【登場人物】
Warspite(3)
通称、陛下、尊い御方
清霜(3)
怖いものは何もないアホ、ケツ叩きは半泣きするぐらいは怖い
リベッチオ(2)
怖いものは何もないアホ、ケツ叩きは漏らすぐらいは怖い
午前の仕事を済ませ、たまにはファミレスで日替わりランチでも食べるかと喫煙所で考えていると九九は六の段でつまづくアホの清霜と故郷に帰ったら学校に行くんだと軽い死亡フラグを立てるクサレ脳ミソのリベッチオがキャッキャ言いながら虫を追いかけていた
「ナニやってんだオマエら?」
「あ、テイトクだ」
「リベ達カブトムシ追いかけてたんだよー」
相変わらず意味もなく膝をブチ込んでやりたいアホ面どもだな
「ふ~ん、そりゃ良かった、じゃあな」
「あ!どっか行くの?」
「ファミレス、オマエらも来るか?水道水なら飲んでいいぞ」
「清霜ハンバーグ食べたい!デカいヤツ!」
「あー!リベも!リベも!デカいハンバーグ食べたい!リンゴとハチミツの!」
人の話をまったく聞かねぇなこのクソガキどもは、まぁ昨日パチンコで勝ったからファミレスのハンバーグぐらい屁みてぇなモンだが…
「あ、テイトク、トモダチ呼んでいい?ダチンコ!」
「ダティンコ!」
「あ?」
「前にファミレスの話したら行きたいって言ってたんだー!ねー?」
「まぁ、別に構わんが…」
この時の俺は、どうせアホ仲間のアホな駆逐艦だろうと軽く流してしまい、後に後悔する事となるとは考えもしなかった…
◆◆◆
とりあえず清霜とリベッチオはダチンコだかダティンコだか知らないヤツを呼んで来るから先に行っててと別れ、俺はファミレスの前で煙草を吸いながら待っていた
「きたよー!」
「ついたよー!」
「おせーぞウジムシども、俺はもうお腹ペコちゃんだぞコラァ?」
「遅れてしまい申し訳ありません、Admiral」
「…は?」
へ、陛下ァァァァァ!!!
清霜とリベッチオの後ろで優美さを感じさせる女王然とした佇まいで立つあの御方は間違いなく陛下ッ!このクソガキどもなんて御方を誘いやがったァァァァァ!!
「ほらぁー!陛下が準備にモタモタしてるからテイトクブチギレだよ」
「お尻叩かれるよ!お尻!」
「…Admiral、お待たせした原因はこのWarspiteにあります、この子らには罰を与えぬ様に計らっては頂けないでしょうか?」
「や、やだなァー陛下!僕もついさっき到着したところですよォー!ってか!こんなコトで罰とか与えるワケないじゃないですかァー!今のジョークですよ、上司と部下のコミュニケーションツールですよォー!」
「joke?そうなのですか?」
「やった!テイトク怒ってねーって!」
「リベ漏らしかけたー!」
こ…このクソガキどもがァ!!
「…Admiralの寛大なお心遣いに感謝致します」ニコッ
「ガハァ!!……ど、どういたしまして…」バキッ!!
陛下のRoyalsmileの前に膝を屈しかけた俺は左手の小指を自らヘシ折る事で耐えた、相変わらず恐ろしい破壊力…いや、絶対なる王の力、気を抜くとイッちまいそうだ
とりあえず、俺達はファミレスに入るとウェイトレスのお姉ちゃんから適当な空いてる席へ案内された…
「これがFamilyRestaurantですか…」
どう考えてもファミレス初心者であろう陛下は物珍しそうにキョロキョロと周囲を見回す
っーかこのクソガキども、高貴な御方である陛下を、よりにもよって庶民派ファミレスに誘うとか国際問題どころじゃねぇぞ
「なに食べる?なに食べる?清霜、洋風ツインハンバーグ!」
「リベは和風おろしハンバーグ!」
クソガキどもがァ…空気読め、空気読めッ!!
「photographの記載されたmenuですか、なるほど…これはとても分かり易くて良いですね」
しかしマズいな、今、陛下はメニュー表をご覧になっているがファミレスで写真と同じ物が出てくるなど有り得ない、現物は確実に劣るものが出てくるッ!と言うか、ファミレス程度の庶民味で陛下のお口に合うわけがないッ!
①写真と違うショボいのを持ってくる
↓
②陛下大激怒
↓
③国際問題、俺、ギロチン
もしくは…
①高貴なお口に合わない不味さ
↓
②陛下大激怒
↓
③国際問題、俺、断頭台
ダメだッ!!俺の首と胴がサヨナラする未来しかねぇ!!どうする?どうすれば陛下の逆鱗に触れる事なくこの窮地を乗り越える事ができるッ!
「Admiralは何にしますか?」
「え?あ~…僕は日替わりランチにしようかと…」
「ヒガ…リ?lunch?」
「曜日によって違うメニューなんだよ陛下!」
「oh…Dailylunch、なるほど、それは面白そうですね、では私もAdmiralと同じ物にしましょう」
日替わりかよッ!!陛下が日替わりランチとかダメだろ!!陛下が一番頼んじゃダメな庶民派メニューだろォ!!
「あ…あの、陛下、別に日替わりでなくても、もうちょい高いヤツでも…」
「Noproblem」ニコッ
「ガハァ!!」バキッ!!
だ…ダメだッ!この強制力ッ!これが絶対遵守の王の力なのか…?強靭な精神力と指一本でも凄まじいダメージだ
「ハァ…ハァ…」
「Admiral?お顔の色が優れないようですが?」
「だ…大丈夫です、何も問題ありません」
「お姉サーン!注文!注文ーッ!」
「こっちこっちー!あとお水頂戴!お水ーッ!」
このクソガキどもがァァァ、俺が鋼の精神力をすり減らしてるというに…殺す、コイツらだけはマジで殺す!俺がギロチンに上がる前にッ!
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「ウッヒョー!!うめー!チーズうまー!」
「キヨシ!それリベのとちょっと交換しよ!」
「え~?ヤダ」
「いいじゃん!キヨシズリィよォ!」
バカどもがキャッキャ言いながら食べる中、俺は特に何も言わずに食事を進めている陛下の様子が恐ろしくて仕方ない…
日替わりランチはどうしようもなく日替わりランチだ、庶民舌の俺はいいのだが高貴なる陛下は一体何を想うのだろう
「あ、陛下のそれ美味そう!」
キヨシィィィィィ!!オマエどこまでバカな子なんだァァァ!!陛下の皿にタカるとか死にたいのかオマエはァァァ!!
「よければ、食べますか?」
「え?いいの?やったー!」
「ズリィよ!リベも!リベも欲しいー!」
「えぇ、構いませんよ」ニコッ
「やったー!!」
「あ…あの、陛下?」
「良いのですよ、未来あるこの子らが喜ぶ顔こそ何より換えが得たいものです」ニコッ
「ガハァ!!」バキバキッ!!
広すぎるッ!深すぎるッ!陛下の御心こそ海より広く深海の深いッ!!なんて…なんて尊いッ!尊すぎるッ!
「FamilyRestaurant、味、量、価格、とても素晴らしいものですね、Admiral」ニコッ
後日、陛下はとても御満足頂けたらしいと病院のベッドの上で聞いた