不健全鎮守府   作:犬魚

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タイトルの時点で漂うカオス臭と生物としてのアイデンティティを問う回

【登場人物】

提督(50)
好きなジェノバはLIFE、嫌いなジェノバもLIFE

香取先生(8)
何故か好感度の高い先生、何故なのか妹にもわからない

秋雲(3)
男を描き続ける漫画を描き続ける漫画家、登場キャラクターはだいたい死はもとより覚悟の上


提督と香取先生と太古から来た究極生物

「てぇへんだてぇへんだー」

 

香取先生とアツい教育について話をしながら歩いていると、夕雲型のようで陽炎型な駆逐艦、秋雲が手ヘンがどうのと騒ぎながら走っていた

 

「何がてぇへんなんだ?」

 

「あ、テイトクと…香取ーヌッ!」

 

ビタンッ(指導)

 

「あぶろっ!!」

 

「香取先生だろうが?あ?」

 

「ぁ…ありがとうございますッ!」

 

香取先生の熱血指導は駆逐艦どもに十分行き届いているらしい、実に素晴らしい事だ

 

「で?何がてぇへんなんだ?深海の人が攻めて来たのか?」

 

「や、なんか寮のトイレに変なのが居るんすよ!」

 

「変なの?変質者か?」

 

長門のヤツ、とうとう盗撮ったのか…いつかヤるとは思っていたが

 

「いや、変質者じゃないで変な生物…?生物かな?たぶん」

 

「なんだ、長門じゃないのか?」

 

「なんでメチャシブの長門サンの名前が出てくるんすか?」

 

「気にするな」

 

「変質者ではなく変な生物とはどう言う事ですか?秋雲」

 

「とりあえず説明するよか見て貰った方が早いんで見に来てください!う●こしにくくて困ってるんすよ!」

 

まぁ、秋雲の説明よか実際に見た方が早そうなので俺と香取先生は駆逐艦の寮、通称、ハラキリ寮へのトイレへと向かう事にした

 

‐‐‐

 

「バスチャンちゃんビスケット食べるかな?」

 

「ハラショー、ビスケットよりパンが好きかもしれない」

 

「いや、バスチャンはグルメそうな顔しちょるけぇお好み焼きがいいじゃろ?」

 

寮のトイレの前に行くと、大なり小なりの駆逐艦どもがガヤガヤと集まっていた

 

「で?変な生物ってのはどれなんだ?」

 

「あ、テイトクだ」

 

「ハラショー、バスチャンならトイレの中に居る」

 

なんだ?そのネバーエンディングな名前は…?

とりあえずコイツらがナニ言ってるのかまったくわからないので、トイレのドアを開けてみると………たしかに一目でわかる変なのが居た

 

『我が名はアル●マ…時のかなたに忘れ去られし者…』

 

「…」

 

「…」

 

バタンッ!(ドア閉)

 

「先生」

 

「はい」

 

「今の、なんすかね?」

 

「ア●テマさんと名乗ってましたね」

 

うん、まぁ、名乗ってたよ、なんか変な牛みたいな牛じゃないみたいなワケのわからん歯車がクルクル回るみたいな生物が、明らかに深海の人より意志疎通が無理そうなのかッ!

 

「バスチャンだよ!」

 

「アル●マバスターゆーらしいイヌじゃあ!」

 

「どこがイヌだァァァァァ!!完全に魔獣とかそんな類のヤツじゃねぇかァァァァ!!明らかにファンタジーな世界観の住人じゃねぇかァァァァァ!!」

 

「提督、落ち着いて下さい、お水をどうぞ」

 

「ハァ…ハァ…ありがとう、香取先生」

 

っーか、なんであんなモンスターがトイレに居るんだよ、なんなんだよアレ?

 

「軍が秘密裏に造り出した生物兵器の類では?」

 

「生物兵器…」

 

さすがは香取先生、なんか納得出来そうな理由だ、しかし…何故うちのトイレに居るんだ?

 

「ありえないなんて事はありえなそうですな」

 

「えぇ」

 

とりあえず周りに居たキャッキャとハシャぐバカどもに話を聞くと、バスチャン(仮名)は昨日ぐらいから居た事、バスチャン(仮名)曰わく、造られてそう間もなくトイレに放置された事、バスチャン(仮名)は自分が何をすべきか考え続けているらしいとの事だ

 

「う~む」

 

そりゃあんな屈強そうなモンスターが造られてすぐにトイレに放置されたら己の存在意義について考えるわな

 

「どうしますか?提督」

 

香取先生は既に通販で買った禁鞭を取り出していた

 

「ねーテイトク!バスチャン飼っていいでしょ?」

 

「散歩にも連れて行くのです!」

 

「そうじゃあ!ちゃ~んと世話するけぇ!」

 

「ダメダメ、そんなコト言って、とっきゅんだって最初はみんなかわいいかわいい言ってちやほやしてたのに結局は長門が世話してるでしょ!」

 

「「「えー!!」」」

 

っーか、あんなワケわからんモンスターをペット感覚で飼えるワケねぇだろ、俺が怖いわ!

 

「…とりあえず、意志疎通できるみたいだし話し合いで解決してみるか」

 

「素晴らしいお考えです、提督」

 

香取先生は両手を頬に添えて恍惚な表情で来るべき対話に同意してくれた

バスチャン(仮名)の存在意義並みに、何が先生の好感度を上げているのか俺にはよくわらない

 

「…失礼しまーす」

 

『我が名はア●テマ…』

 

「あの…バスチャンさん(仮名)は一体どちらから?」

 

『我は何をすべきか考え続けた…永い間、考え続けた…』

 

ダメだ!会話にならねぇよォ!

 

『…その答えが、ようやく出たようだ…』

 

「あ?出たんですか?そりゃ良かった!」

 

バスチャン(仮名)の身体についてる歯車っぽい何かがカタカタと音を立てて回り始めた

 

BGM♪(決戦)

 

ん………?なんか心なしかボスバトル展開始まっちゃうよみたいな曲が流れてきたような…

 

『フレアスターッ!』

 

「ハアアァァァァァ!!なんだコイツ!!火ぃ吹いたぞォォォォ!?」

 

「提督、お下がりください」

 

「香取先生ッ!!」

 

愛用の禁鞭をペロリと舐め、香取先生がバスチャン(仮名)と俺の前に立つ

 

「提督にいきなり火を吹くとは、これは………少し厳しい“躾”が必要みたいですね」

 

この後、44分の激しい死闘の末、バスチャン(仮名)は香取先生の厳しい躾の前に倒され、倒された場所にはセーブポイントが産まれた

駆逐艦達の多くはバスチャン(仮名)の死を悼み、1日1回感謝のセーブをする事が日課になったそうだ


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