不健全鎮守府   作:犬魚

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香取先生に秋ボイスがあるんだと今更ながら気付いて考えた結果の回

【登場人物】

提督(53)
趣味は読書と言う名の無趣味、なんでもチャレンジしたくない年頃

香取先生(9)
女教師プレイも大丈夫です、これ快男児

鹿島先生(9)
最近、鎮守府裏掲示板を見ながら転属について考えている


提督と練習巡洋艦と読書の秋

暇潰しに本を読んでいると香取先生から提督的には読書の秋でしょうか?と尋ねられたので、まぁそんな感じですと答えて栞代わりのレッドアイズ・ブ●ックドラゴンを挿して本を閉じた

 

「失礼します……あ、香取姉」

 

重厚な鋼鉄の扉がノックされ、書類の挟んだクリアファイルを持った鹿島先生がやって来た

 

「今日は香取姉さんが秘書艦なんですね、あ、コレ、提督の印鑑が必要な書類です」

 

本日、五月雨の野郎は休暇を取って朝から夕張のアホンダラと街のイ●ンモールに遊びに出かけている、そろそろ冬物でも買っておこうとか言ってたので夕張の腹巻きでも買うのだろう

 

「印鑑ね、印鑑…」

 

「こちらです、提督」

 

引き出しの中にしまっておいたと思いきや、そういやさっき使ったっけな

 

「やや!これはこれは、自分の机なのに、うっかりしてますなぁ、ハッハッハ」

 

「本当に、ウフフフ…」

 

さすがは香取先生だ、笑い声までエレガントでいらっしゃる

 

「うわっ…このイラッとくる小芝居」

 

「何か?」

 

「い、いえ!何でもありません!それよりも印鑑を…」

 

そう言って鹿島先生はクリアファイルから書類を出して机の上に並べた

 

「はいはい、っと……え~南区画下水道埋設、産業廃棄物処理、風俗営業許可……」

 

相変わらず自分の仕事が何かを考えさせられる書類ばかりだな…

 

「あ、その本…」

 

「本?」

 

「はい、その…提督のですか?」

 

鹿島先生は俺が机に置いていた本に何か気付いたらしい

 

「そうですか…いや、香取姉さんも同じ本を読んでいたので」

 

「ほぉ、そうですか?」

 

「えぇ、実は」

 

香取先生は口元を隠し、エレガントに笑う

 

「読み終えたらお貸ししなくても良さそうですね」

 

「そうですなぁ、ハッハッハ」

 

「ウフフフ…」

 

今度、香取先生と居酒屋にでも行ってアツい読了談義でもしよう

 

「…うわ、ホントイラッとくる、このトレンディ小芝居」

 

「何か?」

 

「いえ、なんでも」

 

「鹿島、鹿島も漫画ばかり読んでないで文芸でも読みなさい」

 

「べ…別に漫画ばかり読んでるワケじゃ」

 

まぁ、漫画でも読書には変わりない、俺だって毎週ジ●ンプ買うし

 

「姉さん知ってるんですよ、鹿島が通販で濃厚なホ●漫画ばかり買ってるって…」

 

「ア゛ァァァァァ!!ちょ!ちょ!待てよ!なんでそれ言うのォ!?」

 

「あ、それと昨日代引きで届いてたから姉さん受け取っておいたわよ?“真剣LOVE刀乱舞る‐尻闘三番勝負‐”」

 

「なんでタイトル言っちゃうのォ!!なんでタイトル言っちゃったのォ!?」

 

「だって、もし間違っていたら大変でしょう?」

 

妹の趣味にも理解ある香取先生の妹に対する悪意無き気遣いが重厚なブローのように鹿島先生のボディをしたたかに撃ち抜いている

 

「大丈夫よ、前に姉さんが勝手に中を見ちゃって鹿島が怒ったから今回はちゃんと開けずに鹿島の机の細くて尖ったもので開けないと発火する二重底に隠しておいたから」

 

「なんでバレてんのォ!?まさか………監視カメラッ!?」

 

「カメラなんかあるワケないでしょ?姉さん鹿島の考えるコトぐらいお見通しよ?だって姉さんだもの」

 

「怖い……怖いよ、香取姉ぇ、怖い」ガクガク

 

美しくもエレガントな姉妹愛だ、香取先生の深さを感じずにはいられないな

 

◆◆◆

 

近所のイ●ンモール

 

「いやぁ~良い買い物した、これで毎朝お腹痛いのも解消快便ね!」

 

ヒョウ柄の腹巻きを購入した夕張と五月雨はフードコートでたこ焼きを食べていた

 

ブーブー!

 

「あ、メールだ」

 

「なに?提督?」

 

「どうせたこ焼き買って来いとかそんな感じだと思いますけど…」

 

【たこ焼き買って来い】

 

「そんな感じでしたね」


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