【登場人物】
足柄
通称、ワイルドウルフ
教室で授業なんてくだらねーコトはやめだ!外でバスケしよーぜ!
大淀
通称、デスマシーン
ランチャーやら爆雷やら用途に合わせられるマルチシルエット
「うっお―っ!! くっあ―っ!! ざけんな―っ!」
「オイ!足柄サンがまた荒れてんべ!」
「超怖えー」
妙高型重巡の三番艦、足柄、そのワイルドでウルフで初心者にも操作が易そうなファイトスタイルは駆逐艦のキッズ達から憧れの対象とされている
「どうしたァ?足柄ァ…」
荒れて物に当たり散らす、そんな近寄り難い足柄に平然と近寄るインテリ眼鏡系軽巡、大淀
足柄とはマジでダチ、略してマジダチの関係らしく、よく二人で合コンに行ってはお気に入りの服の袖をギザギザにして帰ってくる
「まぁ落ち着けや、周りのキッズどもがビビってるじゃねーかよォ?」
「あ゛?…なんだ、大淀か」
たしかに、ここは談話室と言う憩いの場であり、冷静になって周りを見回せば駆逐艦のキッズ達がビビっており、朝潮は漏らしていた
「悪い悪い、オマエらァ!コレでキャンディ買いな!」
足柄はバーバリーの財布から紙幣を出して一番近くに立っていた霰にスタイリッシュに投げた
「ヒュー!足柄サンオトコマエーッ!」
「さすが足柄姉サン!女の中の男ッ!」
キッズ達は足柄に頭を下げてキャッキャ言いながらキャンディを買いに行った
「…で?ナンで荒れてたんだオメー?また合コンでも行ったのか?」
「あ゛?行ってねーし」
大淀は手近な椅子に座り、眼鏡を外すと眼鏡をキュッキュと拭き始めた
「じゃナニよ?K●Fの招待状でも届いたのかよ?」
「いや、それは今回見送った」
「届いたのかよ…」
足柄曰わく、雑魚どもはキミと羽黒に任せるとのコトらしい
「昼間、キヨシとアサシと三人でデパートに買い物に行ってよォ~」
「なんで誘わねーんだよ、車出してやったのに」
「オメーの鉄仮面だと些か車高がアレだろーが」
「は?」
「は?じゃねーよ、眼鏡カチ割るぞ」
眼鏡を拭く大淀の手が止まり、眼鏡に亀裂と大淀の額にピキッ!パキッ!と血管が浮かんだ、しかし、さすがにインテリ眼鏡軽巡大淀、一瞬で平常へと戻った
「………で?ナンだ?」
「キヨシとアサシが屋上でヒーローショー見てーとか言うから見に行ったワケよ」
「ふ~ん、面白かった?」
「会場行くとなんか童心に帰れるわ、アレ」
「ふ~ん」
「で、ヒーローショーって言ったらほら、アレがあるじゃんよ?」
「なんだよ?アレって」
「怪人が子供攫ってステージ上げるやつ」
「あ~…あるある、あったわ、私も昔ショ●カーに攫われたわ」
「は?大淀ォ、ナニ言ってんの?」
「あ?攫われたし、私、昔から近所でかわいいかわいいって評判の美幼女だったし」
「フカシコイてんじゃねーよ」
「フカシじゃねーし、オメーこそ近所で評判のバラガキだろーが」
「近所で評判は妙高姉サンだし」
「あ~…ぽいわ」
「だべ?妙高姉サンマジやべーからな、今でも地元行ったら妙高姉サンマジレジェンドだべ?」
妙高型の頂点に君臨する長女、妙高
その旗の下に一時期は千人近い配下を持ったカリスマ
「で?ナンだっけ?ショ●カーに攫われたの?足柄が」
「違うし、アサシが攫われた」
「キヨシじゃないで?」
「キヨシはビビって戦闘員と目ぇ合わせられなくてめっちゃブルってた、で、アサシがキヨシを攫うならアタイにしろォってゴネてアサシが攫われた」
「イケメンか」
「で、攫われたアサシがステージでやめろーショ●カー!やめろー!アタイにエロいコトする気だろーって叫んで観客も怪人もマジドン引き」
「うわ…それはハズい、ハズいわ」
「周りの目が超アレなの?あのお母さんマジアレかしらみたいな目で超見られたわ」
「…行かなくて良かった」
「いたたまれなくて席を立とうとしたらキヨシがお母さんいかないで!お母さん捨てないでーって私の袖掴んでマジ泣き」
「うわ…」
「焦って強引にひっぺがそーとしたら、ぶたないでー!良い子にするからぶたないでーでガン泣き」
足柄は手に持っていた未開封のコークの缶をブルブルと震わせていたら握力でプルトップが開いて炭酸が漏れ出した
「で、トドメはアサシがステージでやめろー!キヨシをぶつならアタイをぶてー……もう会場的には怪人よか私の方がよっぽど怪人よ」
「うん…まぁ、それは怪人だわ」
「とりあえず、その後ヒーローが来てなんかグダグダな感じでショー終わったけど、ショ●カーも気を遣ってキヨシとアサシにお菓子あげてたわ、お菓子貰ったーって満面の笑みで言われた時はマジで顔面にスーパーバーンナ●クルぶち込んだわ、心の中で」
「心の中で済ませたオマエすげーよ、マジワイルドウルフ」
「二度とアイツらはデパートに連れて行かねー、大淀ォ、今度オマエ連れてけよ」
「ムリ」