい、ではお給料を渡します」ニコッ

 

「ハァ!?か…香取姉さん!?」

 

「まずは今日最もMVP獲得したのはぁ~………夕雲ォ」

 

そう言って香取はジュラルミンケースから取り出した札束を夕雲に手渡した

 

「ちゃんと額数えろよ」

 

「押忍、ごっつあんです」

 

「はい、次、かざぐ…」

 

「はい!ちょ!ちょ!待って姉さん!なにコレ!?なんなのコレ!」

 

「何って…お給料?」

 

「お給料ってなに!?こんなのおかしいよ!」

 

あきらかに駆逐艦のお小遣いの度を過ぎたビッグマネーの動くこの異常…

 

「先生、それについては私から説明しましょう」

 

「提督ッ!」

 

提督はコンビニの袋から缶コーヒーを取り出すと香取先生に手渡した

 

「お疲れ様です、先生」

 

「まぁ、お心遣い感謝致します」

 

「鹿島先生にはこちらを…」

 

「え?私にも…?」

 

そう言って提督から手渡されたのは……ユ●ケル

 

「先生はこちらがお好きだと聞いております」

 

「は…はぁ、ありがとうございます」

 

正直、微妙にうれしくないが鹿島は大人なのでなんとか笑顔で応えた

 

「それで、給料の話ですが~」

 

「そ、そうです!一体全体これはなんですか!?」

 

「鹿島先生」

 

「はい」

 

「チームワークとはなんでしょうか?」

 

「え?チームワーク………えっと、みんなで支え合うとか、一致団結して頑張るとか」

 

「不正解です」

 

「え゛?」

 

「鹿島先生にもいずれ本当のチームワークがわかる時が来るでしょう、その時に、もう1度同じ質問をします」

 

「は…はぁ?」


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