※作中のオリジナルキャラの零とおしゃべり(コメ)してくださる場合、必ず{零}と付けてコメント宜しくお願い致します。
{まゆたん}と付けてコメントして頂ければまゆたんが貴方とお喋り。
…あれ?ここはどこ私は誰?あーこのセリフは鉄板だな〜、というか本当に自分はだれ?ここは一体どこ?
周りを見ると大体が野原、少し遠くには村も見える。
…とりあえずは喋り方がイマイチ、ちょっと変えてみよっかな?
どこでヤンス?…違うな。どこでゲス?…これも違う。どこジャン?…これもだめ。どこジャ?…だめ。どこっス?…良いかもしれない!あーあーここはどこっスか?自分は誰っスか?うん♪これがしっくりくるっスね。さてとこれからどうするっスかね?
「おい、お前は誰だ?」
?人の声っスね、振り向けばそこにはおっさんがいた、誰っスかねこのおっさん。
「見たところ眼の色が赤い、ということは紅魔族の者か?しかし見ない顔だな。」
「紅魔族?何スかそれ?」
そんな民族聞いたことないっス、なんなんっスかね。…というか民族ってなんだっけ?
「紅魔族じゃなかったら一体どこから来たんだ?お前、名前は?」
「どこから来たのかわかんねーっス、名前も思い出せ無いっス、おっさんの名前はなんて言うっスか?」
「我が名ははひょいざぶろー!数多の魔道具を作りし者!なるほど記憶喪失か…厄介だな。」
なんスかその自己紹介、そういうの興味無いっスよ。
ともかく自分は会話を続ける。
「えっと…おっさんはなんでここに来たっすか?」
「うむ、家の外にいたら遠くが光ってたもんで気になってな、来てみたらお前がいたというわけだ。」
なるほど、もしかしてその光が自分だったりするっスかね?もしかして自分ってば光の巨人!…無いっス、というか光の巨人ってなんだったっスかね?ダメっス、思い出せねぇっス。
「…とりあえず服を着てくれないか。」
おぉ!よくみなくても自分は服を着てなかったっス、ナイスバディでグラマラスっス、でもどうすればいいっスかね?何も持ってないっス。
「えっと…持ってないからおっさんの貸して欲しいっス。」
「ふん、仕方ないか、ほれ貸してやるよ。」
そう言っておっさんは渋々ではあるっスけどボロい上着を貸してくれたっス、まあ自分は別に寒くもないんスけどね、借りれる物、貰えるものはとりあえずいただきっス。
「とりあえずありがとっス、それにしてもどうするっスかね?」
「どうするとは?」
決まってるっス。
「住むところっス。」
「うむ確かに、記憶が無ければ帰るべき家にも帰れないしな。」
そうっス、どうするっスかね?…あ。
腕を組んで悩んでいるとちょうどいい人物が目の前にいたことを思い出した。
「おっさんの家に泊めてほしいっス。」
「まて、ウチはかなり生活を切り詰めてるんだ、お前まで養うのは無理だ。」
「今欲しいのは寝床っス、食べ物はこっちでなんとかするっスからおっさんは寝床を提供してくれれば良いっス。ねー、頼むっスよ。このグラマラスボディなか弱い自分を見捨てるんっスか?」
自分がそう言うとおっさんはなんだか呆れた様子でokしてくれたっス、なんか腑に落ちないっスけど結果オーライっスよね。
その後にひょいざぶろーのおっさんと共に家に向かったっス…けど。
「お帰りなさい…後ろにいる人は?と言うか裸!?まさか…。」
「ま、まて!光っていたところの近くに居たんだ、着るものもなかったからワシの上着を急遽貸したんだが…お前が用意してくれないか?それに記憶喪失らしくてな、寝床を貸して欲しいと言われた。だから魔法を撃とうとするのはやめてくれ!」
「おっさん嫁がいたんスか!?」
「お前がまず驚くところはそれか!?」
いやー驚くっスね、てっきり独り身だとばかり思ってたっス。
「お姉ちゃんは誰?」「!」
自分が驚いた理由、それはおっさんの嫁の後ろにそれはもう可愛い天使…いや妖精とも取れる様な幼い子がいたからである。
「か、可愛い!可愛いっス!誰っスかこの子!」
「うんうん、そうだろう!なにせうちの子だからな!名前はこめっこだ。」
おっさんと喋っていると不信感は拭えたらしく、こめっこちゃんが自分に寄ってきて口を開いた。
「おなか減ったよ、何か食べ物持ってない?お姉ちゃん。」
ああ、もし今何か持っていたならなんの躊躇もなくこめっこに差し出したのに、今持ってるのはおっさんから借りた上着一枚っス、というか少し冷えてきたっスね。ごめんなさいっスこめっこちゃん、そう思いながら今はこめっこちゃんに謝るしかなかった。
何はともあれ、おっさんは嫁のゆいゆいに冷たい目をされたけど、自分に矛先は来なかったっス。それどころかゆいゆいはおっさんが頼んだ通り服を用意してくれた…試着した時胸のあたりが窮屈だって言ったら微妙な顔をされたっスけど、なんでっスかね?
◇◆◇◆◇
次の日、自分はおっさんの家で目を覚ました。とりあえず食い物探さないとっスね、そう思って起きると。
「まゆたんさん、朝ごはんできてるわよ。」
らしいっス。ちなみにまゆたんとは自分の名前、名前が無いのは不便らしいっスからおっさんに決めてもらったっス。
それはともかく確か自分は寝床だけを要求したはずっス…まあいいか、貰えるものはもらった方がハッピーっス。
とりあえず少ないけれど朝食とか言うものを済ませて里を散策していると馬が見えた。
「おーい、おはようっス紅魔の皆さん。」
自分が人を見つけジャンプしながら両手を振ると皆んなこっちを見て妙ににやけた顔で手を振り返してくれた。
少し話していると自分は気に入ってもらえたらしく馬に乗せて貰えるらしい、ただし条件は乗りこなせる様になっても並行して走る馬の飼い主より前に出ないことらしい、危険がない様にとのこと。
それにしてもここの人達はフレンドリーっスね、なんか目線が合ってない気もするっスけど仲良しなのはいいことっス
「そうそう、上手いねまゆたんちゃん!」
「いやぁー、どうもっス♪」
十分後くらいにはスタスタと補助歩かせることに成功した、どうやら自分は乗馬が上手いらしい。
パッカパッカ、ボヨンボヨン。
「おおぉ!」
パッカパッカ、ボヨンボヨン。
「うおー!」
「うへへ、そんなに歓声上げられると照れるっスねぇ。」
里の男の人達は馬が一歩進むごとに歓声を上げてくる。こっちとしてはそこまですごいことをやった気はしないんっスけどね。
一通りの動きができたところで馬に乗せてくれた里の人達にお礼を言い食べ物の探索に戻ろうとすると…。
「ハァハァ、まゆたんちゃん、とても有意義な時間をありがとう、せっかくだウチの野菜をあげるよ。」
「ウチで焼いたパンも持っていくといい!」
「ありがとうっス!」
皆んな優しいっスね、食べ物までくれるなんて太っ腹っス。そう考えながら自分は貰った食料を置いておくためにこめっこの家へと歩いた。
「おーい、誰かいるっスか?」
呼ぶとゆいゆいが「どうしたの?」てでてきたっス。
「近くの住人から食糧確保したんでおすそ分けっス!」
自分はそう言うとゆいゆいの前に貰った大量の野菜やパンを無造作に床へと置いた。すると。
「えっと、これどうしたの?」
ゆいゆいは不安そうにこっちを見ながらそう言う。特に隠す必要もないので自分は里の人と乗馬体験した後にみんなからもらったことを伝えた。
「そ、そう。よかったわね…。」
ゆいゆいは何故か引きつりながら返事をすると譲ったものをしまいに行ってしまった。
その夜、自分はおっさん、ゆいゆい、こめっこと一緒に夕食を囲むことになった。よく考えてみたら記憶がない自分は料理を知らなかったのだ、結局貰った食糧は皆ゆいゆいに渡しその分夕食をご馳走になるという事になり今に至ると言うわけ。
「悪いな、あれだけの食糧をもらってしまって。」
食事をする中でおっさんは不意に自分に喋りかけてきた。
「いやいや、いいんっスいいんっス、自分が持ってても食べられないんじゃ意味ないっスから。」
「いや、家はかなり助かっている。そうだ恩返しと言っていいかわからないがまゆたん、本を読みに行って見ないか?何か自身について何かわかるかもしれない。」
図書館っスかね?というか自分は言葉を読めるんっスかね?んー、行ってみればわかるか。
「わかったっス、じゃあそれでおっさんが納得するなら。」
その後幾つか話すと、自然な形でいつの間にか会話は終了し、寝支度を済ませて就寝、と流れ作業のように夜は過ぎて行った。
◇◆◇◆◇
…。
朝っス。自分は身支度ゆいゆいが用意してくれた朝ごはんを堪能してさっそく本の元へおっさんと家を出た。ちなみにこめっこにぼんやりする記憶?にあったおはようのチューというのを試みたんっスけどやる前すぐに二人に止められたっス…なんでっスかね?
「ここで好きなだけ読むと良い、昼になれば迎えに来る。」
そう言って通されたのは大きい家の一部屋、中には沢山の本であふれていた。
「うおー!すごーい本の量っス!テンション上がるっスー!ありがとうっスひょいざぶろー♪」
「…初めて名前で呼んだな、それよりせめてわしの嫁にはさんをつけてくれ。」
「了解っス!」
その後、おっさんは去っていった。いやーつい名前で呼んじゃったっスね、まあおっさんはおっさんなんで今まで通りおっさんって呼ぶっスけど。
おっさんがいなくなった後、自分はとりあえず役立ちそうなものを見つけるために本のタイトルを見て回った、その中に。
「ん?これだけ言葉が違うっスね、日本語?」
そこに一冊だけあったのは日本語で書かれた本だった、作者は桐島 啓介(きりしまけいすけ)と言う名前らしい。
「えーと、バカでも分かるイリュージョン魔法…スか?」
本を開くとそれぞれの魔法が事細かにそして丁寧に書かれていた、自分は途端にこの本の虜になり時間の許す限り読み進めようと決意した。
「まゆたん、昼だz…その本は!」
「おー!おっさん、もうそんな時間っスか?」
「そんなことよりその本、お前は読めるのか!?」
おっさんは変なことを言うっス、日本語なんて読めて同然…ん?
「もしかしておっさんはこれ読めないんっスか?」
「当たり前だ、それにしてもそんな昔に書かれた文字を読めるお前は一体何者なんだ?」
「んー、そう言われてもわからないものはわからないっスよ。」
実際わかればと思ってここに来たんっスからね、ぼんやりする記憶?に過去から未来に行くってのがあったっスけどもしかしたらそれかも…と言っても証拠もないんっスけどね。
お昼ご飯はすぐ済んだ、昨日自分がもらって来た食材はそのぶんでほぼ使い切ったらしいので自分はまた調達のために里を散策しに行こうとしていた…が。
「今まで見ていて思ったが、お前は常識が無さすぎる!」
らしいっス。なので昼はみっちりおっさんとゆいゆいさんでみっちり常識というものを叩き込む時間になったっス。まあ割とすぐに解放してもらって食材調達に出たんっスけど、昨日馬に乗せてもらった人達に出くわして同じような展開に。
そうして何故か朝ごはん→本→昼ごはん→常識習得→乗馬をかねた食材調達→夜ご飯→寝る、というようなローテーションがいつの間にか完成され、日々が過ぎていった。
「ふはははは!我が名はまゆたん!あまたの言語を理解し失われし魔法、古代魔法を使いし者!!」
紅魔族として立派に成長(中二病)しました。ちなみにイリュージョン魔法は今では古代魔法と名前が変わっていた、我が読んだ本は相当古いものだったらしい。
「いやー、自己紹介ってこうするのが礼儀だったんっスね、知らなかったっスよ。」
ちなみに冒険者カードというものも日々の中で貰った。ちなみにその数値が変らしく一時関係者が騒がしくなったのだけれどそんなことはどうでもいい、我は見事魔法を使うアークウィザードというのになれた。
「うむそうだな…それは良いんだが。」
ふと見るとおっさんの顔が暗くなっていく、おっさんの代わりなのかゆいゆいさんが前に出て話し始めた。
「あのねまゆたん、この手紙をアクセルっていう街にいる二人の紅魔族に届けて欲しいの。一人目は私たちのもう一人の子供のめぐみん、二人目はゆんゆんって子。」
ゆいゆいさんの手元を見ると確かに二通の手紙がそこにあった。
…こうして私は紅魔の里を出た、随分とあっさりと。おっさんにはアクセルでこれから過ごしてくれと言われ不思議だったけど二人のうちのどちから一人、または両方とパーティを組んでいけば大丈夫だろうとアクセルへ向かう、手紙の不必要な一文を切り取りながら。途中馬車に乗せてもらう代わりに逆向きで馬に乗ってくれと言われいう通りにすると馬車の人は満面の笑みを浮かべてアクセルに着くまで我を見ていた…なんでっすかね?
そして。
「あ、あなたは?」
「よくぞ聞いてくれたっス、我が名はまゆたん!あまたの言語を理解し失われし魔法、古代魔法を使いし者!!ちなみにあんためぐみんっスか?ゆんゆんっスか?パーティいるっスか?」
「え?えっと私はゆんゆん、パーティは…一応は募集中ですけど…ひ、ひとりもいません。ところであなたは紅魔の…」
「じゃあ我とパーティ組むっス!友達になりたいっスよ。後手紙預かってるっス。」
我は聞きたいことは聞けたのでゆんゆんの言葉を遮りとりあえず言わないといけないことを言っておいた…んっスけど。
「え?私と…友達?」
そう言葉を残していきなりゆんゆんは泣き始めた、後で話を聞くと嬉し過ぎて嬉し涙を流してしまったらしい。
そうこれが我とゆんゆんの初めての出会い。そして一生友達宣言をした我にゆんゆんが泣いたこと、初めて二人でクエストを受けたこと、めぐみんにあったことはまた後の話。
「…**たん」
いろいろなことがあったっス。たまに一緒の布団で寝たり、お風呂で洗いっこしたり。
「…まゆたん!」
ん?
「もう、やっと起きた。もう目的の場所に着いたのにまゆたんったら全然起きないんだもん。それに頭の輪っかと背中の羽はどうしたの…って、わっ!」
どうやら今まで夢を見ていらしい、我は起きるないなやゆんゆんに抱きついた。ゆんゆんの言ってた輪っかと羽、どうやら本当に天使(見習い)になったらしい。そんな事より。
「ゆんゆん、この事はちゃんと後で話すっス、それよりごめんなさいっス、約束破るっス。」
「約束を…破る?」
「我はゆんゆんと一生友達でいるって言ったっスけどあれは嘘っス、友達のままじゃ嫌っス。」
「そんな、イヤだよ!まゆたん、私…やっとちゃんとした友達ができたのに!」
「ごめんなさいっス、でも我はゆんゆんとそれ以上に…”親友”になりたいっス。」
「!」
抱きついているせいでそれを聞いたゆんゆんの体温が熱くなっていくのがわかる、そして我の手をほどき今度はゆんゆんが抱きつき返す。
「ありがとうまゆたん、私嬉しい。」
とっても嬉しいひととき、でも。
「グルルルルゥ…。」
「「!」」
今回受けたクエストは縄張り争いに勝ったマンティコアの討伐、我らはすでにマンティコアの縄張りの中だったのだ。
「ゆんゆん、今の二人ならきっと勝てるっス!」
「そうねまゆたん、今なら何も怖いもの無しよ!」
…こうして我とゆんゆんは親友になったっス。
「それにしても流石に追い出すのはかわいそうだったわね。」
「そうだな、なにせ理由が近所の男たちがまゆたんのせいで家の食材を持って行ったり、仕事をサボるから、だったからな。」
「ねえ、お腹すいた。」