インターナショナルナイトクラブ回
【登場人物】
アクィラ(2)
面接以来の登場、イタリア勢の御多分に漏れない
グラーフ・ツェッペリン
ドイツからやって来た空母、顔色が悪い
本当はキッズ達にビスケットをあげたりしたいナイーブ
鎮守府内に存在する煌びやかな光を放つ夜の店、ナイトクラブHO‐SHOW…
『HO‐SHOWへようこそロミオー!』
軽空母、鳳翔がオーナーを務めるこの店は決して、キャバレーナイトクラブ、略してキャバクラではない
薄い酒と安いツマミをおっぱいの大きな女が勧めてくるだけの店だ
「いつもの」
「フーッ~…空いてるとこ座ってな」
さすがはビッグママ、俺の言いたい事は言葉ではなく心で理解してくれる、懐の大きさと煙管の長さは伊達じゃない
俺はいつも通り、テキトーな席について煙草に火を点けた
「グラーフ・ツェッペリンだ」
「アクィラでーす」
「おう、座れ座れ!」
πに関して大当たりの助っ人外国人枠、ドイツ空母のグラーフ・ツェッペリンとイタリア空母のアクィラか…
コイツらもイマイチ使いどころが難しく、魚雷磨きかポテトの皮むきの仕事しかないので時給の良いここに流れてきたのだろう
「とりあえずビールを貰おうか」
「ビールか…」
ドイツ空母、グラーフ・ツェッペリン、常に顔色が悪く、最初は吸血鬼とかそんな類の人なのだろうかと噂され、今でも駆逐艦のキッズ達からは怖くて避けられているそうだ
「ハイ!ビールです!」
いつものオ●オンビールを素早く取り出してテーブルに置くイタリア空母のアクィラ、昔、クジャク座の人に鍛えられた事があるとかないとか言ってたが、たぶん無いのだろう
「…珍しくアッサリ出たな」
「何がだ?」
過去、これほど素早くキンキンに冷えたビールが注がれた事があったであろうか?特に、外人枠の時のグダグダ感は群を抜いていた気がする
「さぁ飲め」
「さぁさぁ!あ、提督、私達も何か頂いても?」
「ん?あぁ、テキトーに飲んでいいぞ」
「そうか、なら私はワインを頂こうか」
「じゃ、アクィラもグラーフと同じ感じで」
…不気味なぐらい普通だ、いや、普通!素晴らしいじゃないか!今までがハズレだったのだろう、座る前から吐く重巡やら執拗にピザを食べる戦艦やら、思えばロクなヤツが居なかった
「さぁ提督、グラーフ、カンパイしましょ、カンパイ!ウェーイ!」
「ウェーイ!」
「Prosit!」
俺達はカンパイするとそれぞれのグラスを呷る
「………うむ」
しかしグラーフが真っ赤なワイン飲んでると完全にアレだな
「しかしオマエら、なんでここでバイトしてるんだ?」
「うむ、金が無いからな」
「ローマに相談したら教えてくれたんですよぉ」
「ふ~ん」
ローマ曰わく、酒を注ぐ時にちょっとこぼして股間を拭いてやれば多少ヤンチャなボトル注文しても大丈夫らしい
「いいワケねーだろーが」
「え゛?ダメなんですか?ダメらしいですよグラーフ」
「む、そうなのか?」
「まぁ、あの魔女の話は参考にならんとして…とりあえずおっぱい触るぐらいは笑顔で対処しろよ」
「Va bene、それぐらいでよければ?」
「Einverstanden、善処しよう」
さすがは国際派空母共、別に触っても構わんとは…胸だけでなく器も大きい
「あ、ボトル入れていいですか?」
「いいだろう」
「提督よ、このグラーフ・ツェッペリン、Milchを貰っていいか?」
「ミ…ルヒ?」
「牛乳ですよぉ~」
「実はこのグラーフ・ツェッペリン、酒が苦手でな」
「…なんでこのバイト選んだんだ、オマエ」
「金が無いからだ」
身も蓋も無いな、まぁ、苦手なりに最初の一杯は普通に飲んでたので飲めないワケではないのだろう
「それと、このグラーフ・ツェッペリン、実に言い難い事なのだが…」
「なんだ?」
「吐きそうだ」
「アクィラァァァァァ!!早くコイツトイレに連れて行けェェェ!!」
表情も顔色も分かり難いが、既にグラーフの危険レベルMAXだった
「え?なんですかぁ?うへへへ~」
「飲んどる場合かーッ!」
ビタンッ!!(ビンタ)
「いーぐるッ!!」