おっぱいドラゴンに柱間ァ……!大好きクレイジーサイコホモがinしました(休載中)   作:ふくちか

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GB8を頑張って達成するぞー


第二十三話「兵藤一誠という名の修羅」

アザゼルside

 

 

世の中には、アッと言ってから言葉が出ない時がある。

 

何か信じられない物を見た時とか、奇妙な体験をした時とか…………

 

 

 

今、俺達はそのまさに言葉が出ない状況を間近で見させられている。

 

 

 

 

 

ドゴォォォォォォォォォォン!!!

 

 

 

 

「―――――ッ!!?」

 

今、耳を劈く轟音を上げて校舎の瓦礫に叩き付けられたヴァーリ。

身に纏っていた白い鎧は簡単に砕け散り、その銀髪が血で染まっていた。

 

 

 

「――――おいおい、随分と倒れるのが早いな」

 

 

 

ズン!!!!

 

 

満身創痍のヴァーリに、まるで他人事の様に掛けられた声の後に、ヴァーリの体にうねった剣が突き刺さった。

ヴァーリは成すがままに持ち上げられると、再び瓦礫の山へと無造作に投げ捨てられた。

 

「遊んでくれと駄々をこねたのはお前だぞ?――――ルシファー」

 

そんなヴァーリにゆっくりと歩み寄るのは、赤龍帝・兵藤一誠。

 

そして兵藤一誠が一歩踏み出すのと同時に、音もなく動く青い半透明の阿修羅。

 

 

「ぐっ…………」

 

 

――――さっきからこの繰り返しだ。

 

 

奴が兵藤一誠の家族を殺すと言ってから、ヴァーリは袋叩きに合っていた。

そしてヴァーリがどれだけ攻撃しようとも、あの半透明の巨人はビクともせず、当然、中にいる兵藤一誠自身も無傷だ。

 

ふらふらと、ヴァーリは力なく立ち上がった。

だがそんな事はお構いなしに、今度は数珠状に連なった勾玉状の塊を放った。

 

《DivideDivideDivideDivideDivide!》

 

ヴァーリは前方に手を翳して、半減を行う。

そしてそれを魔力の砲撃で相殺した―――――と思っていたら、あの巨人が持つ剣がヴァーリ目掛けて飛んできた!

 

「!」

 

躱そうとしていたが、先に受けたダメージのせいで思うように動けず、巨剣はヴァーリへと突き刺さった!

 

「――――!!」

 

悲鳴を上げる事すらままならず、ヴァーリの体は大地へと落下していく。

 

「う、ぐぅ…………!!」

 

 

 

 

 

 

 

――――圧倒的だ。

 

 

この勝負――――いや、奴自身は勝負とすら思っちゃいないだろうが――――ヴァーリに勝ち目なんてない。

 

「………こんな物か」

 

そして、かけられた言葉は、酷く冷たかった。

兵藤一誠は満足に動けないヴァーリを容赦なく蹴り飛ばす。

 

 

もう兵藤一誠は、ヴァーリを敵としてすら、認識しちゃいない。

奴の認識じゃ、ヴァーリはその辺の道端に落ちてる小石を蹴って遊ぶようんもんだろうな。

 

「――――立てないのなら、立たせてやろう」

 

グッと、ヴァーリの胸を踏みつけて、兵藤一誠はヴァーリの瞳を一瞥すると、再び蹴り飛ばす。

すると、先程まで苦しそうに呻いていたヴァーリが、震えながらも立ち上がった!

 

「――――来い」

 

ヴァーリに向けて手を動かすと、ヴァーリはなんと吸い寄せられるように兵藤一誠の元まで行きやがった!

が、寸前まで到達したところで巨人に殴り飛ばされる!

 

「がぁ!!」

「兵藤一誠!ヴァーリに何をした!?」

 

俺は気になって聞いてみた。

すると奴は、

 

「幻術だ。俺を殺すか、俺が術を解かん限り、あの雑魚は一生俺に挑み続けるようにしてある」

 

 

 

 

 

…………………………何てゲッスイ事しやがる。

 

 

「下衆い?立てん彼奴に手を差し伸べてやってるんだ。逆に感謝してほしいぐらいだが」

 

満身創痍になりながらも、無理やり奴に挑むヴァーリ。

だがその度に切られ、吹き飛ばされ、燃やされていく。

 

「奴が死なんようにしてあるのも、幻術の一つだ。簡単に死んでしまったら面白くないからな。奴の脳は今、致死量の傷を一切意識しない状態になっている」

 

 

……無理矢理生きている状態ってわけか。

こりゃ、彼奴が満足するまで、ヴァーリはずっとサンドバックって事かよ。

 

っつーかそんな幻術、いつ掛けたんだ。

 

「最初に奴と戯れた時だが?」

 

いや、そんな事も分からないのか?みたいな顔されてもよ………。

後さり気に人の心読むなよ。

 

「…………おい、雑魚」

 

そんな心中の俺にかまわず、奴はヴァーリへと歩み寄る。

 

「お前、覇龍は使えるのか?」

 

 

――――なんて事を聞きやがる!

 

『貴様!これ以上何を望む!?もうヴァーリは――――』

「黙れ白蜥蜴。ガラクタに宿った貴様の意見など聞いていない………俺はこの屑に聞いている」

 

アルビオンの悲鳴をその言葉で一蹴すると、兵藤一誠は胸倉を掴み上げた。

 

「おい、答えろ。ハイか、イエスか」

「………える」

「もっとハッキリと答えろ」

「……使用は、可能だ……………」

 

その返事を聞いてか、兵藤一誠は鼻を鳴らして、ヴァーリを放り投げた。

そして、倒れこんだヴァーリの眼前に、何かを投げ渡した。

 

 

 

瓶?

一体何だってんだ……

 

「――――まさか、あの時先輩が回収していた………フェニックスの涙?!」

 

な、何だと!?

………そういやリアス・グレモリー達は以前、冥界のレーティングゲームでフェニックスと戦ったって、レイナーレが言っていたな……その時の土産か?

 

「――――拾え」

 

兵藤一誠はヴァーリにそう命令する。

今のヴァーリは完全に兵藤一誠の言い成り…………意思とは無関係に、ヴァーリは震える手で瓶を拾うと、傷口に振りかける。

 

すると、ヴァーリの体中の傷はあっという間に完治した。

 

「……何の真似だ?」

「さっさと使え。覇龍をな」

 

有無は言わさない迫力を見せる兵藤一誠に、ヴァーリは一旦目を閉じると、禁じられた呪文を詠唱する。

 

「―――――我目覚めるは、覇の理に全てを奪われし二天龍なり。夢幻を妬み、無限を想う。我、白き龍の波動を極め、汝を無垢の極限へと誘おう―――――――――『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』!!」

《Juggernaut Drive!!!!!!》

 

白い光が辺り一面を覆い、光が晴れると、そこには巨大な鎧姿のヴァーリがいた。

そう――――ヴァーリは僅かな間だが覇龍をコントロール出来る。

 

だがそれでも、奴自身の膨大な魔力を命代わりに消費しての話だ。

果たして兵藤一誠相手に何処まで持つか………。

 

 

 

だがその本人は特に顔色も変えてはいなかった。

寧ろ――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………その様で使えているだと?莫迦もここまで来ると救いがないな」

 

 

落胆の色を隠すことなく、吐き捨てた…………って、何だと?!

 

「どうやら貴様等旧世代の連中はほとほと人を落胆させるのが得意らしいな………いや、こんな砂利に期待した俺が間違っていたか」

「何……?」

「……さっさと来い」

 

兵藤一誠の言葉に怒りを覚えたのか、ヴァーリは荒々しく魔力を滾らせると一気に肉薄する!

 

「まずはこの鬱陶しい魔力の巨人を消し飛ばそう!!」

《DivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivide!》

 

両腕から放つ半減の力により、半透明の巨人はみるみると薄くなっていく!

そしてヴァーリはその間にも口腔に魔力をチャージしていく!

 

「さぁ、この状況を!君はどう切り抜ける!!」

「………切り抜ける?」

 

ポツリと呟くと――――奴は、口元を歪ませた。

 

「――――俺がこの程度の事で動揺すると思ったか?」

「……!?」

 

そう言ったと同時に、地中から突如、太い樹木が生えてきた!

そしてその胴は長く、先端には象の鼻のような物がついていた。

 

「木遁・木龍の術」

「っ、ぐぅぅぅうう!!!」

 

龍のような樹木はどんどんヴァーリを締め上げていく!

ヴァーリはそれを振りほどこうとするが、樹木の龍はびくともしねぇ!

 

「あぁ、これは俺の独り言なんだが…………その龍は絡みついた相手のチャクラ・魔力を吸収する性質を持っている。そして――――それを餌に龍は更に成長していく」

「!!」

 

兵藤一誠の言葉通り、龍はどんどんと胴体を太く成長させやがる!

加えてヴァーリの鎧には亀裂が生まれていく!

 

「ぐっ…………!!」

《Half Dimension!》

 

ヴァーリは起死回生の一手として、樹木の龍の質量を半減させる!

それを受けて、龍はその質量を減らしていく!

 

 

「――――火遁・龍地吼」

 

 

 

―――――このまま脱出なんて事、此奴がさせる訳ねーか。

 

大地に手を叩きつけた後、ヴァーリの足元から龍を模した炎の柱が噴き出てきた!

それらは一気にヴァーリに纏わりつく――――って、今のヴァーリは樹木に絡まれてる!

 

そこに炎が発火すれば――――

 

 

 

 

「火葬代はいらん。ありがたく思え」

「が、あぁぁああぁぁあぁぁあぁぁあぁぁぁあぁあぁぁぁあぁあぁぁぁあぁぁぁあ!!!!!!!!!!!!!」

 

予想通り、ヴァーリの肉体は樹木の龍と共に激しく燃え上がる!

逃げようにも、ヴァーリの体にはあのバカみたいに太く成長した樹木が絡みついている!

 

 

――――肉の焦げる音を立て続けた数分後、漸く炎は沈静化した。

 

 

 

煤になった樹木から這い出たヴァーリは、力なく倒れる。

もう、鎧すら発現させる気力もないんだろう………。

 

「――――ふん」

 

だが、奴は容赦なくヴァーリの背中を踏みつける!

 

「今のお前は俺の幻術で死ねない状態だ。聞こえているだろうから言っておいてやる――――本当の覇龍は、こう使うのだ」

《Welsh Dragon Balance Breaker!!!》

 

ヴァーリを踏みつけたまま、兵藤一誠は初めて鎧を身にまとった!

一体何を…………

 

 

 

 

「―――――――――覇龍(ジャガーノート・ドライブ)

《Juggernaut Drive!!!!!!》

 

 

 

―――――と思っていた俺達の目の前で、奴は当たり前のように覇龍になりやがった!!!

 

『貴様、呪文なしで………!?』

「あんな過去の怨念に執着した連中の戯言など、唱える必要があるのか?」

『――――まさかっ!?』

『そうだ、アルビオンよ。この男はいとも簡単に屈服させたよ………歴代の赤龍帝

達の怨念をな』

 

 

 

 

………………………………この男、本当に人間か?

 

 

 

 

 

「おい!歴代の怨念は……俺が調べた限りじゃ、途轍もない怨念に包まれ二天龍ですら干渉出来ねー筈だ!」

 

俺が気になって尋ねると、兵藤一誠は何てことはないように答えた。

 

「それはそうだろう。こいつ等は見下していたお前達に封印された莫迦二人だからな」

『『……!』』

「それに……こいつ等に出来なくとも俺には出来た。それだけだ――――さて」

 

兵藤一誠はヴァーリを幻術で無理矢理立たすと、眼前で指を二本立てた。

 

「冥土の土産に……………貴様には本当の須佐能乎を見せてやろう」

 

そう言ったと同時に、兵藤一誠の周りを覆っていた魔力が急に大きくうねり出した!!

 

 

 

そして――――気付けばその巨人は俺たちの視界の遥か上にまで成長していた!

 

 

フォルムはフードを被った修験者のような出で立ちになっていた…………!

 

 

 

「定まれ……」

 

 

覇龍の姿のまま、兵藤一誠が拳を握ると、そのデカブツの魔力が安定していく。

 

 

「魔力が安定していく………」

「…また、形態が変わっている?」

 

サーゼクスの指摘通り、修験者の衣が鎧へと変わっていく。

祈りのように組んでいた両手は解かれ、背部からは翼が形成されていく………更に、翼の先端に手が二つ形成され、その手には納刀された刀が生まれる。

 

 

そしてその顔は――――烏天狗のような物へとなっていた。

 

 

 

 

 

 

―――――――ハハッ、此奴はもう、俺達が太刀打ち出来る次元を超えていやがる。

 

 

 

 

 

最早笑いしか出ねぇよ。

信じられるか?

 

 

俺達を天から睥睨する烏天狗のような武者の巨人を扱うのが、人間なんてよ。

 

「……これが、完成体・須佐能乎だ」

 

そしてよく見れば、巨人の額に収まっていた兵藤一誠。

それほどまでに膨れ上がるのか、これ………。

 

「此奴は破壊そのもの。一太刀で神羅万象すら砕く……お前達がかつて忌み嫌ったドラゴンにすら匹敵するほどのな」

 

鎧武者の巨人が、兵藤一誠の言葉に続けて刀を抜刀した。

その時の風圧だけで、この周囲に張っていた結界が崩壊した!

 

「……ルシファーの血と共に、砕け散れ」

 

鎧武者の巨人が、大きく刀を振りかぶる!

不味い、あれだけの巨体があんなデカい刀を振るったら………!!

 

 

 

 

―――――と思っていたが、何時まで建っても衝撃は来なかった。

 

 

それどころか、鎧武者の巨人の巨躯が一瞬にして霧散した!

 

 

それを受けて着地する兵藤一誠。

 

「おい、一体どう言うつもりだ?」

 

此奴はヴァーリを本気で殺すつもりだった。

それなのに何故……。

 

「――――お前達の結界があの余波だけで崩壊した以上、完成体の力を振るえば、この街に甚大な影響を及ぼす。そうなれば、俺の家族も危険なんでな」

 

………ハハッ、事前に調べてはいたが、此奴はホントに――――筋金入りの家族思いなんだな。

 

「それに……個人的に興味がある」

 

興味?

訝しげに思っていると、奴は立ったまま呆然としているヴァーリへと向かった。

 

 

兵藤一誠が肩を押すと――――ヴァーリはそのまま倒れた!

 

 

 

「………気絶していたのか。それに、幻術も解いていたのかよ」

 

いつの間に……と思っていると、兵藤一誠は面倒臭そうに答えた。

 

「俺が完成体を発動させた時だ………普通なら崩れ落ちると思っていたんだが、此奴は立ったまま意識を落としていた」

 

クック、とほくそ笑むと、

 

「此奴が俺への恐怖で戦う事を――――復讐を辞めるのか、それとも………」

 

 

そこで言葉を切ると、奴は口元を歪ませる。

 

 

「―――――そのあり得ないを考えるのもまた、一興だろう?」

 

俺の目を見てそう言うと、

 

 

 

「―――――じゃあな」

 

 

 

 

奴は閃光のようなスピードで消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――って、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これをどうにかして行けやぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 




火遁・龍地吼(りゅうちこう)


五指に込めた火遁チャクラを地面に向けて放出、その後は術者が狙いを定めた相手のチャクラ目がけて襲い掛かる。

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