ブラック・ブレット ーガストレアとなった少年ー 旧作   作:ブロマイン

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妹にこの作品の下書き(思いつきで書いた手書き)を見られてしまい、ラノベ下書きとはばれなかったものの「英語の訳文みたい」と言われてしまいました。事実ですけどそれ故により辛い今日この頃です

駄文失礼しました、本編をどうぞ


第12話

ヘリコプターは、問題無く降下ポイントに到達、一定の間隔を置いて民警ペアが森へと入っていく。この時、よほどの事がない限りは、民警序列高位のものが優先となる。そうすると、特にこれといった実績もない里見ペア、御影ペアがどうなるのかは、言うまでもないだろう……

「そんなに急がなくても大丈夫ですよ」

「んな事いったってよ、最初のペアとは大分差がついてんだぞ」

理玖の進言にそう返す蓮太郎の足は止まること無く、むしろ更に速くなっていく。

 

ーーズドンッーー

いきなり前方から鳴り響いた重火器の音に皆は足を止める。

「馬鹿野郎、どこかのペアが爆発物を使ったな」

蓮太郎は思わず悪態をついた。殲滅戦ならともかく、隠密行動中に火薬を使う事は悪手でしか無い。たとえその攻撃で数体のガストレアを倒すことができたとしても、その音で数十、下手をしたら数百のガストレアに気づかれてしまうからだ。今回もその例外にはならなかったらしく、さっきまでの『孤独と静寂の支配する森』から『獰猛なる化物達の巣窟』へとすっかり様変わりしていった。

 

「おい蓮太郎、あれは何だ」

ある一方を指差して、恐る恐ると尋ねる延珠。蓮太郎が延珠の示す方向を確認するより早く、理玖が結論を出す。

「ステージⅣ、まずいですね。逃げますよ蓮太郎」

2人の指す方向には、確かに大型ガストレアがいた。しかも、奴はこちらに気づいているようだ。蓮太郎は、皆に目配せをすると、3・2・1の合図で一斉に走り出した。

「急ぐのだ蓮太郎、追いつかれるぞ」

延珠は、自分とガストレアとの間にいる蓮太郎に向かって言い放つ。他の三人はある程度余裕を持てているが、蓮太郎とガストレアとの距離はだんだんと縮まっていく。

「今から僕と紫月とで時間を稼ぐので蓮太郎を背負って逃げてください」

 

延珠は思わず目を見開いた。自分が蓮太郎を背負うというところまでならまだ良い、しかし理玖は、あのガストレアを足止めするとまで行ってきたのだ。しかしこのままでだと、蓮太郎はガストレアに間違いなく追いつかれてしまう。

「わかった。やってくれ」

延珠がそう言うと、三人は徐々に速度を落としていく。延珠は蓮太郎と並んだところでそのまま並走、理玖と紫月はさらにガストレアへと近づいていく。

「紫月、頼みますよ」

そう言って理玖は地面へと手を付いた。すると、ガストレアが突然と前に倒れた、その隙に接近した紫月は、一瞬で爪を十数センチへと伸ばすと、その爪ではぁっとその体を切りつける。それは、巨体から比べるとかすり傷にもならない程のものだが、紫月は満足してそのそばを離れた。その直後、ガストレアは、ブチブチと蔓を引きちぎり、獲物の後を追った。しかし、その速度は今までと比べると、目に見えて遅くなっていた。しかしそれでも、ガストレアを完全に巻けるわけでは無かった。

 

「どうするのだ、蓮太郎。まだ追ってきてるぞ」

延珠は、自分の上で肩車状態の蓮太郎に向かって問いかける。

「どうするって言われても……」

「蓮太郎、あの崖を下りましょう」

後ろから聞こえる理玖の声。姿を見ることはできないが、それが今2人の目の前の崖を指していることはわかった。

「延珠、いけそうか」

「しっかり掴まっとくのだぞ」

そして2人は崖の下へと飛び降りた。理玖と紫月も続けてその崖を滑り降りていった。

 

「そういえばさっき2人は何をしたんだ?」

「何とはどのことでしょうか」

理玖は、蓮太郎に聞き返したがそこに延珠が割り込んでくる。

「妾も気になるぞ、お前たちが何かしたと思ったら、突然ガストレアが倒れて動きが遅く張ったではないか」

「倒れた方に関しては秘密ですが、動きが鈍くなったのは紫月の蛇の因子の効果だな」

「そうか、紫月は蛇のイニシエーターなのだな。因みに妾はモデルラビット、兎のイニシエーターだ」

「そうですか、改めてよろしくお願いします。延珠ちゃん」

「うむ、よろしくなのだ」

その一方、プロモーター組は今後について話していた。

「それで、ここからどこにどう向かえばいいと思うか」

「取り敢えずは東、すなわち海辺へと向かえば良いかと」

「ならそうしよう。2人とも、気を入れ直して行こう。目指すは海だ」

「おうなのだ」

「了解しました」

 

 

ーーまだ夜は長いーー

 

 


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